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Time:Eater  作者: タングステン
第二話 『Zn』
18/223

第05部

【2023年09月13日12時12分57秒】


 何なんだ?この状況は。一応、ボスを倒す為の方法は分かったから俺の目的は果たせたが、何故かランキング第1位の『Phosphorus』に個人トークに来てくれと言われてしまった。


 と言うか『Phosphorus』と言ったら、毎日毎日俺がログインした瞬間に強制対戦を仕掛けて来て、経験値を掻っ攫って行く奴じゃないか。それなら、そんな奴の言う事なんて聞くこと無いな。


 ・・・・・いや、待てよ。むしろこれはチャンスなのではないか?ここで直接文句を言っておけば、もう強制対戦を仕掛けて来なくなるかもしれない。


 そして、俺は『ボス攻略の為の掲示板』からログアウトし、個人トークのページにログインした。そこには大量のプレイヤー名が書かれていたが、しばらくすると『Phosphorus』と書かれている部屋がある事に気付いたので、そこをクリックした。


 念の為補足しておくと、俺のIDは『101010』だが登録名は『ディメンション』だ。


 俺の名前をそのまま英単語に直しただけの物で、ID同様かなり覚え易い。登録名自体はあまり格好良くは無いが、プレイヤー登録の時にこれしか思い付かなかったのだ。仕方ない。でも、覚え易いのでそれなりに役に立ってくれている。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


 =『Phosphorus』さんと『ディメンション』さんの個人トーク=


001:Phosphorusさん ID:031515


 ごめんなさいね

 急にこんな所に呼び出して


002:ディメンションさん    ID:101010


 いや、別に良いけど

 何か用?


003:Phosphorusさん ID:031515


 そうそう

 本題に移らないとね

 上垣外次元君


004:ディメンションさん    ID:101010


 おい、ちょっと待て

 何で俺のリアルネームを知ってる!?


005:Phosphorusさん ID:031515


 さて、何ででしょう(笑)?


006:ディメンションさん    ID:101010


 もしかして、俺と面識ある奴なのか!?

 誰だ!


007:Phosphorusさん ID:031515


 別に良いじゃない、そんな細かい事

 それにあと数日でまた会えるんだし

 次元君は多分忘れてると思うけど


008:ディメンションさん    ID:101010


 『また会える』ってどう言う意味だよ!?


009:Phosphorusさん ID:031515


 そろそろ本題に移っても良い?


010:ディメンションさん    ID:101010


 いやいやいや!

 アンタが変な事言うから話が反れたんだぞ!?

 面識ある奴なら後で俺と直接会って話せ!

 そっちの方が落ち着いて話せるから!


011:Phosphorusさん ID:031515


 もー、めんどくさいなー、次元君はー

 私は今はここから動けないから、こうしてネット上で話してるんじゃない


012:ディメンションさん    ID:101010


 ん?さっきから妙な言葉使いだと思ったら、アンタもしかして女か?


013:Phosphorusさん ID:031515


 ひ・み・つ(はーと)


014:ディメンションさん    ID:101010


 オカマとかだったら逆に引くぞ・・・・・

 もうどうでも良くなって来た・・・・・

 で?本題って言うのは、何なんだ?


015:Phosphorusさん ID:031515


 お!やっと聞いてくれる気になったみたいだね


016:ディメンションさん    ID:101010


 良いから、さっさと話せよ

 こっちは一応授業中なんだ


017:Phosphorusさん ID:031515


 ごめんごめん(テヘッ☆

 ここからは本気で聞いて欲しい

 次元君に忠告しておかないといけない事がある

 今は分からないかもしれないけど、その内分かるかもしれないから


018:ディメンションさん    ID:101010


 忠告?

 俺、何かしたか?


019:Phosphorusさん ID:031515


 いや、次元君は何もしない

 でも、関係してはいけないからここで忠告しておく


020:ディメンションさん    ID:101010


 ?取り合えず分かった


021:Phosphorusさん ID:031515


 もう死なないで


022:ディメンションさん    ID:101010


 は?いきなり何を言ってるんだ?

 何の冗談だ?


023:Phosphorusさん ID:031515


 これはリアルにガチな話

 とにかく、もう絶対に死なないで

 いつも通り生活する時も身の回りに今まで以上に気を配って


024:ディメンションさん    ID:101010


 だから、何の話だ?


025:Phosphorusさん ID:031515


 奴が動き始めている

 先日『time technology』の研究所が襲撃された

 私の所属する機関では手に負えない

 もう再生する事は出来ない

 だから、せめて私が行くまで生き延びて


026:ディメンションさん    ID:101010


 いや、だから俺の話を聞けって

 何なんだよ『死ぬな』とか『生き延びろ』とか


027:Phosphorusさん ID:031515


 貴方を失いたくない


028:ディメンションさん    ID:101010


 ・・・・・・・

 分かったよ

 取り合えず、何日か生き延びてれば良いんだろ?


029:Phosphorusさん ID:031515


 ありがとう!

 私はもうログアウトしないといけないけど、くれぐれも寝過ぎない様にしてね

 寝ている時が1番無防備だk


 -『Phosphorus』さんがログアウトしました


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


 一体何だったんだ?『Phosphorus』も最後の方は何か急いでるみたいで、ちゃんと入力出来ていないのにログアウトしてしまった。


 あ!強制対戦を止めるように言うのを忘れてた・・・・・。別に俺がログインしなければ良いだけの話か。ボスの情報を手に入れたのに活用出来なくて残念だが。


 それにしても、本当に意味深で意味不なトークだったな。何なんだよ『死ぬな』とか『生き延びろ』とか。俺はそんなに危険な場所には行かないし、行こうとも思わない訳だが。まあ、特に気にする必要もないか。


 ガンッ!


「ゴフッ!」


 そんな時、俺の横腹が何者かによって力強く蹴られた。


「次元!何時になったら気付いてくれるの!?お昼一緒に食べようって言ってるのに!」


 その何者かは音穏だった。そうか。もう現国は終わって昼休みに突入してしまっていたのか。


「前から私が呼びに来たら、答えろって言ってるのに!」

「悪い悪い」

「全くもう!本当にもう!」


 そんな感じで俺は『Phosphorus』とのトークを記憶の片隅に置いてしまった。その記憶はその時が来るまで思い出す事はあっても、深くは考えない様になっていた。現実世界で『Phosphorus』と出会うその時まで。

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