未知との遭遇?懐かしきCMの思い出とともに
どうも初めまして。この番外編は名前の通り同時に連載している「壮学報道部物語」よりちょっと進んだ時間軸でお送りする作者の妄想の捌け口です。
基本的についてこられない人にはお勧めできません内容となっておりますが、作者はこういった馬鹿や無謀は大好きですので、どうかご勘弁を。
ちなみに本編とは地味な設定が色々違う上、これからの展開においては完全な別物となる可能性が高いので、こちらだけ別作品として読んでいただいても一向に構いませんが、本編で語ったことをこう一度書くのは面倒なので、そこは各々どうにかしてください。
それでも構わないという勇敢な読者様がもしいるならば、どうぞ稚拙な文章ではありますがお楽しみ下さい。
「こ、これはっ!!!」
深夜。薄暗い部屋に彼女は居た。
よれよれの白衣に身を包んだ彼女は今目の前にあるものに、思わず声を詰まらせた。
しかし、次の瞬間部屋中をひっかきまわし、散らばるガラクタから必要なものを物色していく。
「これは、これは!これは大発見だあああああああぁ!!!」
溢れる好奇心はいつしか口から漏れ、盛大な雄叫びとなって夜の町に響きわたった。
翌日。
昼休み、報道部部室。
「お腹減ったー・・・、何これ?」
部室にやってきたマキを迎えたのはバケツを逆に被った人形だった。
「ロボットだそうだ」
その後ろから新史の声が返ってきた。
「な、何てかっこしてんのよあんたは!?」
「・・・・・・何か非常に不愉快な誤解をしていないか?後ろだ後ろ」
「冗談よ。で?ロボット?このガラクタが?」
マキの背よりも僅かに高いそれの背後に回ると、新聞を片手にコーヒーを啜る新史が居た。
マキが、ガンガンと金属製のバケツを叩きながら近付くと、隣のドアが勢いよく開かれた。
もとい、蹴り飛ばされた。
「ガラクタでは無し!それこそ私が昨夜の大・発・見を活かし作られた史上最強の人型ロボだぞホームズ君!!!」
「ホームズはお前の助手か。大体、人類が血のにじむような思い出築いてきたロボットの歴史の最上位を勝手に夏休みの宿題にするな筑紫場」
威勢よく登場した白衣の女性に、新史は微動だにせず、淡々とツッコミを入れる。
「ぬぅ、まだ言うか新史よ!夏休みの宿題でもガラクタでもバケツお化けでも無い!」
「今自分で一つ足しただろ」
「うるさい。これは世紀の大発見を組み込んだ大・発明なのだ!!!ちなみにホームズなど私の前ではただの犬ころ。ワトソンに至ってはワンダフルだ!む?何か踏んだか?」
人差し指を左右に振りながら自慢げに語る筑紫場にやれやれと首を振りながら、新史はその足元を指した。
「お前の辞書にはワンダフルがどんな言葉で載ってるんだ。それと、いい加減お前がドアごと張っ倒した後輩から足をどかしてやれ。噛み付かれるぞ?」
「何!?おお!マキじゃないか!声がしたのに姿が見えないから寂しかったぞ?こんなところで何をしているのだ。こんなところにこぶまで作って・・・」
「うがあああああ!いいからっどけろー!!!」
思い切り背中に乗っていた足を払いのけ、怒号とともにマキが復活。
「ホームズもワンダフルも知るか!そんなもんの前にツッコムところがあるでしょうが!!!」
と、ロボットを指すマキであるが、二人はそろって首を傾げる。
「どこだ?」
「素で言ってんの?あんた達・・・・・・」
マキが二人から半歩退き、もう一度まじまじとロボットを眺めようとすると、今度はまた別の人間が部室に入ってきた。
「ういーっす。って、うわ何これ?何で浮いてんの?」
「雄太ーーー!えらいっ!!!」
現れた助っ人の当然のリアクションに、マキは笑顔全快で駆け寄り抱きついた。
「な!な?なぁ!?どうした!マキが狂った!?」
「失礼な」
「があっ!!!」
突然の抱擁で顔を赤らめた助っ人は次の瞬間に急所に的確に入った膝蹴りで地面に沈むこととあいなった。
「そ・・・んな・・・」
「で、マリ。何で浮いてんのよこのガラクタは?」
「ガラクタでは無いと言っただろうが!さっきも言ったように、こいつには私の大発見!遥か成層圏の向こう小宇宙のテクノロジーを使っておるのだ。そりゃあ浮きぐらいする」
天国から地獄を10秒以内で味わった同級生を無視して会話は再開される。
消え行く彼を新史は哀れに思いつつ、その場の流れに則った。
「小宇宙?」
