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元脱走兵との戦い

「ヒートスタンプ」

 リオンがいきなりこちらの指示を無視して、アクションコマンドを発動させた。

 その威力はさすがで油断していた野盗1人を打ち砕く。

 しかし、技後の硬直で野盗に囲まれる。


「くそっ」

 洞窟前の野盗をそれぞれに引きつけるべく、やや離れた位置にいた俺は、慌ててリオンへと駆け寄っていく。

 その間にもリオンは一方的に殴られている。

「ヘヴィスイング」

 しかし、そのまま次のアクションコマンドを発動させ、ノックバックさせて多少の時間を稼ぐが、再び囲まれる方が技の硬直時間より早い。

 サンドバッグ状態で殴られている。


 リオンを囲んでいる野盗は4人。そのうちの1人を背後から斬りつけ、注意を引く。そこからの連撃を叩き込み、倒し切る。

 その頃には俺が仕掛けるつもりだった2人も集まってきて、俺とリオンは5人に囲まれていた。


「邪魔、ヘヴィスイング」

 一言発した後、再びアクションコマンド。リオンのパターンに気付いたのか、2人ほど範囲外に下がって避け、すぐに攻撃を再開する。

 俺はノックバックされた1人を集中して倒すが、その間もリオンは叩かれ続けていた。


「おわっ」

 するとチャップからも声が。眠ったままの野盗1人を仕留めたようだが、他の3人が起き始めていた。

 このままではチャップも3人に囲まれるだろう。

「くっチャップもか」

「あっちいけよ」

 アクションコマンドの硬直状態のまま、そんな事を言うリオン。

「邪魔だから」

「わかったよっ」

 俺は切り倒した一角を抜けて、チャップの援護に回る。


 俺が2人を引き受け、チャップが1人。マサムネも援護に入って、チャップの相手を確実に倒す。

 その間、俺は2人の野盗を引きつけて、防御を優先させる。野盗の動きは野犬よりかなり遅い。注意して受け流せば、攻撃を受けることなくやり過ごせた。

 そして、マサムネ達が敵を倒し、俺の抱える2人に取り掛かり、俺も反撃に転じて倒しきった。


「リオンは!?」

 見ると武器を地面につき、膝立ちの状態で固まっている。周囲を4人に囲まれ、タコ殴りの状態だ。

「行くぞっ」

 リオンの元に戻ると、少し様子がおかしい。囲む野盗は必死にリオンを殴っているが、リオンに目立った傷はない。


「堅えぞコイツっ」

「殴り続けろっ」

 カイン、カインと金属音が響いている。どうやら布の服の下に、金属鎧を着込んでいたようだ。

 そんなリオンにかかりきりになっている野盗を背後から襲って数を減らしていく。

 リオンのアクションコマンドで体力の減っていた野盗は、程なく倒し切る事ができた。


「大丈夫か!?」

「問題ない」

 そういいながらも動かないリオン。

「どうした?」

「野盗の中に麻痺武器を持っていた奴がいたらしい」

「麻痺?」

 回復役ヒーラーがいないので、体力を回復するポーションは持ってきていたが、麻痺を治す薬はなかった。

「数分もすれば治る」

 リオンはぶっきらぼうに呟く。

 しかし、状況はその時間を待ってくれなかった。



「何の騒ぎだ?」

 3人の隊長格が現れていた。それぞれに、片手剣、両手で持つ大剣、槍を持っている。

「てめえ等、何モンじゃぁ」

 戦闘の痕跡と、いなくなっている部下から状況を察して、俺達に向かって武器を構える。


「マサムネとチャップで槍を持ってるヤツを。残りは俺が引きつけて時間を稼ぐ」

「わかった」

 マサムネとチャップは、すぐに行動を開始。俺も剣を持った2人へと向かう。


「部下達をやりやがったなぁ」

 片手剣を持った奴がリーダーらしい。俺に対して敵意をむき出しに、斬りかかってきた。

 マンゴーシュでいなしながらも、さっきまでの雑魚とは違う手応えを感じる。

 右手のシャムシールでの攻撃は、引き戻した剣で止められてしまう。技量も一味違うようだ。

 そこに大剣が降ってくる。

 寸前で横に飛んで躱すが、一発でも食らったらヤバそうな威力。

 さて、どうやって時間を稼ごうか。


 片手剣はさっきまでの野盗と違って、フェイントを入れながら斬りかかってくる。

 そこに大剣持ちも合いの手を入れるように、縦斬りを放ってきた。

 仲間を巻き込まないように、横向きには振られないのが救いではある。その分、片手剣の動きは複雑だ。

