第二章モルドレン編⑫ ハルキ逃亡
YouTubeにて音声動画上げてます
OP「今はまだヒミツ」
https://youtube.com/shorts/ztOAm6DjzNI
「ハァッ! ハァッ! ハァッ! クソッ! なんでオレサマが ハァッ こんな目に!」
息も切れ切れに茂みを掻き分け森の中を走る者がいた。
反町ハルキである。
「大体 なんなんだよ あの男は! ハァッ! オレサマの 【凍結烈焼】を ハァッ 剣で打ち消すなんて ハァッ ハァッ…もうここまで来れば…ハァッ」
キマイラが制御不能と知った途端、逃げ惑う野次馬の人混みに紛れ姿を消し、モルドレンの街を抜け出すと森の中へ逃げ込んだのだ。
「あんなバカデカい怪物を呼び出したモヤシが悪いんだ…クソッ!」
ガサッ
茂みが立てた音に、ハルキはビクッとなった。
追っ手か? あるいは野良のモンスターかもしれない。
呪文詠唱の準備に入る、が。
「やあ」
出て来たのは人、だった。
ズボンのポケットに手を突っ込み、黒いシャツの胸元を大きく開けた白いスーツ姿。地毛ではない、明らかに染めたと分かる金髪。ハルキですらこう思った。『チャラい』と。
「ボクを捕まえに来たヤツか…?」
ハルキは最大限に警戒する。
「ははは。違う違う。君も僕のことは知っていると思うよ?」
「…誰だ?」
「僕の名はアキトゥス。でもみんな僕のことをこう呼ぶよ」
【真祖の魔王】
「真祖の…魔王だと…?」
「初めまして、だね。モルドレンでは大変な目に遭ったようだねぇ」
「なぜ…知っている…?」
「見ていたから、ね」
「その【真祖の魔王】がボクに何の用だ?」
「そうだねぇ。僕と組まないか?」
「アンタと…組む…?」
「ああそうさ。復讐、したいんだろ?」
「ぐっ…」
ハルキは歯を噛み締め考えた。そして導いた応えがこれだった。
「ふははは。そうか…【真祖の魔王】か。それならアンタを倒せば手に入るってことだよな。この世界の全てを。女も。カヱデもッ!」
右掌をアキトゥスへ翳し
「喰らえェッ! 【凍結烈焼】ッ!」
得意の魔法を全力で放った。
しかし
パ…
炎の玉は金髪のチャラ男に辿り着くことなく消滅した。ポケットの中の手はそのままで。
「そ、そんな…」
「これが答え、ってことでいいね?」
いい終わる頃にはそれはもうハルキの目の前だった。
そして
ズボォッ
右抜き手がハルキの鳩尾から背中を貫く。
「そうか、忘れていたよ。君は」
ゴボォッ
引き抜いたその手には銀色でソフトボール大の球体が握られていた。
「バカなんだよな」
「ウ…ガァ…」
ドサ …スゥゥ…
膝から大地に崩れ落ちたハルキの身体がスゥっと消えた。
「【人格設定】は頂いておこう。何に使えるかは知らないけどね」
球体を、それこそソフトボールでも扱うようにポンポンと手の上で跳ねさせる。
「あっちは…もう少し泳がせてみようか。面白いモノが育つかもしれないし」
その男、【真祖の魔王】アキトゥスは、ヒエロフの方角を見ながらニヤリ。
「それに…アレは『器』に使えそうだ」
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ED「この穏やかなぬくもりに」
https://youtube.com/shorts/TfUN7HlPlsI




