31 弟とお茶を楽しもう
ゆったりとした空間。そういう庭がここにはある。
何人かの庭師を雇って、場所ごとにいろんなイメージの空間を作っているんだ。境は垣根があってお互いに見えないようになってるし。
そのなかでも、ここは一番のんびりできるから、俺は好きなんだよね。……じじくさい? 悪かったな!
メイドさんたちにお茶とお菓子を用意してもらい、アイシアとアルフォード兄さんに席についてもらい、少し待ってメイドさんに連れられてきたブレイズに手を伸ばす。
「こっちにおいで。王子と王女を紹介するから」
「は、はい……」
あー、緊張しまくってるね。仕方ないけど。
手を引いててくてくとテーブルに近づくと、アイシアと兄さんが立ち上がった。あ、ブレイズがびくってなってる。
「ゼオ、その子が君の弟かい?」
「本当に! かわいらしいですの!」
アイシアのテンションがうなぎ登り状態だねー。
「そうだよ。この子がブレイズ。ブレイズ、こちらが第一王子のアルフォード様。こちらが第一王女のアイシア姫。ご挨拶を」
「は、はい。ゼオあにうえのおとうとのブレイズといいます。よろしくおねがいします……」
ペコッってあわてて頭を下げてる。まだ、しゃべり方なんかについては仕方ないしね。
「はじめまして。ゼオとは親しくさせてもらっているよ。僕はアルフォード、よろしくね」
「わたしは、アルフォードお兄様の妹のアイシアですの。ブレイズとも仲良くなりたいんですの。よろしくお願い致しますの!」
……今まで一番下だったからかな? アイシアの気の入り具合がすごいわ。
それから、のんびりとお茶を飲んで、ゆっくりと話して、ブレイズも大分なれてきたみたいだ。
あ、お菓子を頬張っているところは、アイシアも兄さんも(ついでに、メイドさんたちも)ほっこりとしながら見守っていたけどねー。うん。うちの弟はやっぱりかわいいね。