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Gamers Chronicle-ゲーマーズクロニクル-   作者: クロノスタシア
第1章 天魔大戦 アーカイム
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第一話最強ゲーマー転生する。

第一話:最強ゲーマー、転生する。


 ゲーマーの朝は早い。今日はクリエイト ザ オンライン通称CTOでサービス開始5周年イベントが朝の4時から開始される。俺はそのイベントのために、前日から飯や水、エナジードリンクなどの買い込みと一週間の休暇を会社に連絡するなど、様々な準備をし、万全の状態で挑む。トイレはイベント開催時刻外の1時間三十分の間に済ませればいいのだ。この仕様はCTOサービス開始時からあるもので、健康上に害をきたしてしまうプレイヤーを減らすためということらしい。

 今回のために有給は溜めていたし、それなりの成果を出さないとと、意気込む。ログインは済ませてある。あとは4時になると同時にマイホームに入るなり出るなりでロードさせ、イベントに直行だ。

そして、4時になり、俺はマイホームから出てイベント開始ポイントである王都噴水広場えと向かう。俺がついた頃には、まだほとんどのプレイヤーが来ておらず、居るのは廃人プレイヤーと謳われるレート最上位プレイヤーばかりであった。自慢話となるが、仕事をしつつ廃人プレイヤーに仲間入りを果たしているプレイヤーは俺だけ。あとは皆プロゲーマーだ。プロゲーマー界でも俺がプロゲーマーになればレートランキング一位は、かたいと言われているらしい。ちなみに俺のレートランキングは6位、一位とのレート差は15000程度。決して少ない差ではないが1日のプレイ時間がむこうの方が7、8時間多く、総プレイ時間は何百、何千時間と違うのだ。

 そんな俺の自慢話やら同じ廃人プレイヤーとの談笑をしている間にポツポツとプレイヤーが集まり始め、イベントが開始された。

 今回のイベントは大きな追加要素が多数あり、流石5周年イベントだ。一つめは"複数個の"新マップの追加、二つめは新スキルの"多数"追加、3つめは、"複数の"新種族の追加、そして最後、5つめは"複数の"新機能の追加となっている。しかし、今回の追加要素は事前情報等一切ないので全て不明となっている。恐らく、今回のストーリーイベントで明らかになってくるのだろう。CTOではこのような事は案外あることで、誰も驚く事はなかった。そもそものコンセプトとして、『この世界ではすべてができる。君自身で探し出し、作り出せー。』と言うものなのだ。つまりはNPCなどから情報を得ながら新要素を探してくれ、と言う事だろう。

 イベント開始のテキスト画面と聞き慣れたイベント開始音が少し豪華にアレンジされ会場に響く。1人のNPCが前に出て、イベント開始を宣言する。と、同時に数十名のプレイヤーの足元に魔法陣のようなエフェクトが表示された。俺の足元を見ると俺の足元にもこの魔法陣があった。魔法陣のあるプレイヤーを見ると、レート上位から新規プレイヤーまで、無作為に選ばれたプレイヤーであることが見て取れた。これが五つめの追加要素なのではと思うものが多い様で、魔法陣が展開されていないレート最上位勢は早くも要素解明に取り組むべく魔法陣を血眼になって見ているようだった。

 魔法陣の展開が完了したようでエフェクトは発動待機時のものへと変化する。その後、魔法陣が発動のエフェクトを放つと同時に俺の体に浮遊感や、まるで現実とゲームが混ざり合うかのような感覚になり、見覚えのある空間に送られた。

 そこは一面白い薔薇と大理石の神殿。ラピスラズリのように深く、美しい空のある世界はゲーム開始時や、キャラクター作成時に訪れる女神のいる世界、通称天界にいた。俺はサブキャラクターも禄に作らなかったので、ここに来るのは久しく、ゲーム内なのに空気が美味いなんて思っていた。あたりを見渡すとまだ、プレイヤーはいるらしく、本来は女神とプレイヤー一対一でいるせかいに数十名のプレイヤーがいるとなると不思議なものは感じたが。

