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しんりがく
ねむい
ヒトというものは、おおよそ形を持っている。
これは非常に面白いことだと、僕は思う。
ヒトであればおおよそ目で見れば、それはヒトだとわかるほど、その形の多くは似通っている。
頭があり、顔があり、首がある。
胸があり、腰があり、足がある。
肩があり、腕があり、手がある。
長年の清流に流され、転がりぶつかって河口に追いやられた石のように、代わり映えせず、見紛えることがないほどつまらなく定まる。
そうしてできあがったこの群れを、その一部から一部へとその形を見たところで、なにも意味はないと思えるほどに我々はヒトの形をしている。
これはとても面白いことだと僕は思う。形を見るだけでここまでヒトだと分かれば、そう恐ろしく思うこともないだろう。
どれだけ、いったいどれだけ、
なんと思われているか、
どう感じられているか、
なにを考えているのか、
塵芥ほどにも理解できぬとしても、それは同じ形をしていたのだった。
だるい