表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/117

西へと向かって

「なんか最近、元気ですね」

「ん? まあな。よく寝れるようになったから」

「へぇ〜何かはじめたんスか?」

「ちょっとゲームをな」

「は?」

 仕事の後輩に何となく話すが、一般人の反応はこうだろう。

「寝ている間にゲームするってやつ。あれのおかげで眠りが深くなって、疲れがとれやすくなってるんだ」

「ああ、一時話題になってた奴ッスよね。結構な値段で誰が買うんだって思ってたんスが、こんな近くにいるとは……!?」

 ちょっと茶化されてしまうが、まあそんなもんだよなぁ。

「ってか、先輩がゲームッスか?」

「これでも昔はかなりのゲーマーでなぁ」

「またまた〜」

 そんなに意外だろうか?



 廃坑で集めた鉱石をマサムネに買い取ってもらう。店に売るより高く、マサムネが店で買うより安く。

「掘ったらザクザク出るんだろうけど」

「そうでもないぞ。管理されてるところは入場料取られるから、元を取ろうとするとかなり疲れる」

「そんなもんか。とりあえず、マンゴーシュはいい感じだったぞ」

 廃坑を出て確認すると、『戦士:護剣』スキルが発生していた。

 マンゴーシュは売ってなかったが、スキルは用意されていたらしい。


「あとまだ確証はないんだが、作ってもらった武器の方が相性と言うか、馴染みが早い気がする」

「ほぅ」

「スキルの上がり方まで影響があるかは分からないが、戦いやすいのは確かだ」

「それはいい事聞いたな。プレイヤーへのウリにできる」

 色々とリソースが有限ということで、一時活況だった掲示板も大人しくなっている。

 情報を身内で抱えて有利に進めようという動きだ。更にはデマ情報まで出回りつつある。

 俺としては仲良くやりたいものだが、難しいのだろうか。



 今後、シャムシールの方も発注する予定を伝えて、素材面での協定を結び、俺は冒険を続けることにする。

 ルフィアは充電が終わるまで静かなので、その間に次の準備を済ます。

 まずはリュックに薪を運ぶための背負子しょいこを購入。鍛冶には火力が必要で、薪は大事な燃料。それを運ぶための道具も揃っていた。

 背負子にクッションを備え付けてルフィアを乗せ、シートベルトというか、普通のベルトを付けて背負う。


「恥ずかしいな」

 人形を背負って歩く男。うむ、通報モノだ。

 しかし、太陽光で充電しなければならないので、布で隠すわけにもいかない。

「いっそ、売り物としてカムフラージュする?」

 手持ちの材料を使って、ぬいぐるみを作ってみる。俺にはマサムネのようなデザインする才能は無いので、ポタミナから雛形を選んで、一番わかりやすいウサギのぬいぐるみを作った。

