卍 ふわっとした人種問題の話 卍
先日のアカデミー賞授賞式をWOWOWで視聴。
ほぼ全編黒人がだべってるか歌ってるかだけという、日本人にとってはまこと違和感アリアリの内容でした。
賞レースとしては「ブラックパンサー」ことチャドウィック・ボーズマンの死後主演男優賞受賞に注目が集まっていて、番組構成もそれに合わせたような案配。番組のクライマックスは彼の受賞を華々しいスタンディングオベーションで祝福……という想定だったらしい。
ところが蓋を開けてみると、主演男優賞は会場に出席もしてなかったアンソニー・ホプキンスがかっさらってしまったのである。
みなさん番狂わせに当惑したまま放送終了。
それで、「アカデミー賞って仕込み無しなんだ~」と妙な関心も寄せられたわけだが……でもアンソニー・ホプキンス?どの映画だっけ?というのが苦しいところ(まあそれに対するどこぞの半島じみた抗議はない……いまんとこ)
BLMをはじめとする昨今の人種闘争はたいがいの日本人にはピンと来なくて、やり過ぎだろ?の感もある。
しかしその苦悶の一端を垣間見えるのもまた全米ドラマ。
『グレイズ・アナトミー』第15シーズンと『9-1-1』第3シーズンでは、レギュラーキャストの黒人夫婦が子供に以下のように注意するシーンがある。
「いいね?警官に呼び止められたら、口答えしてはいけない。素直に命令に従って、ゆっくり動きなさい。ぜったいに反抗してはダメ。それで射殺されずに済むから」
おいおい……【夜の大捜査線】から50年経ってるのにまだこんなこと言わねばならないのか。全米放送のドラマで。
まったく進歩してないのだ。というかたぶんトランプのおかげで後退した。
同じドラマで主人公のメレディス(白人)は黒人の養子を取り、黒人のお友達と姉妹の契りを結んでいる。あるいは昔のドラマの主人公然としたいかついアゴの頼れる白人男性が黒人女性と結婚する。最近のドラマ内の異人種カップリングはもう「それしか許されない」というくらいの頻度で、いかにもリベラル的な「これが正しい姿」であり、なんか調和を謳っているようでむしろストレスの原因となっているような……。トランピズムに対抗した動きだったのに火に油を注いでるのが皮肉です。
アニメ『ワンダーウーマン』も最近は主人公の声を黒人女性がアテていたんですが、去年ついに「アニメの声も人種に準じるべき」となった。
……つーかそもそも、ダイアナの声を黒人に任せたのだって「人種差別を避けよう」という動きじゃなかったのか?
かようにしてアメリカにおける人種問題は先鋭化の一途を辿っている。
【ダイハード3】でブルース・ウィリスとサミュエル・L・ジャクソンが人種漫才してた頃はまだ平和でしたね。どうしてこうなった?