表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪剣で魔人は倒せますか?誰かを救えますか?  作者: 雪海
第1章『呪いの剣?証拠は?』
8/8

第8話【隣村と剣】



その日は村長さんの奥さんの実家に

泊めてもらうことになった――




「部屋はたくさんありますから

好きな所を使って下さいね」



村長さんの奥さんミイズさんは

とても優しくて笑顔が素敵な人だ――





「ミイズさん

どうして家出しちゃったの?」



ミロクちゃんは相変わらず

歯に衣着せぬどストレートな質問をした…




「主人は傲慢で自分勝手で乱暴でしょう…」



「うんうん…

私思わず乱暴じじぃって言っちゃったよー」



「ふふふ…

乱暴じじぃ…いいわね!」



「でしょー

村長さんかなり怒ってたけどね」



「いいのよ…困ったことにね

歳をとる度にどんどん頑固になって…

もう頑固じじぃよ!」



「あはは…頑固じじぃもいいねー」



「そうでしょ?

もっと…自分を大切にして欲しいわ」



「ミイズさんが家出したって知った時

椅子から転げ落ちそうだったよー」



「あら!それは面白そう…ふふふ

見てみたかったわ!」



「自分を大切にしないって…

どういうこと?」









「主人は魔法士だったの…」



魔法士………


ミイズさんとミロクちゃんの話を

隣で聞いていた僕は

魔法士と言う言葉を聞いて

さっき村長さんが言っていた言葉が

何度も頭の中をぐるぐるしていた……



魔法…か………




「魔法士はね魔力を使うでしょう…

魔力は自分の体から作られる

自分をすり減らしているのと同じこと…」



………………………


自分をすり減らしている………





「そっかーそれは心配だね」



「魔法士は自分を制御するための

魔法具を持っているのだけれど…

あの人ったら村のためだって言って

魔法具も身につけず魔法を使い続けてる…

あれじゃ身体が持たないわ…」






そうだ……


魔力は使い過ぎてしまうと

自我が保てなくなってしまう…

暴走した魔力は

やがて生命をも魔力に変えてしまう…

そして最後に待っているのは死……





















「いいよ!私が止めさせてあげる!」



……え??



ミイズさんも僕もきょとんとした顔で

ミロクちゃんを見た――



「ミロクちゃんどういう事?」



「え?そのままの意味だよ」



何言ってるの?

って顔で当たり前の様に話すミロクちゃん――


ミイズさんと僕は顔を見合わせた――







「ミイズさん!

村長さんの魔法具はどこにある?」



「え!ええ……ちょっと待っていて」




僕は隣の部屋に消えていったミイズさんを

確認してから

ミロクちゃんに小声で話しかけた…





「ミロクちゃん…大丈夫なの?」



「え?なんかまずかった?」



「魔力の使いすぎを止めさせるってことだよね?

そんな事出来るの?!」



「簡単じゃんそんなのー」



「いやいや!

魔法研究者じゃないんだから…」



魔法研究者

名の通り魔法を研究し魔法具を作り

魔法に関する情報を所有している…

研究者になってしまったら家族にも友人にも

会えない……

国家機密ゆえ秘密を知りすぎてしまったら

会いたい人に会えないまま孤独に死ぬだけ…






みんなどうして…

魔法にそんなにまで魅せられるのか……


僕は魔法なんて嫌いだ…






「ふーん魔法研究者…」



「………ん?何か言った?」



「なーんにも?」




ミロクちゃん…本当に大丈夫なんだろうか














「これが魔法具よ…」



帰ってきたミイズさんが見せてくれたのは

水晶の着いた細い腕輪だった―――



「あの人使わないのに持ち歩いてはいるの」



「何かあった時のためかな?

ちょっと見せて」




ミロクちゃんは魔法具を手に取ると

腕輪の内側の刻印を見ている



「ふむふむ…なーるほど」



「…な、何か分かったの?」



「んー?まぁなんとなく?」



…なんて曖昧な返事

本当に大丈夫なんだろうか…


僕とミイズさんが

心配そうにミロクちゃんを見ていると

イチさん達が帰ってきた――



「どうでした?」



「収穫なしだな」



「魔物が夜出るなんて誰が言ったのよ!

夜道は危ないのよ!」



「なーにが危ないだ!

お前は男だ!お・と・こ!」



「いやん!心は乙女よー」



「あーはいはい…」



「扱いが…雑よ……ねぇトーカちゃん?」



いや僕に振らないで……




「トーカ言ってやれ!」



「身体は立派な男ですけど心は乙女で

面倒見が良くて…素敵「真面目かよっ!!」










「はいはーいできたよー」




振り返ると

村長さんの腕輪をブラブラさせながら

ミロクちゃんが

冷ややかな視線をこちらに向けていた……





「できたって??」



おネエさんがミロクちゃんが持っている腕輪を

手に取った…




「あぁ!書き換えたのね」




書き換えた……??


