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4.その存在。


多分、接続者である『ティル』の自己紹介を受けた時。

俺の表情は凄まじく口にしづらいものだったと思う。

喜ぶべきなんだろうけど、けれど簡単に喜べないというか。

そんな曖昧な状況を、目の前の存在が見逃すわけもなかった。


「……え、何その表情。 もっと喜ばない?」

「いやぁ、これでも喜んでる方だぞ?」

「いや、絶対喜んでるだけじゃないでしょ……?」


それはまあ、うん。

順に、自己紹介された内容を噛み砕く。


【存在:人間】。

つまり、彼が人間派生の存在であり。

精霊や半神、或いは巨人や鉱物人間……鉱人なんかでは無いことを表す。

此処はまあ普通。

仮に異種族、異世界の生命体であれば常時効果で空を飛べたり出来たのだが。

まあ共鳴出来る割合は七割を超えても、有用でない場合もかなり高かった。

普通に移動でき、【探索】できるだけ良しとしておきたい。


【属性:英雄】。

この部分を聞いた時は、思わず手を握りしめた。

まあすぐ離す羽目になったけれど。

属性部分は人によって様々だが、主に【賢者】や【英雄】、【王】と呼ばれる存在は俗に『当たり』とされる。

その理由は単純に、()()()()()()()()()()から。

或いは多大な知識を持つから。

電脳世界風に言えば……確か、こうだ。

『権限が多いから』とか、そんな感じ。

一部分に特化した、多大な権限なのか。

大規模に万能な、一人で十人以上に動けるのか。

何にしても、本来ならば敵対するのを忌避出来る有用な属性。

その中でも【英雄】は、最低一つ。

汎用的か、回数に制限があるかの違いはあっても多大な事象を引き起こせる存在。


そして、俺を悩ませているのが【電子戦特化】。

はっきり言ってしまえば、一番望まない。

むしろ引きたくなかった特化型だった。

この部分が指すのは、接続者がどの部分の性能を強く選んでいるのかという事。

白兵、間接、魔術、治癒、製造、そして電子戦。

大きく分けてこの6つに分類される接続者達の得意分野なのだが……。

電脳上の存在故に、誰であっても最低限電子戦は行えるのだから。

そして何より、接続者には複数の得意分野を併せ持つような場合も少なくない。

そんな中での特化型。


「……確認してもいいか?」

「ああ、何でもお好きにどうぞ。 我が共鳴者。」


その口調は何処か仰々しく、演劇でもやってるんじゃないかという疑問を抱かせたが。

今の俺にしてみれば、そんな事は後回しでいいモノだった。


「電子戦に特化してると言ったが、他には?」

「本来なら情報見てもらうのが手っ取り早いけど、まあ仕方ないよね。」


大きく頷く。

情報、つまりは自身と互いを数値化した際の評価基準。

他者が見るには当人の許可が必要で、そしてその数値化するための装置はこの空間を出た後で。

【門】は空間を繋ぐゲートの役割でも有り、出入りした際の数値化の更新を司るモノでもあるから。


「製造とちょっとした魔術、後は間接。 とは言っても、護身用よりも劣るからね?」

「使えねえ……。」

「いきなり散々なこと言ってくれるね君も……。」


せめて少しでも白兵が出来るのなら、追記(アップデート)のしようもあるというのに。

接続者の場合は、『成長』出来る部分は初期に身に付けている技術の派生のみ。

つまり其処を補うのは、共鳴者である自分達、或いは他の仲間達。

俺も護身用として、軽く白兵系列の幾つかと間接、そして製造が出来るくらい。

幻想系列の魔術なんかには生憎縁もなく、身につける手段も今まではなかった。

つまりは。


「俺に前に立てってことだろ、それ。」

「出来ないの?」

「俺程度で出られるほど甘くねえよ……。」


厳密な意味での独り(ソロ)は、写本機上の空想の中にしか存在しない。

別世界に行く以上、最低基準は二人で一人であり。

同時に、どんなに平和な可能性であってもその程度の覚悟はしていなければ簡単に躯を晒す。

代替(バックアップ)も存在しない、完全な意味での自我の消去。

だからこそ、可能性世界に渡るものを嘗ての歴史に擬えて『冒険家』と呼ぶのだから。


「まあ、何にしても。」

「何だよ。」

「君が何をするにしても、ボクが共にいることは忘れないでくれよ?」

「……そうだな。 で?」

「ボク等の共鳴の証明に、名前くらいは聞かせてくれないか?」


ああ、そう言えば。

未だ名前すら名乗っていなかったのだったか。


「レイスだ。 ミドルネームもラストネームもない。」

「……亡霊(レイス)? また珍しい。」

「育ての親が付けてくれた名前でな、気に入ってんだよ。」


そうかい、と道化師(ティル)は呟いて。

そうだよ、と亡霊(おれ)は呟いた。


手を伸ばし。

手を合わせ。

軽く、握り合う。


それが、共鳴が証明されたとでも言うかのように。

白い光が再び、俺達を包み込んだ。

各得意分野六種に関してはその内本文でももう少し掘り下げます。

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