第1話【呪剣伝書】
第1章『呪いの剣?証拠は?』
ここに呪いの剣に纏わる伝書がある
それは昔―――
数多の人を斬って斬って切りまくった剣があった
名もないその剣はいつしか
呪いの剣と呼ばれ人々から恐れられた――
その剣の噂は広がり忌み恐れられ
遠く離れた村の小さな神社にひっそりと祀られていた
なんでも
斬られた者の魂は剣に吸収され死体も残らない
斬る度にその剣身は黒く色を付け
やがて闇夜のような漆黒色に染まったという―――
当時その村では
子どもの[神隠し]が相次いでいた―――
突然姿を消し
手掛かりになる物すら残らない
村人達は恐れ慄いた
[神隠し]
それはそれは昔
魔人の仕業だと信じられていた
その剣には魔人の魂が住み憑いている
魔人の魂が毎夜子どもを攫いにくるのだ
その剣をどうにかしなければ
その呪われた剣を―――
村の長は悩んでいた―――
今この剣を鎮め収められる者がいない
もし怒りに触れることがあれば
この村全ての者がいなくなってしまうかもしれない
村の長は剣をどうする事も出来ずにいた――
その間にも子どもが
…1人……また1人……
姿を消していた――――――
神隠しを恐れた者は次々に村から去り
やがて誰もいなくなってしまった
祀られている剣だけが残されたまま―――
その話は周辺の村
そして遠くの町にまで広がり
更には山脈や海の向こうにまで
広まっていったという―――――
そしてある日
1人の旅人がその噂を耳にした―――
旅人の名は
[柏陵]
それ以外は記されていない
柏陵は若者のなりだが名高い神主であった
剣の声が聞こえたという―――
誰に聞かずとも剣が祀られる村を言い当てた
そして今
彼の目の前には呪いの剣があるー――
柏陵は誰にも聞こえないほどの小さな声で
何かを唱え始めた――
暫く経つと
呪いの剣の鍔にある
透き通った結晶が光り出す―――
その輝きはこの世のものとは思えないほど
美しかったという
そして光に視界を奪われいる間に
柏陵と呪いの剣は姿を消してしまった―――
呪いの剣の存在が消えた
その行方は誰も分からない―――
やがて時は流れ
呪いの剣の噂も消え果せた
呪いの剣の話はもう
誰も知らない――――――