53 ぶっとばす相手はどこだ?
最短距離、最小の休憩で、王都近くまで到着。
そこに到着するまでの状態も結構ひどかったわ。
なにしろ、緑がない。農地もない。一面、荒れ野原って、魔力の循環がなくなってるからだわな。自然がなくなってたわ。
街道も、王都までのメインの道は、石畳で舗装されてたけど、一歩外れると、荒れ放題。しゃーないから、王都まで一直線にきれいな街道を駆け抜けたよ。
途中の町の状態も、最初に立ち寄ったところと同じだった。どうやら、あの港は国の玄関口だからいじってなかったってだけのようだ。ようするに、時間稼ぎだな。途中会った配下の連中によると、どうやらもうまともに動ける人間は、あの港町だけになってるらしい。他は全滅。
そういうわけで、俺が例の巫をぶっとばして人々を回復させるまで、各々、できるだけ多くの人々を保護するように命じておいた。
応援も早めに来るように連絡をしといた。自我が戻っても動けなけりゃ、命を落とすだけだしね。
まあ、この状態なので、魔物が全くいないのだけは、移動の邪魔にならなくてたすかったけどさ。
そうして到着した王都。
……なるほどね。ここの人たちもみんなぼうっとしたまま、生命維持に使用する魔力以外は放出されてる。その魔力の奔流は、城へと向かっている。
……あそこに何かあるっていってるようなもんだわな。
ふん。上等だ。
あのバカ、さっさとぶっとばして、この国を解放してやるわ。