「何を…?」



僕とミイズさん以外何事も無かったかのように

平然としている……



くそっ…

この人達のせいで肝心なところを見逃た!!






「トーカさんは知らないか」





ミロクちゃんの話によると


腕輪の刻印は魔力の制御だけではなく

魔力を使用すると一部が

魔法具から魔法研究所にある魔力装置と呼ばれるものに転送される仕組みになっていて

魔法研究者の実験やその他諸々に使用されているそうだ…

ミロクちゃんはさっき魔法が魔力装置に転送

されないように書き換えたと言った




これって普通に国家機密だよな……


何でそんなことまで知ってるんだ……

というか…

書き換えるってそんな事出来るの??





「あはは

何か言いたそうな顔だねトーカさん」



「いやだって…」



相変わらず魂さん達は平然としている…




「村人のために魔法を使うか…嬉しいな」



ミロクちゃんは

腕輪を見つめながら微笑んだ……



「……えっと」



僕はまだ聞きたいことと言いたいことの整理が

出来ずに口ごもっていた…




「…どういう事なの?お嬢さん」



ミイズさんはミロクちゃんの傍に駆け寄った







「ただ少し魔法を知ってるだけだよ」



「少しって…」



「魔法って本来危険なものでしょ

でも村長さんは村人のために魔力を使ってる」




「…そうだけど」




「あ!安心して

村長さんが魔力を使いすぎることはもうないから」



「え……?」




「書き換えたついでにおまけ」




いっぺんに色んなことが起きて

僕はまだ混乱状態だ……




「…おまけ?」




























ドタッ――バンッ―ドタドタッ―――

ドドドドドタッ――ドドドバンッ―――



「ま、魔法具はどこだっ!」


村長がドアを蹴破る勢いで入ってきた――




「あなた!どうしたのそんなに慌てて」



「急に魔力が増幅した!

わしとうとう死ぬのかもしれん!うわーん」





………うわーん


村長キャラ違うくね??




「どうしよう…どうしようミイズ…

お前に散々言われていたのに…

わしが悪かった!許してくれぇ…

まだ死にたくないわあぁぁあぁぁ……」



ミイズさんの脚に抱きついて泣いてるし…

本当にさっきの村長と同一人物か?




「あらあらまぁ…

ちょっと泣かないで下さいよ」




「「「…………」」」



みんな村長さんを見る目が冷たい……





「村長さん

魔力が増えたのは私のせい」



てへっと笑いながら腕輪を村長さんに返した――



「…へ?」



村長さん分かるよ!

何が起こっているのか理解出来ない気持ち!




「みんな驚きすぎじゃない?」



鼻で笑うミロクちゃん…

いやあなた!凄いことしてる自覚ないのか!






「そりゃ、何も知らないこいつらは驚くだろ」




「今の魔法は脅威でしかなくなってしまって

私としては悲しいけどね…

街についたらのんびり散策したかったのに

ちょっとやること出来ちゃったなぁ」




珍しくシュンとしているミロクちゃん



「ちっ!仕方ねぇなぁ

俺も行ってやる!」


イチさんは

ミロクちゃんの頭をグリグリ撫で回している――




「えー嬉しいけど好きだけどイチさん邪魔ー」



「おい!邪魔とか言うなよ!」



「私はイチさんのお尻が好きなだけだしー」



「尻ばっか見てるもんなぁ!変態!」



「変態上等!!

イチさんみたいにムッツリよりマシだよ」



「な!誰がムッツリだ!」




「えーこの間女の人のおっ………」










「…………あの、あの!創造者さん!」



「………ンア?トーカ殿ドウカシタカ?」



………………え??


あんたこの状況下で寝てたの?!!

さっきから動かないし喋らないと思ってたけどさぁ!



「ワハハ

スマンスマン先程ノミロクノ魔法ノ余波ガ」




…いや嘘だな




「オホン……

あの…ミロクちゃんて何者なんですか?」



創造者さんが創造したんだから知ってるはずだよな……












「アァ!

ミロクハ魔法ノ元祖ノヨウナモノ」



……魔法の元祖??






「魔法ニ関ワル知識ヲ持ツ魂達ノ集合体デス」



「魔法の知識…」



「最近気ヅイタノデスガ

アノ魂ノ中ニハ魔力ヲ初メテ宿シタトサレル

【ステラ】モ紛レテオリマシタ」



紛れてって……言い方……




それにしても…


「ステラって…物語によく出てくる

あのステラですか?」




「ン?…ドノステラダ……??」





「おい!寝ぼけてるな…」



はっ!!

気づけば素のトーカが顔を出している…

というか口を出してしまった!





「ぎゃははは!素が出たぞ!」


「ふふ!大人しい少年かと思ったら

言うようになったじゃない」




しまった!!

この2人に絡まれたら

ミロクちゃんが何者か聞きそびれてしまう!












「あはは!

そんなに知りたいなら私が教えてあげる」





ミロクちゃんは焦る僕の目の前に立ち

ニシシと笑った―――





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