37 叔父さん登場ー
さて。俺の目の前には、まさにいじめの現場があるわけだけど。
「貴様、平民だな。ならこいつによく言い聞かせておけ。この学園に平民など必要もない、さっさと出ていけとな。貴様も痛い目をみる前に、学園を去ることだ」
あー。ほんと、えらそーにしてるねー。いや、ほんとバカだわ。この学園の主旨をわかってないし、暴力と権力の脅しでいこうとするとか、ないわー。
「……あのさ。この学園での身分ってさ、学園の外とは全く関係ないんだよね。今、この場でいっちばん偉いのは、そっちの怪我してる生徒だし。つまり、あんたたちって上司に逆らうバカ。つまり、処罰の対象になってるってこと、自覚してる?」
「な⁉」
あー。あの様子だと自覚なしどころか……。
「ふざけるな! われわれは伯爵の身分を持っているのだぞ! お前たちのような平民がどうこうできる訳がなかろうか!」
「……だ、そうですよ。先生?」
「しかたがないな……」
「あ……」
さっすがに黙るか。飛び降りる直前に連絡しておいたんだよね。うちの担任、公爵家出身の教師ーーってか、俺の叔父さんですね。
「そこの三人。お前たちはすぐに生徒会室に来い。そこで話を聞かせてもらう。そちらの生徒は……」
「俺が保健室に運んでおきますよ。ついでに怪我の手当てもしておきます」
「そうだな。まかせる」
「はい」
先生がバカ三人を引きずっていくのを見送って、俺は怪我をしている生徒の前にたった。
「あ、あの……」
「あー。けっこうやられたなー。来んのが遅くなって悪かったわ」
「え、えええっ?」
「んじゃ、保健室運ぶから」
「うわっ!」
抱き上げたら悲鳴をあげられた。……うん。まさか俺も男をお姫様だっこすることになっとは思わんかったわ。まー、怪我してっからしかたないってことで。さてっと。保健室いって話を聞かせてもらおっかな。