30 お茶会って大変
そして、やって来ました我が家でのお茶会です。
主催は母上。主賓はアイシア、アルフォード兄さん、そして王妃様。……王様は来てません。父上がなだめるのが大変そうだなーと他人事のように思っています。おそらく、このあと俺もなだめに行くのでしょう……。
こういう場合、本来は子供はそんなにメインになることなんてないんだけどねー。……そうだよ、忘れてたよ、俺が実は王様とおんなじ身分だってことをね!
つまり、アイシアとアルフォード兄さんつれてこっから抜けたいのに、ご婦人方に囲まれて逃げられない! どうしろってんだか……。あ、ちなみにアイシアとアルフォード兄さんは、王妃さまと一緒にまったりしてるよ。ブレイズはさすがにまだこういう場には出れないから、部屋でお留守番。
「母上」
いいかげん、この状態から抜け出さないと!
「せっかく来ていただいたのです。アルフォード殿下とアイシア姫に庭を案内したいのですが」
俺とふたりが親しいことは、上流階級において周知の事実。っつか、そうでもしないと抜けられなさそう……。
「……そうですわね。皆様とのご挨拶もいたしましたし、おふたりをご案内して差し上げなさい。約束していたのでしょう?」
「はい。ありがとうございます。皆様はこのままお茶をお楽しみください」
ご婦人方に礼をしてアイシアたちのところへ。
「うまく抜け出したわね。それで、庭を案内してくれるのかしら?」
「王妃様も来られますか?」
「うーん。ここの庭の散策もよいのですが、今回は遠慮させていただくわ。今日は子供たちだけで、楽しんでちょうだい。またのときにはお願いするわね」
「はい」
「それじゃ、いこうか」
「ゼオ、案内をお願いするのですの」
「はい。おふたりともこちらへ」
ゆっくりと庭の方へ案内して、人の声が聞こえなくなる場所まで移動する。
「……もういいかな?」
「それでゼオ、どこで弟君と会えるのかな?」
「庭にお茶を用意させて、そこでゆっくりとでいいかな? 一応庭の散策ということになってるし」
「それも楽しみですの。ゼオ、早く行きましょうですの」
「はいはい」
俺は側にいたメイドにお茶の用意とブレイズを連れてくることを命じて、庭の方に向かった。