 神殿の中からいつも通りに女神が降りてくる。何人もサブキャラクターを作ってきたエンジョイ勢は親の顔より見た風景だろう。俺たちの前に現れた女神が発した言葉は、


「皆さまはこちらの世界、アーテリアに大変勝手ながら"転生"させて頂きました。」


と言うものだった。いや、そこは「貴方の魂はこれからアーテリアに向かい、様々な経験をします。その旅路にどうか幸が多い事を願っております」テキストフレーズ[種族/性別をお選び下さい]だろ。と突っ込みたくなったが、「テンプレイベント乙乙」と笑うものばかりでマジに受け止めている人はいなかった。しかし、この動きのヌメヌメ感、空気感など()()()()()にも第六感的にもゲームの一言で済むものとは俺は到底思えていなかった。そう。いま、風がなびいたのだ。今までだとあり得ない。

一部のプレイヤーはその違和感に気がつき、気味悪いように女神を見つめていた。


 俺は冷静に挙手をして、女神に質問した。


「本当に転生なんですか?ゲーム要素ではなく?」と真剣に聞く。


「はい。本物の転生です。死んだら終わりです」すると女神からも真剣に返答された。


「クフッ、ハッハッ、ハーッハッハッハッハ当たり前だろ!これはげーむなんだからその回答が来るに決まってるさ!バタッピーさんよぉ!」


 腹を抱えて大笑いする大柄な大剣を持った男性はレートランキング5位のイエローペッパーさんだ。大剣使いとして最強の有名プレイヤーだ。


「まぁまぁ、そんな笑わないですよ、黄ペッパーさん。どちらにせよ進めるには話しかけないといけませんからね…」


「それに少し違和感があるんですよ、ゲームの筈なのに互換があることに。」


少しはっとしたようすをするがすぐにさっきまでと同じように言葉を返す


「でもよぉ、CTOではよくあることだろ、これもどうせ、5周年に合わせた改良だろ」


「まぁ、もちろん俺もこの世界が現実なんて思いはしてませんよ。これが、改良と捉えればどうとでもなりますからね、それがCTOです。」


「あぁ、そうだ」


「ですが、一応考慮して動いた方がいいのは本当です、キャラクターロストが新機能のひとつかもしれませんしね。」


「そんなクソアプデいらんがなぁ、まぁ、死ぬって言われたんだ。この世界には一定条件満たすまで入れなくなったりするイベントの可能性だってあるのは確かだな。わかった、一応注意しよう」


「あの。そろそろいいでしょうか。」


話が一通り終わったところで女神から一言言われ、プレイヤー全員は静かに女神を見る。


「コホン。それでは改めまして、皆さまは私、女神パルティーアが、大変勝手ではありますが"転生"させて頂きました。皆さまのーーー。」




□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□




 女神パルティーアからの説明があった。

内容をまとめるとこうだ。


1.俺たちは(設定上?)ゲームの中の世界に転生   

したらしい。


2.転生時の能力は今の能力、ステータスに加えて、一つ"アビリティ"が追加されたようだ。


3.この世界で起きている謎の異変を突き止めて排除してほしいとのこと。


4、死んだら終わり(キャラクターロスト)


とのことだ。

その説明が終わると転生の準備作業やらなんやらで呼びに来た従者(天使)とともに神殿の奥へと消えて行った。


 設定上にはてながついているのはログアウトのボタンが消滅し、緊急ログアウトも不可能だったのだ。イベントの仕様とも考えられるが緊急ログアウトができないことで少し、転生という事態に信憑性が増したのだ。

 ログインボタン確認の時にステータス画面も見たが、ちゃんとアビリティが追加されているを確認した。これが新機能の一つなのは確かだろう。俺のアビリティは【種族変更】だ。名前通りならそのまま種族が変わるという一見して地味な能力だが、実はかなり強かったりする。

