44 何故に結婚式?
「汝、アリシエラ·アルカディアを妻とし、生涯共に在ることを誓いますか?」
「……はい、誓います」
「汝、ゼオ·ベルセリウスを夫とし、生涯共に在ることを誓いますか?」
「はい、誓います!」
「では、契約の指輪を」
「「はい」」
俺はシェラの左手の薬指に指輪をはめて、その指輪に口付ける。シェラも同じく俺に指輪をはめると、口付けをする。
「……これにて、新たなる夫婦が誕生いたしました。神のご加護と幸福が、新たなる夫婦の元に永久にありますように」
神官長の言葉が終わると、参列者たちから大きな歓声があがる。俺とシェラはその間を通って、神殿の外までゆっくりと歩みを進める。
神殿の外でも、大勢の人々が巫と王女の結婚を祝福して、歓声をあげていた。
俺とシェラは、そのまま馬車に乗り込み、ゆっくりと町を一周してから城に向かう。その後は結婚披露宴……本番の化かし合いが始まるのだろう。やれやれ、その事を考えると、今から憂鬱だわ。
「ゼオ、疲れましたか?」
「んにゃ。これから疲れるなーって思ってね」
「ああ、そうですね。それさえなければ良かったのですが」
「その場合、式はあと三年後だったね」
「……悩むところですね」
いや、悩まなくてもいいんだけどね。もう、結婚はしちゃったんだし。
この世界での成人は十八。今現在俺の年齢は十六、シェラは十五。十五以上で親の許可ありでの結婚は可能。十八過ぎれば、個人の意思で結婚できる。
……今回の俺たちの結婚については、王と公爵との双方からきちんと許しが出ている。なにしろ、半ば政略結婚のようなものだしね。
はあ、こういう事情なしで、普通に結婚はしたかったなー。