神部神社
気を取り直して、三郎さんが今まで調べたことの続きを説明してくれる。説明し終えた三郎さんが切り出した。
「まだ、気になる場所があってな」
みんな身を乗り出す。
「どこどこ?」
日和がいつものように聞き出そうとする。
「この神部神社だ」
あぁ、この街に住んでない僕たちでも知っている、この辺りでは割と大きめの神社だ。確か何か伝説があったな。
「ここは、首なしの伝説が二つあるようなんだ」
「首なし? 二つ?」
「そう、一つは、平安時代に鬼が暴れ回ってそれが退治されて首をはねられた話だ」
「よく聞く話だね」
確か地元の歴史が何かで聞いた覚えもある。
「鬼退治をしたのは都から来た武士で、はねた首が飛んで来て落ちたところに神社を建てたそうだ」
「鬼ってどこにいたの?」
「神部山の上かな。山から降りてきて人を殺し食べ物や財宝を奪い女をさらうとか、色々と悪行の限りを尽くしてたらしい」
それも聞いた気がする。
「武士と鬼は三日三晩戦って最後の力で武士が鬼の首をはねたそうだ。その首がここまで飛んで来た、という伝説だ」
地図のうえで場所を示す三郎さん。
その距離は結構あるけど昔話だからなぁ。
「首が落ちたところに建てた神社は鬼首神社と呼ばれていたけど縁起が悪いから神部神社になったらしい」
そんな伝説だったね。聞いた覚えはあるけどここから近いところに舞台があったのは忘れていた。
「二つって言ったけどもう一つあるんですよね。そっちは?」
「それがあまりはっきりしなくて。ある村人が殿様だが代官だかの勘気を被って首を切られたらしい」
「このあたりは天領だから代官じゃないかな? よくある話だと思うけどそれが気になるの?」
「ああ、その話、首を切られた村人が黄金色の髪だったそうだ。それから密かに神社に祀られていると」
「黄金色って金髪だよね、その村人って外国人?」
日和が三郎さんに聞くが、三郎さんが答える前に凛が代わりに答えた。
「だろうねぇ、さすがに髪を染めてはないだろうし」
「他にはないの? 何をしたかとか、なぜ首を切られたかとか」
日和がぐいぐい聞く。なんでだろう、金髪が気になるのかな?
「なかった。それが書いてあったのは地元のパンフレットみたいなもので書いた人も分からなかった。パンフレットの発行元も代替わりで前の人もいないから分からないと言っていた」
「他には知ってる人いないの?」
「このお店にくるおじいさんおばあさんに聞いたけど誰も知らなかった」
「そうかぁ」
そうなると、あとは神社に聞くしかないか。
「神社には聞いたのですか?」
「話を聞きたいと行ったが、断られてな」
残念そうに三郎さんが答えた。なんでも、数年前に話を聞きたいと来た人が迷惑な動画配信者で、隙を見て禁域に忍び込んだそうだ。神社のご神体やお寺の仏像をを狙う泥棒がいるから警報を設置してたのでそれがが鳴って警備会社だけでなく警察も出動して大騒ぎになったらしい。それ以来紹介者のいない人物が話を聞きたいと言われても相手をしてもらえないとのこと。
「迷惑な話だね」
と言いつつ気になるのはよくそこまで教えてくれたな、と言う事。
「ここによく来るおじいさんが教えてくれた」
なるほど、三郎さんらしいや。