 大剣の縦斬りを避けながら、片手剣にはマンゴーシュとシャムシールで受け流す。

 攻撃に対応しようと片手を動かすと、それはフェイントで逆をつかれたり、フェイントかと思うとそのまま斬りにきたりで、結果として両手で対応せざるをえない。

 どうしても意識の比重が、片手剣に寄ってしまっていた。


「あっ」

 気付いた時には、大剣が俺の横を抜けて、まだ動けないリオンへと斬りかかっていた。

 膝立ちのまま動けないリオンは、大剣の一撃を受けてゴロゴロと転がる。

「くそっ」

「よそ見してんなよっ」

 リオンに気を取られた隙に、片手剣の一撃が肩を打つ。思った以上の衝撃だったが、痛みを堪えてリオンへと駆け寄る。

 追撃しようとしていた大剣持ちに斬りかかり、腕を浅く傷つけ中断させる事には成功した。

「痛えな、ゴラァ」

 振り向きざまの横薙ぎの一撃をかろうじてマンゴーシュで受け流し、体当たりを仕掛けるようにしてリオンと大剣持ちの間に入った。



 そこに追いかけてきた片手剣が再び加わり、2対1の状況に戻る。

 俺が避けるとリオンに当たるように大剣が振り下ろされ、それをさせまいとマンゴーシュで横に強く払い、僅かに軌道を変えさせる。

 そうやって、大剣の相手をしないといけなくなると、シャムシールだけでは片手剣を止めきれず、浅くではあるが確実に刃が体をかすめて、ダメージが蓄積していく。


 多少手傷は増えても、大剣だけは弾く。そこに集中する。

 野盗達は一方的な展開に、笑みを浮かべながら剣を振るってくる。

 まずったか……。

 減っていく体力、衰え始める集中力。大剣を止め損じるのが先か、片手剣に削り切られるのが先か。

 意識が朦朧とし始めた時、目の前の大剣持ちの野盗が掻き消えた。



「迷惑をかけた」

 それだけ言い置くと、弾き飛ばした大剣持ちを追ってリオンが駆け出す。ようやく麻痺が解けたようだ。

「仲間に見捨てられたな」

 満身創痍の状態で置いて行かれた俺に、ニヤニヤと片手剣が斬りかかってくる。

 しかし違う。リオンは俺に任せてくれたのだ。


「もうパターンは覚えてんだよ」

 注意を1人に集中させれれば、最初は不規則に見えた片手剣の動きにもパターンがあり、対処できる事は分かっていた。

 袈裟、逆袈裟と来て、突き、しかしコレは見せかけで本命は足。

 一番長い連携に合わせて、その最後の蹴りをシャムシールで受けて、動きを止めた所にマンゴーシュで突く。

 肩口にヒットして、怯んだところをシャムシールで袈裟斬りに。


「あ、ああっ」

 大ダメージにヨロヨロと後退する野盗のボス。

「ま、待て、待ってくれ。金なら出す、女達も返す、だから命だけはっ」

 すぐに武器を捨て、両手を上げて降伏の意を示されると、そこを斬りつけるのは、はばかられた。

「ちっ、じゃあ役人に引き渡す」

 俺は野盗の手を取り、後ろ手に回すとロープを取り出す。


「甘えな兄ちゃん!」

 ロープで腕を縛ろうと近づいた俺に対して、後ろ向きに振り上げられた踵には、短刀が仕込まれていた。

 しかし、ある程度行動を予測していた俺は、リュックを腹の方に回していた。そのリュックの底に短刀が突き刺さる。

「ひぁ、こ、これは、だな」

「捕縛するより簡単か」

 後ろ手に締め上げながら、シャムシールで首を掻っ切った。



 マサムネとチャップも槍使いを相手に勝利を収めていた。中距離が有利な槍を相手に、短刀の間合いまで詰めて2人で逃さないような立ち回り。

 連携をとって1人を翻弄したようだ。

 一方、リオンの姿は見えなくなっていた。彼の実力なら一度吹き飛ばした大剣持ちも、早々に片付けたはずだが……。

 するとポタミナにメッセージが届いていた。


『迷惑をかけた。報酬はいらない』


 それだけのメッセージで別れるつもりのようだ。しかし、そういうモノじゃないだろう。


『ちょっとの失敗でどうこうする気はない。一緒にクエスト達成を喜ぼうぜ』


 メッセージを送り返したが、相手がオフラインですとのシステムメッセージ。

 仕方なく再会を願ってる旨を改めて送り、マサムネとチャップに説明した。

 少し水を差された感はあるが、囚われの女性達には関係の無い話しだ。

 俺達は洞窟の中へと踏み入れる。

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