 それをルフィアの左右に並べて、売り歩くフリ……余計に怪しくなった気がするが、気にしたら負けかもしれない。



 今の目標はルフィアの故郷であるバスティーユ城跡だ。ただ敵も強く、距離もある。

 廃坑での鉱石で、多少財布にゆとりもあったが、出費もあったので装備を買い換えるほどもない。

 スキルの育成も『戦士:斬撃刀』『戦士:護剣』を軸に、戦士系と裁縫系で補填。なぜか一番高いスキルは刺繍だ。

 あと一応、二刀流も習得していた。両手の連携がよくなるだろう。


「でも我流での戦闘も限界はあるよな」

 ある程度の戦闘をこなして、やはり基礎は無いと、咄嗟に体勢が崩れやすかったり、連続攻撃に引っかかりを感じたりしている。

「一度、剣術指南を受けたいところだな」

 そんな事を考えながら、次の街を目指す。



 このゲーム世界は四国を思わせる横長の曲がった楕円。高知の真ん中から足摺岬を目指している感じだ。

 大陸の中心部は険しい山脈になっていて、かなり強い魔物が巣食っているらしい。

 そのため、バスティーユ城跡のある大陸北西部を目指すなら、沿岸部をぐるっと回るほうが、結果的に近道になるのだそうだ。

 とりあえず街道沿いに西に行くと、徒歩で半日くらいの場所に漁村があるらしいので、そこに行くことにした。



 朝早くにマルセンの街を出て、西に向けて歩く。

「ふあぁぁぁ〜」

 頭の後ろで呑気なあくびが聞こえた。

「ふぉっ、ウサギじゃ、ウサギ?」

 現状を把握できずにオロオロした様子のルフィアに声を掛ける。

「おはようございます、姫様」

「うむ、ご苦労じゃ」

 慇懃に振る舞っても、元が王族だと嫌みにはならなかった。

 モゾモゾと動く振動が伝わってきて、やがて肩の上に座ってしまう。


「折角特等席を用意したのに」

「あのようにぬいぐるみに囲まれておったら、売れてしまうやもしれんのじゃ」

 顔に包帯巻いた人形なんて売れるかなぁ。

「それに旅は前を向いておる方が楽しいしな」

「左様で……」

「む、あれはなんじゃ?」

 ルフィアの小さい手が前方を指差した。



 一台の馬車を囲んで、抜き身の武器を持った連中が集まっていた。お世辞にも綺麗とは言えない格好だ。

「襲われてる……んだよな?」

「そうであろう」

 相手の強さは分からないが、こういう時の冒険者の行動は、助けに入る、だろう。

 俺は馬車へと駆け寄っていった。


 御者台の上にいるおじさんに、剣を突きつける男と、荷台から荷物を運び出そうとする男たち。

 全部で5人か。

 多対1の状況は、実力差が無いと厳しいが、援軍を呼んでる暇もない。

「姫は危ないから隠れてろよ」

 リュックと共に近くの茂みにルフィアを置くと、俺は武器を抜きつつ野盗に迫った。


「やめとけ、野盗」

「なんだ、テメェ」

 遠距離武器を持ってないので、接近戦に持ち込むしかない。

 律儀に野盗共は作業を止めて、こちらへと集まってきた。御者を人質にする事もないようだ。

「旅の冒険者だかね、どうにも手伝ってるようには見えなかったからな」

「あん? 頭ぼけとんのか?」

「いや、間違って退治したらいけないと思ったが、間違い無さそうだな」

「けっ、余裕ぶってるのも今のうちだ。やっちまえ!」


 野盗の得物は、片手剣が3人、短刀が2人。飛び道具はいないようだ。

 動きはコボルトよりも鈍く、構えも雑。これはいけるだろう。

 シャムシールを担ぎ、左の護剣を構えて間合いを詰める。囲まれるのは賢くないので、接敵の直前で左へと大きく飛ぶ。

 近くの敵は追随して向きを変えるが、他の奴は手前の奴の陰に入る形になる。

「コイツっ」

 手前の野盗の一撃にマンゴーシュを当て、刀身に沿って滑らせ護拳の部分で外へと弾く。

「おう?」

 自分の片手剣が見た目は小さなマンゴーシュでいなされた事に、不思議そうな顔になる野盗。無防備になった胴体をシャムシールで袈裟斬りに。


 バックステップで距離を空け、倒れた仲間を飛び越えてきた奴を迎え撃つ。短刀を手に飛びかかってくるソイツは、手足にゴツイ防具を付けていて、こちらの斬撃を打ち払う。

 シャムシールが使えない状況で、飛び込んでくる野盗と向き合う。

 短刀とマンゴーシュとのクロスカウンター。護拳に守られた俺の手は無傷だったが、野盗の親指は深く傷つく。

「ああっ」

 手を抑えてうずくまるソイツにトドメは入れずに、更にバックステップ。


 そこへ次の野盗が切りかかっていた。なかなかの連携だが、リンクする敵への対処法は、過去のゲームで経験があった。

 攻撃を行った奴は動きが止まる。そいつが追撃しにくい位置取りで、他の敵を攻撃。回り込むように、敵の体を盾に立ち回るのだ。


 深追いはせずに、一撃離脱。こちらの被害は最小限に、着実にダメージを重ねる。

 動きが鈍ったところへ、致命傷を与えて一人ずつ。

「おぁ?」

 残るは親指を切った野盗だけになっていた。


「さて、どうする?」

「くそっ、覚えてやがれっ」

 テンプレ乙。

 俺は武器を納めながら、御者の下へと駆け寄った。野盗も倒されたらポリゴン片になって崩れたので、殺人というストレスはない……はず。



「大丈夫ですか?」

「ああ、俺は大丈夫だがちょっと馬車がな」

 見ると轍が深みに嵌って、動けないみたいだ。さっきの連中が仕掛けていたのか。

「ちょっと待ってくださいよ」

 俺は轍の具合を確認して、辺りから木の棒を拾ってくる。車輪の前に葉を噛ますようにしてから、棒で車軸を浮かせるように力をかけた。


「引かせて下さい」

 馬に荷台を引っ張らせると、ゴロゴロと轍を抜け出した。

「おう、兄ちゃん、手慣れてるな」

「手伝ったことがあるんでね」

 普段仕事で使っている台車もたまに溝に嵌ったりするのだ。

「いやぁ、何から何まで助かった。礼をしたいんだが、マルセンにこいつを運ばにゃならん。この先のメーべ村に寄るんだったら、ドーソンの家を訪ねてくれ」

 それだけ言い置くと、慌ただしく出立していった。漁村からマルセンに取れたての鮮魚を運んでいるみたいだ。


「とりあえず行ってみるか」

 ルフィアとリュックを拾って、メーべという漁村を目指すことにした。

ちょこっとテスト

挿絵(By みてみん)


まあ、下手な絵は載せないほうがいいんてしょうが……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