23 あれ?俺って魔力無効だわ
よっしゃ。気づかれずにドラゴンの近くまで来たぞ。んで、問題は……。
「……ドラゴンってどうやって倒すんですか?」
「そうですね。主な手段は、目を通して脳をつくか、口の中から心臓を貫くか、でしょうか。魔法なども鱗の固さから通りにくいんですよ」
「ふーん」
そうすると、遠距離から強力な魔法や武器で目を狙うってのはむりなのかな?
「……」
「どうしたんですか?」
「……その手がありましたか……」
「えっと……」
え? 誰もそれを思い付いていなかったの?
「……やってみますか?」
「やってみます」
長距離用の武器はないから、とりあえず魔法で攻撃だね。
騎士団長さんは魔力を練り上げると、頭上に巨大な槍を生み出す……って! この時点でドラゴン気がついてるしって当然だけど! ちょっとー! 騎士団長さん、集中しすぎてて気がついてないしー!
俺は騎士団長さんが槍を放つのと同時に、おもいっきり突き飛ばした。槍はドラゴンの片目に刺さってるけど、まだ致命傷ではないみたいだ。そして俺は……ドラゴンの氷のブレスを突き飛ばした右手に浴びた……んだけれど、あれ? 怪我もなけりゃ服の破けもなし。んー?
じーっとドラゴンの方を見る。そして、さっきのブレスによる魔力の動きを改めてトレースしてみて……気がついちゃった。
魔法ってのは、魔力に反応して起こるってこと。
俺に精神系の魔法は通じないって思ってたけど、これは間違い。俺は魔法は全く効かない!
普通の場合は、あらゆるものに魔力が宿っている。それこそ、過多はあれ空気中にも。だけど、俺の場合は常に魔力を放出している。しかもどうやらかなりの量。つまり、俺自身と俺の身にまとってるものは、俺の魔力の放出という風によって、魔力が溜まらないように吹き飛ばされ続けているってこと。
ということは、だ。ドラゴンにたいしても、ブレスなんかは気にせず、ただ、肉体戦を挑めばいいってことだわな。
あー。なんか、一気にハードルが下がったなー。
俺は、魔石で作った、オリハルコンの剣を右手に持つと、そのままドラゴンへ突撃していった。