24 ドラゴン退治 透明な魔石
そして、ブレスを飛び越えてドラゴンの上に乗っかると、そのまま目に剣を突き刺して、さっさと止めをさしましたとさ。
あ、ちなみにこの魔力で作ったオリハルコンの剣。もとは王家の宝物庫にあったのを見せてもらったのを真似た。さすがに見たことないものは作れません。
そして、大きさ、長さは自由自在。つまり、目を貫いて脳まで届く長さにすることも可能。なので、じつにあっさりと終わっちゃった。
この世界の魔物の定義から、魔法が使えないような魔物はいない。最低でも牽制で使ってくるだろうね。
そこに魔力無効の俺が現れれば、それはいわゆる初見殺しってやつになるわけだ。いやー。簡単に終わってよかったよかった。
「ゼオ様」
お、騎士団長さんが近づいてきた。
「怪我はありませんでした?」
「はい。ゼオ様が庇ってくださったので大丈夫です。ですが……」
あー。これ見っとね。
「うん。どうやら俺って魔力ゼロなだけじゃなくって、完璧に魔法無効状態なわけで。ドラゴンのブレスも効かないから、さくっと倒しちゃった」
えへっと。へらへら笑っている俺に、仕方ないって顔して後ろで待っていたみんなに合図を送った。
あ、アイシアと兄さんが慌てて走ってくるよ。転ばないようにねー。
「ゼオ、すごかったですのー」
「ほんとだよ! すっごくカッコよかったよ!」
「はは。ふたりともありがと」
俺たちがまったりしている間に、騎士さんたちがドラゴンを切り裂いて魔石を取り出していた。
魔獣の体は、それだけで一資源だからね。それぞれの部位に分けて運んでいくことになる。魔石だけは今回は俺がもらう予定なんだけど。
「ゼオ様、これを」
渡されたのは、無色透明な綺麗な石。
「これって……」
「無属性なの?」
「珍しいね」
そう。魔石って大抵は何らかの属性を持つことになる。その場合は必ず色がつく。それがないってことは、完全に属性を持たないってこと。魔力も大きいし、なんにでも汎用性がある使い方ができる。魔石で魔法を使おうとしている俺としては、非常にありがたいもの。
「これ、もらっていいんだよね?」
「はい。これはゼオ様の石です」
「うん」
あとは、帰ってからかな。どういう風に持ち歩けるようにするか、魔法無効の効果をどうすれば魔石にも持たせれるか、ちょっと調べないとね。
「帰りもあいすくりーむたべるの!」
「ぼくも、あのシチュー食べたいかな」
おっと、こっちの方が先だった!