 この"種族"というのにどうやら制限がないようなのだ。スキル[変化]と同じようなものとすればテキストに人型のみや、プレイ可能種族のみなど書かれている。このスキルにはそれがないのだ。だから、おそらく"種族"ならなんでもなれるのだ。龍にでも、天族にでも。あとは種族固有のスキルを使えるのか、など、色々と調査する必要がある。このゲームはテキストに書かれてないところでも制限があったり、差があったりするのだ。それを理解して使うのが廃人というものだ。

 他のプレイヤーがもらった能力が気になるが教えてくれる人はまずいないだろう。このゲームは情報量の差で勝敗がつくと言っても過言ではない。どれだけスキルについて知っているか、どれだけその武器について知っているか、どれだけその素材につ知っているかなど。

 俺がプロゲーマーななれば最強と謳われている所以もそこにある。俺は俺にしか作れない武器のシリーズが7つある。そして、おそらく俺だけが持つスキルがあるのだ。

 武器のシリーズについては俺だけの知るいくつかの素材の製造放送とその素材とその素材の組み合わせなどで作ることのできる武器だ。

 スキルは[鑑定]。正しくその素材の性能、性質を理解できるという、情報戦争において最強のスキルを持っているからだ。このスキルは周りにも周知されているが、取得条件を知るものがいないからだ。取得条件は正しく、25つの素材の性能、性質を"完璧"に理解し、50この武器の性能、性質を"完璧"に理解することだ。このスキルは前述した素材と武器の製作過程で得た副産物の様なものだったが、今ではこのスキルの方が良く使っている。これで俺は最強と言われている。

 逆に言えばこの情報を知れば誰でも最強になれるというくらいに情報とはこのゲームにおいて命だ。そんな命といえる、アビリティの能力を教えてくれる馬鹿なんてー。


 「お!アビリティが追加されてるぞ!パタッピー!お前のはどうだったか?俺のはー」


 「おいおいおいっ、それ以上言うな!お前自分から自分の振りになる様なことを言うなと何度言えばわかるんだ!」


 慌ててぽろっと情報を漏らしそうになるイエローペッパーを叱る男騎士はライト。レートランキングは4位。イエローペッパーとライトは一時期同じクランに入っていたことがあり、それがきっかけで良くコンビを組んでいるので仲がいいのだ。


 「なんだよ。別にアビリティ言ったって不利にならないだろ。それにパタッピーだしよぉ」


 「盗み聞きとか、最悪パタッピーだってこれから敵運営の傘下に入る可能性だってある。転生先が分かるまでは警戒を怠るな!」


ビシッと指を指し警告する。それを見てヘラヘラと笑う、黄ペッパー。うんうん。男子高校生みたいでよろしいこった。


 「そうだぞ。黄ペッパー。俺だってお前らを裏切るつもりなんて毛頭ないが、敵陣に組み込まれた場合は状況によってはって事もあるだろう。ま、ライトの言う通りだから、うっかり言わない様にな」


 俺の方からも一つ注意をすると、ヘラっとした感じで「おう!」と言いつつ笑う。やはりこいつの笑顔を見るとヘラヘラするなと言えなくなる。許してしまう、なんとも言えない笑顔だ。


 「皆さん!お待たせしました。転生の準備ができましたので、魔法陣の上にお乗りください。」


とちょうどいいタイミングで数名の従者をつれて戻ってきた。

女神の前方には半径5メートルほどの大きな魔法陣が組まれた。数名が溢れていたので魔法陣に乗り、そのタイミングで従者が女神とともに魔法陣の制御を始めた。


 「これから皆さんをファーネア王国、王都、王城の広間にて、召喚の儀に応じて召喚します。先程、敵陣に組み込まれる可能性を考慮されていた様ですが内乱等ない限りはあり得ませんのでご心配なさらず。」


 「それでは。転生先での人生に多くの幸福があることを願っております。お元気で。」



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