6.ドラクエ10との出会い~春鹿さん編~
春鹿家の親・子・孫の3人でドラクエ9をクリアしてから数年後、ドラクエ10の発売日が決まった。
しかし春鹿さんはドラクエ10という作品にあまり乗り気ではなかった。
どうしても「オンラインのドラクエ」というものがイメージしにくかったのである。
やがてドラクエ10が発売された。
娘さんとお孫さんは発売日に買ったのだが、春鹿さんはそのゲーム画面を見て拒否反応が一気に増幅した。
画面いっぱいに人?モンスター?が表示されていて、それらがそれらがうじゃうじゃ動き回る様子にびっくりしてしまったのだ。(後にグレンの入り口付近の賑わいだったと判明する。
このキャラクターひとつひとつを誰かが動かしている―
それは今までのドラクエでは感じたことがない違和感だった。
『これは私には合わない!』そう思った春鹿さんは、発売してからしばらくアストルティアの地を踏むことがなかった。
拒否反応を示していた春鹿さんをオンラインの世界にいざなったのが娘さんだった。
自分だけ楽しんでいるのもなんとなく悪いという気持ちがあり、今までドラクエをたっぷり遊んでいた母親ならばきっとハマるはずだと考え、かなり強引に誘ったそうだ。
その熱意にほだされ、ついに春鹿さんはアストルティアへと足を踏み出した。
ドラクエ10の発売から3ヶ月が経過していた。
オンラインのドラクエを始めてみると、完全な食わず嫌いだったと後悔した。
あれだけの拒否反応が嘘のようにのめり込むようになった。
だが、しばらく遊んでいるうちに少し不満が出てきた。
それはフレンドが全然増えないというもの。ずっと娘と孫と遊んでいた春鹿さんは一緒に遊べるフレンドさんがほしいと漠然と思うようになった。
なかなかフレンドが出来ない現状に動いたのは、やはり娘さんだった。
彼女はフレンド募集の方法としてmixiを利用することにした。
「64歳の母親がドラクエ10をしています。どなたかフレンドになっていただけませんでしょうか?」
こんな文章を作り、母親のフレンドになってくれる人を募集したのだ。
だがすでにmixiを利用しているドラクエ10プレイヤーは少なく、フレンドになってくれる人はなかなか現れなかった。
諦めかけたその時、一人だけフレンド申請がやってきた。
それがセブンさんとの出会いだった。
以来、ゲームの中はもちろんのこと、リアルでも定期的に顔を合わせて美味しいレストランや料理店で食事と歓談を楽しむ仲になった。共に子育てを終えて孫も顔も見ることが出来た者同士、会話が弾まないわけがなかった。
二人が出会って4年目以上が経過する。ドラクエ10というゲームが巡り合わせてくれた友情はゲームの中でも外でも全く色あせることはなさそうだ。




