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王国の礎

ちょっと短めですが……

 魔導炉が止まり、トミコなどのボスがいなくなった施設。動力を失い動かないままのゴーレムを解体する作業が始まった。

 それでも僅かに動くゴーレムがいたり、トラップが仕掛けられていたりと、ダンジョンとして攻略していく楽しさがあった。

 アームストロングの側にいるトミコは、何かだかんだで楽しそうで安心する。



 俺達は魔導炉内部の探索は程々に、周辺の植物を伐採。王国とは名ばかりの村を拡張するための資材集めをしていた。

 木こりスキルを持っている事で、次々に材木を切り倒していくリオンたが、その表情は色々と考え込んでいるのか暗い。


「どうかしたか?」

「アトリーも強いんだよな」

「さあなぁ。一応、昔はあるゲームで全国大会に常連になる程度には勝ててた」

「守ってばかりの変な戦い方で?」

「変っていうか、カウンターな」

 確か漫画で『後の先』って言葉が気に入って、それを連呼してたのが最初だった。

 実際にやってみると難しい割に、ミスが致命的になりうる茨の道だったが。

 ただ決まった時の格好良さは格別だ。


「それをなんで辞めたの?」

「動体視力が追いつかなくて、カンでプレイしたり、社会人になって時間が取れなくなったりかな」

「そうか……」

「ただなぁ、俺の中では逃げだったんだよな。言い訳というか。もっと出来たはずだとか、ああすれば良かったって後悔は幾つかある」

「そう……なの?」

「実際、この世界では時間も気にしなくて良くなって、身体的な衰えを感じなくなって、アームストロングとやれたのは単純に嬉しかったし、まだキャラが詰めれてないのを痛感したよ」

 薄れていた当時の情熱が蘇ってくるのを感じている。


「リオンは、何かを堪えてるよな。清掃ゴーレム相手に見せた動きが、本来の姿なんだろう?」

「!?」

 他人のプライバシーに関わりそうで踏み込まなかったが、ここは夢の世界だ。そこで何か大事な物を抑えつけているの勿体無いと感じていた。


「リオンの体幹、バランス、回転に強い三半規管に、スピードを恐れない度胸。それらが合わさった時、アームストロングを越える強さが出ると思うぞ」

「でも、それは……」

 あの動きは氷上スポーツ。それに回転への強さやら、ジャンプする勢いを見ると一つのスポーツが浮かぶ。


「そうだな、ローラーブレードみたいなのがあればいいんじゃないか?」

「でもそんなもの、この世界にあるかな」

「なければ作ればいい。このマンゴーシュだって、依頼して作ってもらったもんだしな」

 求めるモノがあれば、それに向かって前進する。言うは易いが、実際に動くのは難しい。

 リオンの場合は、割り切れない何かを抱えているようだしな。


「幸いここは本来使えない時間の夢の世界。結論を急ぐ必要はないさ」

 ただそれでも時間は有限か。

 俺はアームストロングとの再戦に向けて、キャラのチューンナップを妄想していった。




 魔導炉の探索を切り上げると、バルトニアの発展に努める。切り出してきた木材を、ルフィアが様々に加工していく。

 子供達の部屋の他にも、幾つかの小屋を建てて、食堂やら作業場やらを整えていった。

 そしてルフィアが気合を入れて作ったのは、仮の王室と言う名の単なる個室。扉なども備えて、一応密閉された空間になっている。

 仕方なくルフィア用の布団をあつらえて納品。少しふわっと綿多めバージョンだ。



 一方のアリスは、すっかり保母さんのように子供達の相手に奔走していた。

 寝床も離れたがらない子供達と一緒だ。思ったよりいいお母さんになりそうな雰囲気になっていた。

「お父さんは、兄様ですね」

 視線に込められた圧がすごく強かったです。



 子供達も自分達で役割を決めて、水くみやら洗濯、食事の準備などをこなすようになっていて、村の体裁はかなり整ってきていた。

 少年少女のリーダーにあたるコルボは、日夜槍の訓練を行っている。

 まだ10歳で小柄な体なので、リーチの長い武器を練習していた。戦闘用ホムンクルスとして、様々な武術の知識を持つアリスが指導している。

 まだ12人しかいない村民だが、彼らを守る気概はしっかりとしていた。



 俺は裁縫に興味のある子供達に、洗濯の仕方と破れた服の直し方を教えていった。

 大人がいなくなり、大きさの合わない布を巻きつけるように暮らしていた子供達。ワンピースなどを人数分揃え、着替え用の衣類も順次整えていっている。

 針子として俺に弟子入りしたのは2人、カミュとリーナ。共に8歳で、女子の年長にあたる。

 まだまだ手先は拙いが、やる気は見せて、針で傷ついても健気に頑張っていた。

 糸となる素材なんかは街で買うしか無いので、今は出費がかさんでいるが、そのうち綿花なんかを栽培できればと思っている。


 その点で期待しているのは、7、8歳の少年たちだ。今は大人達が使っていた畑を復活させようと、皆で耕し始めている。

 なかなか力と根気のいる作業だが、それなりに楽しんでやっているようだ。

 その下の世代達も掃除などを積極的に行って、今のところ村は発展する方に向かっていた。



「そういえば、バルインヌに入って最初の魔導炉は、あんまり探索できてないな」

 清掃用ゴーレムを撃破し、魔導炉を止めはしたが探索は中途半端だ。今の探索が終わったら提案してみよう。

 確か土木作業用ゴーレムがあるんだったか。一台でも動かせたら、畑仕事なんかが楽になりそうなんだが。

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