13 やっぱりお約束、かな
とうとうやって来ました! 狩師のギルドでっす。イメージとしては、ラノベの冒険者ギルドとかって感じ? よくはわからんけど。
「ここが狩師のギルドです。えっと……」
あ、そっか。この場で俺のことをどー呼ぶか悩んじゃってんのか。
「ゼオ、と呼び捨てでいいです。敬語も要りません。俺はハーミットさんって呼ばせて貰いますけど」
表向き、俺はハーミットさんの弟子だしね。
「……わかった。それじゃゼオ、行くぞ」
「はい」
俺はハーミットさんの後ろについて、建物のなかに入っていった。
途端に周りの注目を浴びる。まぁ、こんなあれくれが集まるようなところにちびっこいガキが来ればこーなるねー。
ハーミットさんも予測してたのか、まったく気にせずに受付らしいとこに向かった。
……ここで絡まれるのは、お約束だろっか。
「ハーミットさん、このチビなんなんですか?」
おお。どうやらハーミットさんはギルドの有名人らしいね。そんな人が連れてることが気になったようで、そのおっさんがギロッとこっちを睨み付けてきてっけど。俺はニッコリと笑って見せたよ? なんで引いてんのかな?
「あ、えと」
「こいつは実家の関係で預かった子供だ。もっとも、子供だからといって甘く見ない方がいいが」
「そ、ですね……」
「なにいってんだよ! ここは子供が来る所じゃないんだから、追いだしゃいいだろ!」
おー。若手らしき(十代半ばくらい?)のが、俺に手を出してきたよ。ま、これくらいの連中のあしらいは簡単だけど。
俺は伸びてきた手を紙一重で避けて、相手の足を払う。ごくあっさりとこけてるね。まあ、ちびっこい俺に手を伸ばすために屈んでいたのもあっけどね。
「な⁉」
あー、周りがざわざわしてきたし。
「ハーミットさん、さっさと行こ」
「お、おう。そうだな……」
なにかを諦めたようなハーミットさん。うん、俺の事については、さっさと諦めた方が精神衛生上いいと思うよ。
そうして、改めてカウンターに向かいました。