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村の発展に向けて

「さて今後の方針だけど、バスティーユ城はまだ無理。戦力の充実を目指しつつ、バルトニアを発展させていこうと思う」

 新しい人も増えた事もあり、ルフィア、アリス、リオン、ケイト、シナリ、コルボを集めた食堂で、会議を行う事にした。


「ふむ、それは良いが、具体的に何をするのじゃ?」

「それなんだけど、バルインヌ地方には、まだ人の住む村があるはずなんだ」

 イザベラから貰った地図には、魔導炉の他にも村の所在も記されていた。


「他の村と合併して、人を増やしていって、安全を確保しつつ、産業も発展させたいと考えている」

「なるほどのぅ」

 黄昏の傭兵団との共同作戦では、素材の確保を主目的に、魔導炉を攻略していった。

 道から外れていた村々には寄らずに先へと進んでいた。



「ケイトはまだ戦闘経験が乏しいので、魔導炉攻略は難しいとおもうんで、まずは普通の戦闘をこなして、連携も確認しておきたい」

「頑張りますよ」

回復職ヒーラーなら、回復するだけだろう?」

 リオンは敵ごとに対応を変えなければならない前衛よりも、回復職を簡単に考えているようだ。


「それでも立ち位置だったり、仲間の体力管理だったり、やる事は多いはずだ。いきなり乱戦となったら、回復する余裕が無くなるかもしれないからね」

 回復職は敵だけではなく、仲間を見る必要もある。戦場全体を把握しながら、状況を判断するのはやってみないと苦労が分かりづらい。



「後は村の施設の充実だな」

 ケイトの為に工房を作る事になっていた。建物自体は、ルフィアがミュータント化した材木で作ることはできる。ただ色々と臭いが漏れたり実験に失敗したりすると、面倒な事になりそうなので少し離れた位置に作りたい。

