1 取り合えず転生したようです
連載かいしです。
しばらくは説明が多いかと思いますが、見捨てないでいただけるよう、お願い致します。
我輩は転生者である。名前はまだない。
……ごめんなさい。つい出来心です。石、投げないでください。
ふう。出だしからやっちゃったけど、事実です。
本日、節目となる五歳の誕生日なので、ついはっちゃけた。ってか、最近になって自我がたぶんハッキリとしてきたからなー。
記憶自体は生まれつきあったんだよな。ただ、その記憶の引き出し方が解んないっつーか。赤ん坊でまだ脳が発達しきってなかったかからかなー。ま、こんなの専門じゃないしわかんねーけど。
で、解ってんのはここが前世とは違う異世界だってこと。生まれた子供に名前つけず、一歳で全員集めて五歳まで国で管理。五歳で魔力が安定すっから、そこで魔力測定して、引き取られ先が決まる、なんてね。元の世界じゃ考えられん。
ちなみに前世は日本人だった。
よくは覚えてないけど、たしか小学の時に何か難しい病気を発症して、たぶん十代半ばくらいでご臨終かな? ここら辺は本気で記憶が曖昧だし。んで、こんな人間の趣味といえば、ゲームに読書って決まってるからなー。俺もラノベとかで異世界転生物は結構読んだけど、自分がなるとなんだかなーって気分だわ。
……せめて、今度は長生き出来るといいんだけどなー。
「……どうしたにょ?」
袖を引かれて見ると、そこには俺の双子の妹が! 俺とはあんまり似てない。おまけにまだ滑舌が良くなくって、な行がにゃ行になる。かわいーかわいー妹だ。
「ん。魔力測定かっと思ってさ」
「こあいの?」
「んにゃ。お前とバラバラにはなりたくないなーって」
「ん、いっしょにゃの」
妹をナデナデしながらニッコリする。……たぶん、これで、離ればなれだろーなー。
俺はバレないようにそっと息をついた。