閑話 一緒にいきたいの
お待たせいたしました。
ようやく再開です。
次回から本編ですが、今までとはちょっと毛色が違うかも……。
王城の一室。王家の五人がのんびりとお茶を楽しんでいた。
「来年からはアイシアも学園に通うことになるな」
「はい。お兄様やゼオと一緒ですから、楽しみですわ!」
「お姉さま、羨ましすぎです。私もゼオと一緒に通いたかったです」
はぁ、と末のアリシエラがため息をつく。学園の生活は三年あるので、二年分は重なるとはいえ、恋する乙女としてはやはりずっと一緒にいたいと思うもの。
だけど、そこの待ったがかかる。
「いや、それは最初から無理だろう。そもそも学園で学ぶのは魔力の扱いと魔法について。それに、政治に関するシミュレーションだからな。魔法についてはもはや学ぶ必要もなく、巫であるために政治にも関わらない。そうである以上はゼオは学園にはいく必要もない。行ってはけいなともいえるな」
「それに、あの子はあの子で忙しいものね。邪魔をしちゃダメでしょう?」
巫ーー神殿のトップであり、王とも同等の権力を持つものとして、最近は忙しくしているのも事実だった。
「……いや、ですわ」
「そうだね」
「やっぱり、ゼオも一緒がいいんです……」
「……おい?」
兄妹揃って座った目をするのを見て、王は冷や汗をかき、王妃は楽しそうに微笑む。
「……父上。ゼオが行ってもいいといったら、学園に入学は可能でしょうか?」
「……本気か?」
「当然ですわ。来年にはシェラもブレイズも入学するのですよ? そこにゼオだけがいないなど、あり得ませんわ!」
「そうです。ゼオも私たちと年は変わらないのですから、今から仕事だけにかまけるのはよくないです!」
三人揃っての力説に、王はため息をつく。
「まあ、よいではありませんか。行くも行かないもゼオ次第です。それに、たまの休暇は必要だと思いませんか?」
ゼオがなにやら忙しくしているのも事実で。
「……わかった。学園と神殿に連絡はしておこう。だが、無理強いは駄目だからな」
「「「はい!!」」」
そろった返事に、やはりため息をつくしかない王と、にこにこと微笑みを浮かべる王妃だった。
さて、学園でゼオに待っているものは……。