 人が増え始めると、畑も現状では足りないし、家畜などを飼うためのスペースも欲しい。鶏などを飼えば、食肉だけじゃなく卵も採れるはずだ。


「大掛かりじゃのう」

「国を作るんだから、先はもっと大変になるよ」

「国……か。アトリーはそこまで考えてくれておるのじゃな」

「やるからにはちゃんとしたいからね」



「私はこんな隅っこなんですか?」

 村の地図を見ながら、ケイトはやや不満そうな声をあげた。

「錬金術をやりたいならね。硫黄の臭いの中で食事とか嫌だし」

「それはそうかも知れませんけど……」

 新しい住人でもあるし、納得してもらうしかない。

 土木1号を利用して、村の拡張工事を行う事にした。



「アトリー、僕の探鉱は?」

「それも並行して行いたいけど、まずは鉱脈を探すところからかな。この村の周辺で、鉱石の取れそうな所を見つけたら、そっちを開拓していく」

「なるほどね。じゃあまず探してくるよ」


「ルフィアは広くなる村や畑を仕切るための柵の準備。シナリは村の様子を覚えてもらって、調理をしやすい環境や畑で育てて貰いたい物を確認してくれ」

「ふむ、仕方ないのう」

「わかっただよ」


「コルボとアリスは、警備計画の見直しをお願いしたい。村が広がると、見張る場所を変えないとダメかもしれないから」

「わ、分かりました」

 コルボは緊張した面持ちで頷いた。元々村の代表ではあった彼は、責任感が強い。立派な警備主任を務めてくれるだろう。




 俺はイザベラから貰った地図で、どこに向かうかを選定する。  

 黄昏の傭兵団と共に閉鎖した魔導炉は4つ。予め止めていた1箇所を含めて、南西部は漏洩が止まっている。

 その中で人が住むとされる箇所は、3つほどあった。


「まあ近いところからか」

「じゃあ、ここですね」

「ケイトいたのか」

「村の拡張が終わるまで、工房もできないですしね」

「ここに腰を据えるにも、用意がいるんじゃないのか?」

「それくらい揃えてますよ。いつでもアトリーさんの側に行けるように」


「手伝ってくれるのは嬉しいんだが、自分の楽しみも考えてくれよ」

「だからこうやって側にいるんじゃないですかぁ」

 俺の腕を取って、身を寄せてくる。豊満な胸が遠慮なく押し付けられ、柔らかな感触を伝えてくる。


「ちょっ、離れろよ」

「嫌です。私は私の楽しいことを目指すんですから」

 彼女の頑なな様子に、少し覚悟を改める。

「多少好感を持ってもらってるのは分かるが、俺も男なんでな。あんまり、あからさまにされると困るんだが」

「私だって、必死なんですよ。折角同じゲームをはじめて一緒にいれると思ったら、周りに美少女ばっかり侍らせてるし」

「侍らせてるっていってもNPCだしな」

「でも彼女達はアトリーさんを好きですよね。アトリーさんも満更でもないようですし?」

「そりゃまあそうなんだが……」


「だったら振り向かせる為には積極的に行くしか、無いじゃないですか!」

「そもそもなんで俺なんかに……」

「それはアトリーさんが、物覚えの悪い私にも優しくしてくれたからですよ」

「そりゃ、新人教育の話だろう」

「でも他の人は失敗したら怒るだけだったんですが、アトリーさんはどうしたらいいかを考えさせてくれましたし」

「そこは年の功だよ。一回り違うおっさんだからなぁ」

 後輩の指導は先達の仕事。それでも何度も教えてようやくそれなりになるものだ。

 たまたま俺の丁度よいタイミングに当たっただけだろう。


「それにここで俺を説得しても、現実には伝わらないんだぞ?」

「そんな事は無いと思います。深層心理の具現化が夢であるなら、夢の記憶は人の深層に響きます」

 色々と考えての行動ではあるらしい。頭ごなしに否定しても納得はしないだろう。


「君が本気なのは分かった。ただ一つ忠告するとすれば、俺は押されると反発する方だからね」

「そうみたい……ですね」

「俺は俺でこの世界を楽しみたい。それを邪魔するようなら、君への好感度も落ちる。夢が現実に影響するなら、無茶はしないでね」

「うう〜ん、手ごわそうですね。でもそれだけにやりがいがあります」

 不敵に笑う彼女の迫力に少し押される。本当、なんで俺なのかねえ。




 翌日、ようやくデスペナがなくなって戦闘にも支障が無くなる。とはいえ、村の拡張工事も始めたので、探索もほどほどに留める予定だ。

 俺とリオン、ルフィアとケイトを伴って、一番近い村と記された場所へと向かうことにした。


 道中、ケイトが何か仕掛けてくる様子もなく、ルフィアと何やら話している。

 ルフィアは錬金術に詳しくないという話だが、それでも古代の知識を持っていた。聞きたい話も多いだろう。


 ちらほらミュータント化した獣が襲い掛かってきたが、それなりにレベルが上がり、ミュータントの変則的な攻撃にも慣れてきている。

 さらには回復要員が居てくれる安心感も大きかった。ケイトは色んなゲームをやってきただけあって、状況の判断はある程度できるようだ。



「この辺りのはずだな」

 魔導炉の魔力漏洩によって近くの木々は変形していて、葉もなく見通しはいい。

 少し大きな岩に上って辺りを見回してみるが、荒涼とした土地が広がっているだけだ。


「ルフィアは何かわかる?」

「うむぅ、この辺りは魔力の残滓が多くてよく分からぬな」

 オタリアの調査隊は、ここらに人の気配を感じたはず。何か探索する方法はあるはずだが。


「見回してわからないって事は地下かな?」

「もしくは、既に移動してしまったか……だな」

 本職の盗賊でもいれば、痕跡を調査できるのかもしれないな。


「仕方ない、帰るか」

 ケイトの戦闘経験を積んだとして、村へと戻ることにした。

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