46 披露宴から送別会へ
こうして、無事に式は終えたんだけどね。この後、他国からの来客たちも招いた披露宴がある訳なんだよ。
その時、他国訪問についても話す訳なんだけれどね、伝え聞いたところだとほとんど血統によって世襲制になっちゃってるみたいなんだよ。そこにダメ出しをしないとなんないわけで……今から頭がいたいわ。
「ゼオ、大丈夫ですか?」
おっと、シェラに心配させちゃまずいわな。
「へーきへーき。まあ、披露宴なんてさっさと終えて、のんびりしよ」
「そうですね。あの狸の方々のお相手は、私も遠慮したいですし」
いうねー。ま、外交官なんて狸じゃないと勤まんないしね。
さて、いざ出陣!
「いや、お美しい奥方ですね」
「巫殿も、なかなか立派な方で」
……はい、ダメですね。いや、俺、巫、なんだよね。巫って身分は王様と同等なんだよね。他国の人間であっても、いやだからこそ、敬う必要があるわけだよ。ましてやこの国って、一応世界最大の繁栄を誇ってるらしいしね。うちからの輸出が止まったら、大変なことになる国々もあるんだよ。特に最近は俺の影響か、技術的な面でも革新的らしいからね。
「衛兵。そこのものを捕らえろ。我が国の巫に対する不敬罪だ」
「はっ」
「な、なにをいっておられるのですか⁉」
あーあ。やっぱしこうなったか。それを見て他の国の来賓の人たちは唖然としてるよ。なんつーか、巫の意味わかってないのかよ。
「巫とは、神殿の最高位。その身分は王と同等。そのような者に対して同等の口を効くとは常識知らずだな。他国の方々はみなこのようなものなのか?」
うわ。王様怒ってる。……いや、まー、子供たち溺愛する人だから当然か。俺がバカにされたようなもんだし。
「じょ、常識とはどういうことですか? 巫は神の代理人ですが、それは自国の中だけで、他国の者である我々よりも身分は低い、最下層にあるのではないですか!」
なぜそうなる?
「汝の国ではそうなのか?」
「もちろんです。我が国の巫であられる、ゼクソン様が神にそう告げられております。それゆえに、他国に侮られないように、我が国の王も兼任されておられるのですから! さらに、他国においても神の名のもとに王と定められておられます! つまり、あの方がこの国の王となられれば、まさに世界の支配者ともなられるわけです!」
……なんつーか、ほんとにバカ? 王様やうちの国の連中、あきれてるし。他国の連中はこいつの言ったことを当然と言う顔してるし。はあ。
「衛兵、他国からの来客の方々はみな迎賓館に隔離しておけ。監視も忘れるな」
「は?」
他国からの来賓たちは、さっさと連れ去られました。なんでそうなってんのかわかってないし。はあ、いままでよくごまかせてたなー。まあ、うちの場合は他国に頼る必要がなかったからか、平民レベルはともかく、国家レベルでの交流は少なかったからな。
さてっと。
「陛下。私の渡航は早い方が良いようですね」
「……すまんが頼めるか。アリシエラにも苦労をかけるが」
「私の方は問題ございません。全力でゼオの力になるつもりです」
「巫様。姫様。お気を付けて」
こうして、結婚披露宴は途中から送別会に変わっていったのだった。