マキが眉間に皺を寄せて首をかしげると、マリは誇らしげに天井を指した。
「そう小宇宙!このちっぽけな地球という天体の外に広がり無限の拡大と消滅を繰り返す偉大なるミステリー!その広大な未知なるテクノロジーの一端を私はついに発見することに成功したのだ!それ以来、即興で設計図を頭の中で引き、紙におこす時間さえ惜しみ。徹夜して作り上げたのがこの最凶ロボット、ラッハーノレ1世なのだ!」
「見た目以上に危なっかしい名前のロボットだな」
何故か悦に入りながら解説するマリに、新史はぼそりと呟いた。
「結局何で浮いてるかの説明にもなってないし」
「説明など不要!こいつの性能は見て感じて体感することこそ一番よ!さあ、マキよ。相手をしてもらおうか?!」
冷静なツッコミを一掃し、マリはマキを指差す。
次の瞬間、ふわふわと漂っていただけのバケツロボットの目から、強烈な赤い光が放たれた。
かと思えば、今度はバケツからシャッターのように鉄板が降りてきて、ロボットはまるで鉄のローブを纏ったかのような様子へと変貌した。
続いて、どこからとも無くはっきりとした電子音。
「ハイジョ・・・、ヨウ、ニン。センメツ。カイシ?」
最後だけ何故か半音上がった。
「この鉄プリン随分とお茶目だな。というかこいつもうすでに人型じゃないぞ?いや、元から怪しかったが」
「ふはははは!心配無用!こいつは小宇宙の力で地面からちょっと浮いてる設定を手に入れたのだ!よって足など不要!あんなものは飾りなのだよ!」
人型はもうどうでもいいのかよ。つーか手も無いな。などと思いつつも、これ以上危ない発言をされても困るので、新史はあまり刺激しない方向性に決めた。
そして困ったのはマキである。
「な、何よこいつ!?相手するってどうすりゃいいのよ?」
ロボットは高度を上げ徐々にマキに迫ってくる。
本人からすれば2メートル近い鉄の塊にじりじりと距離を詰められてるのだ。
後ずさるマキを嗜虐的な笑みを浮かべながらマリは観察する。
「何。ちょいと手合わせをしてみようというだけよ。こやつの頭上にある停止スイッチを押せばマキの勝ち。押させずにマキをギブアップさせたらこやつの勝ちだ。な?簡単であろう?」
「何よ。それだけ?だったらすぐにでも・・・・・・」
以外に単純な要求に少しほっとし、即座に机へ飛び乗りロボットの頭へ手を伸ばすマキ。
が、しかし。
「キケンサッチ!」
再びロボットから電子音が聞こえたかと思えば、体を覆っていた鉄板の一部が開き、中からお玉と鍋を持ったロボットアームが顔を出した。
「へ?」
「ヒギ!シシャニザメハ!」
一瞬動揺し、動きを止めたマキ。
それと同時に、ロボットが手に持った二つを叩き鳴らす。
報道部にかつて無い騒音が響き渡った。
「ぬうっ!」
「うおっ!」
「うるせええええ!」
「・・・・・・!?」
マリ、新史、寝ていた雄太までが起き上がり耳を塞ぐ。
間近にいたマキは不意打ちに声にならない叫びを上げて耳を塞いだ。
「・・・・・・確かに死者にザ○ハ」
「こんの・・・!うるさいのよこのガラクタ!」
起き上がった雄太を見ながら一人呟く新史。
そんな声は誰にも届くことは無く、鼓膜の痛みの退いたマキが、反撃に出た。
お玉を握る左手を掴んで止め、騒音が一瞬止む。
しかし、残った左手は止まることなく振りかぶられ、ガーーーンという派手な音を上げマキの頭を直撃した。
さっきまでとは一変。
部室内は静まり返った。
「・・・だ、大丈夫かマキ?」
全員が固唾を呑んで見守る中、雄太が静寂を破りマキに近づく。
マキは答えることなく下を向いたまま。
ロボットアームを握る手にも力は込められたまま。
いや、むしろわなわなと震えている。
「ま、まあ、・・・不可抗力というやつよ。不用意に機械に近づいては危ないとい・・・」
「カカッタナ。バカメ」
マリのフォローなのかも怪しいフォローを遮り再び響く電子音。
部室はさっきよりも深刻な静寂に包まれ、雄太は静かに元の位置へ戻った。
「・・・・・・ふ、ふふふ」
不意に響く笑い声。
それは徐々に大きくなり、マキの肩が震えだす。
「ふふ、ふふふふ。はかったなああああああああっ!!!」
両手でロボットアームを掴みなおし、くるりと半回転。
一本背負いと思いきや、そのまま腰を使ってロボットを丸々フルスイング。
部室の壁へと叩きつけた。
