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新装備での戦闘

 やはり目が覚めると記憶はおぼろで、何をやってたかは思い出せなかった。

 ただ良く寝たというリフレッシュ感は強く、体の疲れもとれている。

「また夜の楽しみ……って事かな」

 記憶はないが充実しているのは感じていた。続きは仕事から帰ってからだな。



「疲れた……」

 外箱がへこんでいたとかで、クレームが出て、ヘルプで謝りに行く羽目になり心底疲れた。

 傷は新しくなかったから、宅配中の事故じゃないとは思うが、平謝りするしかない。

 結局、通販の商品を幾つか渡して解決するとか、不条理にも程がある。

 むしゃくしゃする気持ちを抱えながらも疲れた体は眠りを欲し、ベッドへと倒れ込むように眠りに入る。




「あ、おはようございます」

 気がつくと目の前にはスザンヌが立っていた。洗濯かごを持ちながら、にこやかに笑いかけてくれる。

「ああ、おはようございます」

 こちらも挨拶を返し、ささくれた心が癒やされるのを感じた。

「干すの手伝うよ」

「え、いいんですか? 何も出ませんよ?」

 からかうように笑う彼女と過ごすことこそが報酬だった。


「さてと」

 スザンヌの手伝いを終えると、俺は自分の仕事に取り掛かる。裁縫ギルドで受けられる初級依頼から、刺繍を選んでこなしていく。

 刺繍担当のクルルは、寡黙なタイプで今はレース編みを続けていた。

 その隣で簡単な名前の縫い取り作業をこなしていく。狂いが許されない装飾刺繍とちがって、多少曲がってもいいそうな。

 文字はアルファベットで比較的シンプル。漢字とかは難しそうだな。

 俺はポタミナからアクションコマンドを呼び出して作業を開始。自動的に作業が進んでいく。自分の手が勝手に動く感覚は不思議だが、手本を示されているようで自然と刺繍の動きが分かってくる……気がした。

 そうやって1時間ほど刺繍を繰り返し、報酬を受け取る。


「お、来たかな」

 ポタミナを確認した俺は、『裁縫』スキルから分岐した『裁縫:刺繍』スキルを習得していた。

 特定の行動を続けると、スキルが専門化するのだ。これは最初の学校で、『戦士』スキルから『戦士:片手剣』が分岐したことで分かっていた。

 専門化されると能力値への影響にも変化がでる。戦士の場合は、片手剣になると筋力と器用さが上がりやすくなる。

 斧などの場合は力に特化され、盾を持つと体力が上がりやすい。

 裁縫の場合も、洗濯なら体力や筋力、デザインは知力といった能力が上がりやすくなる。

 俺は刺繍で器用さを磨いていた。


 スキルが分岐し、報酬も少し溜まったので、武器を買いに商店へと向かった。

 ガンガン狩りに行っているプレイヤーは、羽振りが良さそうで装備品がワンランク上がっているようだ。

 酒場で盛り上がっている姿が見られた。

 稼ぎだけならパーティを組んでメインのシナリオを進めるのがいいんだろうな。

 俺は俺の道を進むが。


 武器屋に入ると片手剣を見て回る。ひとえに片手剣といっても様々だ。

 剣としてイメージされるロングソード、両手でも使えるバスタードソード。突きに特化したフルーレやレイピア、サーベル。

 そして人気があるのは日本刀。

 そんな中から俺がチョイスするのはシャムシールという剣だった。

 日本刀よりも更に反り返った刀身が特徴的な斬撃に特化した武器。

 アラビアンナイトなど中東で使われていた刀だ。

「ま、単なる人と違うものを使いたいってだけだけどな」

 それとサブウェポンにマンゴーシュを探したがなかった。利き手とは逆の手に持つ、相手の攻撃を捌く事を念頭に置いた短刀だが、マイナー過ぎたか。

 仕方なく短剣ダガーを購入して、左手に持つことにする。二刀流も人気のスキルだが、ここは妥協。

 俺が目指すのは器用さに特化した戦士だった。



 新しい装備を手に平原に出てみる。まずは倒したことのあるグラスボア。

 茶色いイノシシを見つけて斬りかかる。

「おおっ、これは」

 はじめての武器、二刀流によるペナルティ、少し時間が空いていた事。それらの要因が重なって、ボアの毛で刀身が滑った。

 最初の一撃を受けたことでボアも戦闘態勢に入る。俺は慌てながらも構え直してボアに対する。

 相手の攻撃を避けながら、何度も切りつけてようやく倒した時には、俺もボロボロになっていた。


「弱くなってるじゃん!」

 両手にサイズの違う武器を構えることで、体のバランスがおかしくなっていた。

 そのために攻撃に力が入らず、避けるのもワンテンポずれる。

「基礎ができてないのに無茶しすぎたかなぁ」

 まずは片手でシャムシールの使い方を覚えることにした。


 武器の性能としては、最初にもらったショートソードよりも強い。ちゃんと振るうことができれば、早く倒すことができた。

 ショートソードは剣ではあるが叩き切る感じで、シャムシールは純粋に斬る武器。

 長く斬りつけ、振り切るのが大事だった。

 延々とボアを撃破し続けて、その日の活動は終了。気づくと『戦士:片手剣』から『戦士:斬撃刀』に分岐していた。

明日からは更新ペースが落ちます。

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