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活動報告を花束にして。  作者: ゆずはらしの
古代や中世に思いを馳せる。
11/41

癒し手の地位

あ、まちがえた。


こないだの日曜日、教会で、メッセージの担当でした。伝道所に移動しております。そして、司会や奏楽もしばらく、担当することになります。


さすがに一人で全部はできませんので、基本、司会。もうひとりの奏楽担当者と交代で、音楽を担当。音楽担当していない時はメッセージを担当。な感じです。


早くほかの担当者決まってください。


で、なに間違えたかって、古代の。ガリラヤ湖。


マルコ福音書ではガリラヤ湖。ルカ福音書ではゲネサレト湖。同じ湖ですが。呼び方がちがっています。


一応、調べたのですが。湖の名前、時代によって変わっていたみたいで。ゲネサレトというのは、湖の近くにティベリアという大きな都があって、そこで食べる野菜や果物を栽培していた平原が、ゲネサレトだった。


だから、「ティベリアの湖」とか、「ゲネサレトの湖」とか、地元の人は呼んでいた。


マルコは「ガリラヤの海」みたいな呼び方をしていました。福音書の中では、マルコが一番古いので、地元の人は「ガリラヤ湖」と呼んでいたのかと思っていたら、ちがったみたいです。


「ガリラヤの海」「ガリラヤの湖」という呼び方は、マルコ独自のもので、ほかの人はたいてい、「ティベリアの湖」とか「ゲネサレトの湖」と呼んでいたらしい。


なお、マタイ福音書は、マルコ福音書を下敷きにして、マタイさんが自分の教会の人たちのために書いた説教集みたいなものなんで、マルコと同じく「ガリラヤ湖」と書いています。(だから間違えたんだよ、わたし。この時代の人、ガリラヤ湖と呼ぶのがふつうなのかと思ってたよ)


メッセージの内容とは、あまり関係ない部分だったのですが、いま気が付いて恥ずかしーとなっています。


メッセージは、ルカ福音書からのもので。ただ、ふつうの日本人が聞いた場合、カタカナの名前や地名というのは、同じようなものという印象を持ってしまいます。


ガリラヤ、エルサレム、ゲネサレト、と言われても、どこか外国だね。で、あんまりぴんとこない。


いろいろ違うんですが。


マルコ福音書を書いたとされるマルコさんは、ガリラヤ人でした。このガリラヤという地方は、当時のユダヤでは独特でした。


まず、ガリラヤという名前の意味が、周辺。はじっこ。とか、ぎりぎり。とか、すみっこ。とかいう意味です。


地図で場所を確認すると、首都であるエルサレム、神殿があるエルサレムから離れて、周りじゅうを外国に囲まれている。しかも、エルサレムとの間にサマリアがあります。


サマリアは、もとは北イスラエルの首都だった場所ですが。いろいろあって、二千年前のユダヤ人は、サマリアに住む人たちとは、ほぼ没交渉状態でした。


混血や、宗教的ないざこざがあったため、サマリア人は、穢れている、と、当時のユダヤ人は考えていた。


(サマリアは、北イスラエルが滅亡した際に、アッシリアが他国の人間を移住させています。主だった人々は連れていかれ、残された人々は、混血されました。


でもがんばって、自分たちの神さまを守っていたのですが、エルサレムを中心とする南ユダの人々がバビロニアに滅ばされ、百年近くたってから戻ってきたとき。


伝えてきた聖書がちがっている、とか、神殿をどこ中心にするか、とかでもめて、結果、没交渉状態に。


歴史を調べると、サマリアは、預言者の学校(村のようなもの)があるぐらい、栄え、学びが行われ、礼拝がされていた場所だったのですが)


そんなサマリアが間にあって、周囲は外国。完全に飛び地状態。というのが、ガリラヤ地方です。


エルサレムに住むユダヤ人たちにしてみたら、神殿に税金をおさめてはいるものの、自分たちより下の人たち。穢れ(当時のユダヤ人は、外国人をきらっていました。穢れがあると考えていた)に囲まれた場所に住む人たち。いつ、罪に陥るかわからない人たち。というイメージでした。