「意外と乗ってるのな」
「掴みなおしてから叩き付けるまで0・5秒。流れるような見事な早業よ」
二人がそれぞれの感想を口に出し、雄太は呆気に取られていた。
浮遊しているとはいえ背丈が一メートル半はある鉄の塊をフルスイングという豪快な映像はそれなりのインパクトはあった。
「しかし勿体無い。まだまだこやつには鋼鉄さえも粉砕するがあまりに燃費が悪くフル充填しても使えぬマリ様スーパーパワーショット。略してMZSUPAや、喰らった者が遅くなるのではなく、マジックアイテムで心が読める図書委員や、犬妖怪の兄に切られて生き返ってしまう女の子のような声になるノトノトビームなんぞも搭載しておったのだが・・・・・・」
「良くやったぞマキ!良くやった!」
バケツが半分ほど潰れ、体全体がノの字に曲がった上いたるところから煙まで吐き出しているロボットに、マリは肩を落とし、新史はマキへ拍手を送った。
「人間をなめすぎなのよそのガラクタは!」
マキはまだ怒りが冷めないののか、そう言って潰れたバケツに蹴りを入れて追い討ちをかける。
その時、ロボットの目がわずかに点滅した。
「で、結局これはどうするんだ筑紫場。このままここに置いておくのは無しだぞ?邪魔だ」
「ぬぅ。ケチを言うな新史。浮いているならまだしも、こいつの重量は相当なものだ。地に落ちた時点で私に動かせる代物ではない!」
「何故威張る。しかしそうなると面倒だな。・・・こうなれば落とした本人に責任を取ってもらうのが一番か?」
「はあ!?何であたしが出てくるのよ!あたしは被害者よ?しかも今回は一方的に!!!」
「仕方ないだろう。他にこいつを運べるような奴もいないだろうし」
「あたしにだって無理よ!」
「いや、できるだろう。こう、怪力を発揮してつつくたびに岩をズズズ、ズズズっと」
「ポケ○ンだそれは!あんな栄養剤飲んだだけでパワーアップするようなのと一緒にするな!」
「いや、だってお前リポD飲んだら攻撃力上がるだろ?」
「上がるか!さっきからあんたが危ないネタ振ってどうすんのよ!?あんたツッコミでしょ?自重しろ!」
「おーい。コント中悪いけどちょっといいっスか?」
二人の言い争いに今まで蚊帳の外だった雄太が割り込んだ。
が、新史とマキは会話は中断しても睨み合ったまま。
しかなくマリが答えた。
「どうかしたのか?そういえばそもそも雄太は一体何の用だ?」
「いや、別に用は無くても来ますよ。今日はちゃんとありますけどね。これ見てもらえます?・・・出てきていいぞ」
そう言うと、雄太は鞄を机に置き口を開けた。
すると、雄太の呼び声に答えるかのように鞄がもぞもぞと動き、中から手のひらサイズの人形が顔を出した。
「な、なんと?!」
「どうも初めまして。僕はウル星から来ました観測者、所謂宇宙人です」
「おお!なんと宇宙人か!?・・・で、語尾にだっちゃとかはいらんのか?」
「はい?」
「あ、それ俺も聞きました」
マリの声とリアクションに興味を示したのか、後ろの二人も睨み合いを中断して会話に参加してきた。
そして即座に硬直する。
「「何これ?」」
あまりの非現実に二人の心がシンクロした。
「なんか宇宙人らしいんすよ。で、探しもんがあるそうなんでとりあえず連れて来たってわけで」
「いやいやいや雄太。何勝手に受け入れてんのよ。仮にも宇宙人よ?あんたこっち側の人間でしょ?順応が早くてどうすんのよ!リアクションを放棄するな!!!」
「してねえよ!つーか俺が順応早いと悪いのかよ!俺はもうとっくにするべきリアクションもボケもツッコミも終わって来てんの!お前こそあんな鉄の塊ぶん投げといて真人間のつもかっ!」
「投げて何が悪いのよ!あんなもんオリンピックなり世界陸上なりで逆三角形のマッチョがぶん回して投げ点のと変わんないでしょ!」
「あんなもん国の威信背負って投げれるか!!!てっめぇハンマー投げの皆さんに謝れこら!」
「なるほど宇宙人か。変な奴が集まるのが我が部の一つの持ち味ではあったが、ここまで来ると近いうちに未来人や超能力者がそろってもおかしくないな。今のうちにメイド服ぐらいは用意しておくべきか?」
「それはいいな!ならば適当な本に栞でも挟んでおいて、パソコンも容量を空けておかねば!これが無いと緊急脱出pっと、これは禁則事項だったか?」
「あの。・・・・・・皆さん?いいですか?」
