第二話 最強ゲーマー転生する。(2)
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女神とその従者が放った転生魔法は以前のように現実とゲームの混ざり合うような感はなく、ゆったりとした暖かい光に抱擁されるようで次に目を開けると、女神のいたはずのところにはおそらく術者であろう女がいて、その奥には白く長い顎髭を蓄えた王が王座に座っていた。王は驚いたような目でこちらを見て、高揚して口角が緩み、大きな笑い声を上げる。
「エイメスよ!よく、よくぞやってくれた!!救世主よ!ようこそ!!ファーネア王国に!!!!」
そんな、歓迎の挨拶と同時に周りにいた貴族や大臣等の貴族らが大きな拍手で盛大に出迎えられた。その後、直ぐこの場で状況等を説明されてもまだ困惑されているだろう、との判断から俺らプレイヤー一行は侍女に一人一人が客間へと送られることになった。この世界に呼び出した理由等は、明日に説明があるそうで、今日は一部屋少し大きめの会議室のような部屋を借り、現状確認などみんなで話し合うことにした。
「今更だが、みんなで今いるメンバーの確認をしようと思う。今更ではあるかも知れんが、自己紹介を1人1人お願いする。」
とライトが切り出し自身の紹介を始めた。
「俺はライト。レートランキングは今ここにいる面子では現状一番高い4位だ。よく使う武器系統は大楯と片手剣だ。騎士の真似事のようなことをやっている。」
現状、と言う言葉をやたら強調して言っているが、俺のことを買いかぶりすぎだと思う…。どちらにせよ、彼の実力はかなりなものだ。新人に対しても優しくアドバイスができるし、レイドバトルの時のライトの指揮力はかなりの腕前だ。
「俺はイエローペッパー。まぁ、どうせレートランキングはバタッピーに抜かれるだろうし、どうせ6位だがまぁ、一応5位だ。俺の武器系統は大剣だ。以上。」
あっさり俺に抜かれるとか言いやがった…。こいつのいちいち頭の悪いところが脳筋馬鹿狂戦士って言われる所以なのに…
とすこし呆れつつもレートランキング順的に次は俺なので席から立ち、自己紹介をする。
「俺はバタッピー。こいつらに直ぐ抜かれるやら、現状なんて言葉使わせるほど強いとは思っていない。レートランキングは6位だ。俺の武器系統はオールラウンド。全武器系統を扱っている。オールラウンダーをやっている。以上。」
パタッピーなんて恥ずかしい名前を言うのはやはり堪える。もっとマシな名前にしておけばよかった…と思いつつもしっかりと自己紹介をした。オールラウンダーと言う言葉にざわめくところもあったがそれもそうだろう。このゲームでは武器の使用傾向、開始のタイミング、スタミナの使用傾向などでステータスが上昇し、最も影響が高いのが武器の使用傾向なのだ。そのため武器を絞った方が必然的に強くなりやすい。上級プレイヤーでも他のステータス上げで使うこともあるがレートランキング上位となると競争が激しくそれどころではないのだ。そんなレートの最上位にオールラウンダーがいるなんてにわかに信じられない事実なのだ。
そんな感じでレートランキング最上位者の俺を含めた3人の紹介が終わり、他は席順で紹介を行なって行った。転生者の内訳としてはレートランキング最上位者が3人。上位が7人、中位が6人、下位が9人、初心者が5人で総勢30名だった。自己紹介後、中位から初心者の育成を上位、最上位でどう行うかや、今後の活動方針などは明日、宰相からの説明後ここで行うことなどの約束をして、騒がしい1日が終わった。
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翌日
7時にメイドが朝食を各自の部屋に持ち運んでくれた。今日の9時半に謁見の間にて国王直々に今回の転生の説明が行われると伝えられた。俺たちは時間まで自由に過ごし、説明のある時間となった。
目の前にある建物の一階分よりすこし大きいくらいの扉が開き、そこからは眩い光と拍手の音が漏れ出す。近年の小説でよく見られる不穏な雰囲気というものは昨日の対応などから考えても考えずらく、すこし安心している。
王座まで一直線に伸びる様々な技巧を凝らした一級品であろう赤い絨毯と、その絨毯の左右には貴族らがこちらを見て笑顔で拍手を送っていてくれている。その光景はこの国の繁栄の凄さをそのままに物語っていた。
絨毯の切れ目まで来て、事前にメイドに教えてもらっていた通りに一同跪くと一転、大きな拍手は止み、謁見の間に緊張した空気が漂う。
「表をあげよ。」
王のその言葉で俺らは顔を上げ、王の方を見る。銀髪で白人系の顔をした四十代後半くらいの男性だ。国王としてはまだ若さを感じるが、顔つきや、雰囲気が国王としての優秀さを感じる。
「そう固くなるな。救世主よ。なに、別に、取って食ったりなどせんよ。もっと楽にせい」
国王はそういい軽く笑みを溢す。国王の友好的な雰囲気に僕らは少しずつ張った気を緩め始めた。
「うむ。今回は救世主。貴殿らの転生にあたっての経緯の説明であったな。」
こちらが気を緩めたのを確認し、納得したかのように相槌し、宰相とこちらに返答を求めたので俺達と宰相は国王の問いに対して「はい。」と一言返答をする。
「まずは、救世主よ。貴殿らにも生活があっただろう。それをこちらの理由があったにせよ、身勝手な転生を行ったこと誠に申し訳なく思っている。どうか、許してほしい。貴殿らの処遇に対しては儂が自ら責任を負う。」
俺らは突然の国王が頭を下げると言う事態に困惑したが、すぐに俺は頭を上げてもらえるように言った。
「救世主殿の温情に痛く感謝する。して、貴殿らの長は御主で間違いあらぬか?」
「い『ハイ、そうです。』…はい。」
ライトに無理やりリーダーを押しつけられた。その事態を察してか国王は楽しげに笑う。
「うむ。御主が長で間違いないようだな。」
国王からも認定されました。ありがとうございます。もう逃げ場なしですか、えぇ、やったりますよ!
「救世主の長からも許しを得られた。ここからはこちらの現状と、主らに課す役目について話すとしよう。」