39 どーいう教育してんだか
先生が向かった先は生徒指導室。こんなもんまであんだよ。で、到着するとそっちも話は終わったところのもよう。
「先生、ちょっといいですか?」
「ああ。問題はない。……お前達は一週間の謹慎を命じる。自室に戻れ」
「……!」
おーおー。こっちをにらみつけてるよ。反省の色はゼロのようだね。
「どうでした?」
「どうやら貴族についておかしな覚え方をしていたようでな」
おかしな覚え方?
「貴族というものがなにか、お前ならどう答える?」
「魔力の量が多い人間」
この世界での貴族はそういうものだけど?
「そうだな。だが、あいつらは貴族としての正当な血を引く人間だと言っていた」
「まじで?」
「ああ」
いや、それっておかしすぎるし。そもそも魔力を使わせないために魔力の多い人間を貴族にしてるんだし、ここに血筋は全く関係ないし!
「あー。俺の方で聞いたのは、暗愚な平民を支配するのは貴族の役割だから、平民はおとなしく支配されろ、学校から去れ、自分よりも高位にいるのはおかしい、というふうに難癖つけられたって言ってたそうで。おまけに暴力つき。一応、怪我は完治させときましたけど」
「……相変わらずの非常識ぶりだな」
「……誉め言葉ととっておきます」
自覚あるし。
「まあ、その生徒に手出しはさせませんよ。授業中はさすがに動かないでしょうし、それ以外では魔力を覚えたんであいつらの監視は簡単にできますから」
「……まったく、とんでもない能力だな」
「……自覚してるんで、それくらいにしてくださいよ」
いや、身内にあきれられるのはちょっと……。
「まあ、それはいい。とりあえずこちらも王と学園長、生徒会の方に連絡をして、はっきりと貴族のあり方についての説明をさせることにしておこう。……なんでこんな必要ができるんだか……」
「……どこぞの血縁重視の親バカのせいでしょ」
「そうだがな」
まったく、貴族をなんだと思ってるんだか。まあ、場合によっては。
「一応、極秘ってことになっていますけど、貴族の役割についてきっちりと説明してやった方がいいのかも知れないですね。……特に親の方に」
「それは王が決めるだろう。まあ、お前の許可があるなら、なおのこと容易いだろうが」
一応、国の最高位の一人だからねー。
「んじゃ、そういうことで。俺はアイシアたちのとこにいきますから」
「ああ。もうそんな時間か。では、またあとでな」
「はい」
さてっと。お姫様と王子さまのご機嫌うかがいに向かいましょうか。