いつの間にやら完全においていかれてしまった宇宙人が、たまらず間に割ってきた。
「ん?ああ、わりぃ忘れてた。で、マキに先輩達。こんぐらいのUFO見なかった?」
それに気づいた雄太が話を戻すが、宇宙人は忘れられてたことに若干傷ついたようだった。
「何っ!?UFOだと?」
「そうっス。なあ、あれ頼む」
「はい。わかりました」
マリに説明しようと雄太が振り向くと、宇宙人はポケットからなにやらテレビのリモコンのようなものを出し、斜め上へかざした。
「これが僕の探しているUFOになります。どこかで見かけたりしませんでしたか?」
すると、そこから空中にバスケットボールほどのシャボン玉が現れ、その中に銀色のいかにもなUFOが映し出された。
「なるほど。UFOだな」
「UFOね」
「UFOでしょ?」
新史とマキが頷き、雄太も満足そうに頷く。
「これが無いと困るのか?まあ、探してるくらいだから困るのだろうが」
新史の言葉に宇宙人が頷く。
「かなり困ります。これが無ければ僕は母星に帰ることができませんから」
「母星って遠いの?」
マキの質問に雄太が呆れたように溜息を吐いた。
「星と星の距離だぞ?遠いの?じゃねーよ。近かったらむしろ怖えーだろ!」
「いや、月とかそこら辺なら衛星ロケットとかに放り込めば・・・・・・ねえ?」
「ねえ?じゃねーよ!放り込んでどうすんだよ!?ちょっと月まで。とか言ったら降ろしてくれんのかよ!」
「知らないわよ!ちょっと思いついただけでしょ!で!?宇宙人!どうなのよ!?」
「そうですねえ・・・・・・。大体、作者とホストに関係ないほうのハ○ヒの中の人との心の距離ぐらいです」
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・それは遠いわねぇ」
「ああ。かなり遠いな」
「ハル○はなぁ。せめてキョ○とか勇○王ならまだしも」
虚しい風が吹いた。
「だが、こんなものを見つけていれば、俺なら即刻調べ上げて記事にするためのシナリオを考えているし、他の部員にしても報告ぐらいは来る。何よりほうっておくことは無いだろう」
「そう?あたしはむしろ模型部かなんかの作品だと思って無視すると思うけど?」
「浮いててもか?」
「いや。浮いてたら流石に・・・。え、浮いてんの!?」
当然のような新史の言葉にマキが宇宙人の方を向くと、宇宙人は少し困惑した表情を浮かべた。
「わかりません。装置が作動していれば浮遊はしているかもしれませんが、事故で勝手に飛んでいってしまったので・・・、恐らくどこかに墜落しているとは思うのですが」
「だそうだ。ま、気を落とすなよ。すぐ見っけてやっから」
雄太が落ち込む宇宙人の肩を叩く。
体が小さいので指先でつつく程度だが。
「そうだな。すぐに見つかる。なあ?筑紫場」
「ぬおっ!?」
腕を組みうんうんと頷くと、新史は背後のマリへ声をかける。
いきなり呼ばれたマリは、作業の手を止めびくんと跳ね上がった。
「そういえば、さっきは流してしまったが、まだお前の大発見について詳しく聞いてなかったなぁ」
「お、おおぅ!うぬ、それは知的好奇心旺盛でいいことだ!しかし如何せんこいつは今修理中で・・・」
「ほう?さっきはどうにもできないと言っていたのに修理?しかし珍しいな。こういう話題を前にしてお前が話しに参加してこないとは」
「じ、事情が事情だからな!マキや新史がその宇宙人の手伝いをするのならば、こいつはさっさと治して持って帰らねばと・・・」
「別に俺達が手伝うからといって持って帰る必要もあるまい?一体何をそんなに慌てているのかな?」
「別に慌ててなど、ないぞ!?・・・ただな、そのぅ・・・」
新史がじりじりとマリに近づいていく、そして明らかに追いつけられていくマリ。
一同はその二人の様子でなんとなく状況を把握しつつ見守る。
そして、ついに新史の手がバケツへとかかった。
本編も書かずに何をやってるんだか。
本編は周一から二週に一回程度のノロノロ更新ですが、こちらは完全にランダムです。
この先もあることにはありますが、書くかどうかさえ未定なので忘れた頃にやってくることをお勧めします。
感想・クレームはいつでもお待ちしておりますのでどうぞ送ってやってください。全力で答えます。
ちなみに、「小宇宙」をどう読むかは読者様しだいとなっております。