12 はじめて歩く町の外ー
身分と地位についての説明が多少入ります。
外に出るにあたり、狩師という人とご対面となりました。だいたい三十手前の細マッチョなお兄さんです。……おじさんとか思ってないよ?
「初めまして。狩師をしているハーミットといいます。よろしくお願いしますよ」
「あ、ゼオです。こちらこそ、よろしくお願い致します」
これはこれはご丁寧に。というか、ハーミット……。Hの魔力持ちだとなると、本来は騎士では?
疑問が顔に出てたのか、ハーミットさんは答えてくれた。
「いや、本来なら王城につかえる騎士になるはずでしたけど、ちょっと自分堅苦しいのがにがてでして」
「彼の実家とは懇意にしているからな。しばらくは彼について魔物との戦いについて学ぶかいい」
「はい、わかりました」
「えっと、何時からお連れすればいいのでしょうか?」
俺はちらっと父上を見る。うん。不必要に重厚に頷いているよ。ハーミットさん、ビビってるし。
「それでは、さっそく案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「え、さっそく⁉」
「お願いします」
「え、え!」
戸惑わせちゃって申し訳ないけど、とりあえずは町に出てみたい!
「魔物退治に連れていけというわけではない。まずは町を見せてやってくれ」
「あ、わかりました!」
父上、すべてお見通しでしょうか……。
まあ、ともかく!。俺はハーミットさんに連れられて、町に、具体的には狩師のギルドに向かったのだった。
へー。ここが町かー。
町並みは中世のヨーロッパのイメージかな? 違うのは、煙突がない。科学の発達はない代わり、魔法による便利さの追求はされているからね。一般にもコンロとか、風呂の湯炊きとか、そういう用の魔道具は広く使われてっからね。
……ここで、疑問がひとつ。俺、魔力ないのに、なぜか魔道具が使える。理由は……学者に聞けと言われた。神殿とかでもそんなの疑問に思ったやつはいなかったようで。なにしろ、数十年にひとりしか出ないようなめずらしー人間だしねー。
ま、いまはそれはどーでもよくって。実際の文明程度は、じつは現代に近いかも? 上水はすべて魔道具、下水もしっかりと管理され衛生面の問題はまったくなし! ってやつだしね。足りないのは娯楽くらいのよう。
学校もあり、その気になれば政治にも関われる!
要するに、魔力による身分差はあっても、能力によって地位を得れば、それを覆せるってことだね。
身分=偉い人 じゃないってことさ。
あ、ちなみに父上と王様は間違いなく、身分もあって偉い人だから。王族という身分を持つなかで、王という地位を得てる王様。公爵であり、政治の行く末を決める議会の議長を勤める父上。
ほらね。身分と地位両方持ってる。
俺? ……生まれつき身分も地位も持っちゃってたようです……。