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56 解放
ふう。俺は一つため息をつくと、右手を肉塊にかざす。命を失ったそれはもはや物でしかないため、魔法が通じるようになるからな……。
それは次の瞬間、高熱により消滅した。
「ふう」
さて。本来の役目をはたそうか。
俺は懐から小粒の魔石を取り出す。それを目の前のおっきな魔石もどきに向かって投げた。
投げた魔石がぶつかった瞬間、魔力の奔流が流れ出す。ただし、俺が投げた魔石に込められた魔法によって、指向性をもって。
込められた魔法は『解放』。魔力を産み出すための人形にするために掛けられた、何らかの影響からの。
それが何か分からなくても、解放すれば元に戻れることは、魔力の流れを確認した時に分かってた事だしな。
結果を確認するために、城の上部へと向かう。
最も高い屋根の上から、改めて魔力の流れを確認すると、魔力が正常に流れ始めたのを感じる。
「もう大丈夫そうかな」
残った役目は、神様の復活のみ。
しばらく、シェラが来るまではのんびりするか。