一方的に、悪く見られる感じです。ガリラヤ地方の人にしてみたら。


そういう扱いや、気配は、されている方はひしひしと感じるものです。そのためか、ガリラヤ地方の人は、精神的にものすごく、タフになりました。


学ぶということにも、かなり貪欲であったみたいです。


あと、ふつうの農民とかで、反乱を起こす人もけっこういた。反乱がおきるとすれば、ガリラヤ地方から。と言われていたみたいです、当時のローマから。


それでも、なんでか低く見られるイヤーな感じはずっとあるわけです。マルコはそういうガリラヤ人でした。


そんなマルコにとって、イエス・キリストが、ガリラヤ地方で神さまのことばをのべ伝えた、というのは。生涯を通しての感謝と、嬉しさにあふれたことだった。


おまえら、ダメダメじゃん。生まれつき、ダメダメなんだよ。みたいに言われていた、自分たちのところに、いちばん最初に、イエスさまが来てくれた。


キリストの宣教は、ガリラヤ地方が中心です。マルコにとってこれは、生涯を通じての誇りとなった。ガリラヤで生まれ育ち、湖で魚を取っていた彼にとって、彼の世界の中心は、ガリラヤの海(湖)だった。


そこに、キリストがいた。ということを、彼は弟子たちに残すため、福音書を書いたのです。


一方、ルカは、外国育ちでした。パレスチナの地理にはうとい感じです。実はユダヤ人ではなく、完全に外国人だったのではないかという説もあります。


と、いうのも、マルコやマタイは、アラム語でものを考えている。ユダヤ人としての考え方をふつうにしていて、それをギリシャ語で表現している感じです。


でもルカは最初っから、ギリシャ語で考えて表現している感じなのです。ちょっと文章、ぎこちないらしいのですが。


それはともあれ。ルカは、マルコ福音書や、マタイ福音書を読んで、それを外国で暮らすユダヤ人や、キリスト教徒のために、ギリシャ語でまとめ、編集しました。


ついでに、当時の世界に伝えられていた、キリストについての伝承も入れました。(この功績が大きい。この時代のキリストに関する伝承、ほかはあんまり残ってない)


また、ルカについては、医者だった、という伝承もあります。けがとか病気に関しての記述が、妙にくわしいかららしいです。


ここで、勘違いが出てくる可能性があります。


古代の世界において、医者は、身分が低かった。


女性の地位が高い国では、医者や、助産婦など、癒しをする人の地位も高くなる傾向にあったようです。古代エジプトとかね。


ギリシャにおいても、医師を養成する学校があったため、医者の身分は、それなりにあった、みたいです。


しかし古代ローマにおいては。医者は、奴隷や、外国人などがなるものでした。低かった。身分。



当時の世界の、病気に対する認識は、


「何か悪い霊が体の中に入って、悪さをするから病気になる」


と、いうものでした。


病人のそばというのは、だから、魔物がうろついている、汚い場所だと考えられていました。


また実際に、病人や怪我人は、尿や膿など、垂れ流しです。


そういう汚い場所に、お金持ちの子どもとか、貴族とかが、喜んで行くか。というと、絶対、行かない。


そういう汚いことする技術を学ぼうと思うのは、そうなると、奴隷か、奴隷すれすれの身分の低い人たち。


自分が役にに立つ、というところを見せないと、売られてしまう。生きてゆけなくなる。そういう切羽詰った事情のある人たち。


あるいは、後ろ盾など持たない外国人。となるわけです。(後ろ盾がない、知り合いがいないという状況は、古代の世界では、大変に不利でした。仕事が見つからない=生きていけない、ということだからです)


聖書の記述をした人たちは、たいてい、ローマ帝国の支配国で暮らしていましたから、ローマの感覚に準じていたと思われます。そういうわけで、もし、ルカが医者だったとしたなら。


彼の人生の前半部分は、かなりいじめられていたんじゃーないかなーと。


おまえ、身分低いじゃん。みたいな。いやしいやつめ。みたいな。


そういう扱い受けていたから、気遣いもできるようになったのかな。とも思いました。ルカ福音書、ユダヤのこと知らない人向けに書かれているので、たまにちょこっとコメント入っているのです。これは、こういう風習でした。みたいな。


そのあたりから、人のプライドとか。ずっとそれ専門にやってきた人ほど、陥りやすい傲慢さが、知恵を遠ざけるんだよー、みたいな。話をしていました。


癌で入院中の女性がおられて、わたしの話を聞きたがっていたので、まとめて送る予定でした。で、改めて調べていたら、


ガリラヤ湖というのは、マルコ独自の言い方。この時代の人はほとんどが、ゲネサレト湖やティベリア湖と呼んでいた。


というのが、でできて。うわー。となりました。ついでに、古代世界における医者の地位についても不安になってきたので、もう一度調べなおした。というところです。



2015年 01月22日 活動報告より


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