第二章モルドレン編⑩ 悪夢の召喚
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OP「今はまだヒミツ」
https://youtube.com/shorts/ztOAm6DjzNI
バフォゥゥゥ
「なん
ドボオゥフ
だ、これは…強力な攻撃魔法が障壁と衝突する音…障壁はリリアか?!」
リリアと強力魔法の対決を、オスカレッテはエレベーターの中で聞いた。
チーン ガラガラ…
開ききらぬドアから駆け出すオスカレッテ。屋上を見回すが人影は無かった。
「向こうは階段で降りた? …すれ違いか。急ごう」
引き返しエレベーターを見れば階下へ下降中だった。
「足止めのつもりか! チィッ! 【設定】変更!」
サァーッと私服から赤い騎士服へ姿が変わり、オスカレッテは階段を駆け降りていった。
◆
「ん? んんっ?」
「ご主人様! 足が!」
「メルリもかいっ?!」
道を歩いていて唐突に足が動かせなくなった。
犬のウ◯コでも踏んだ?
いや、犬のウン◯にそんな粘着力があるはずない、と経験者は語る。
というか何より足の裏じゃねぇ。足首に見えない何かがまとわりつくように…いや、それがどんどん上って来る?!
いつしか太腿あたりまでの自由を奪われた。
「メルリ!」
「ご主人様!」
互いを支え合うように手を繋ぎ直した、その時。
ドボオゥフ
「な、何だァッ?」
目の前で何かが爆発したようなでっかい音!
咄嗟にメルリに覆い被さった。
「メルリ! 大丈夫か?!」
「はい! ご主人様こそ」
「オレは大丈夫だが…」
「チッ! 無傷かよ…」
この声…
「毒キノコっ?!」
おそらくその先のビルから出てきたんだろう。
「ヤァ。それはまたご挨拶だねぇ。でもまぁ…今度こそ仕留める!」
毒キノコの掌がこちらを向く。
「カナっちーッ!」
この声、パイセン?!
振り返ると
「カナート!」
「メルリちゃん!」
パイセン、ユーリ、ヒミコの3人がオレたちに向かって走って来る。
「ハァッハァッ、良かった! 無事で!」
「チッ。揃っちまったか。まずはカナートだけでもぶっ潰しておこうと思ったのにな」
ハルキは一歩二歩と後退しつつ叫んだ。
「ゴリ男はウサギ頭を潰せっ! 委員長はパーカーの女だっ! シャルはミキを足止めしろっ! その間にオレサマが詠唱してカナートをヤる!」
「はいぃ!」
「うガッ!」
「ハルキ様。僕は…」
「オマエはオレサマの前に立ってろ。いざという時の壁だ。アイツの剣は厄介なんでな」
「そんな…ハルキ様…」
◆
ゴリ男の拳がユーリへ唸る。
「うガァ!」
ガシィッ
「ウゥッ!」
(この力…ロングソードで受け続けられるものじゃない! 早くカナートにエックスカリなーを!)
◆
ヒミコには委員長が向かった。
「ハァァァァァァァァァッ!」
キィン
「な…!」
(何、今の…刀身を身体に隠して振り抜いてきた…まるでオスカレッテさんみたいな…うっ?!)
キィン
(速いっ!)
キィッ
振り込まれた大剣をヒミコはどうにか止め、カヱデと鍔迫り合いになった。
「すまないな。きみたちを足止めしなくてはいけない」
「なぜ?」
「ハルキ様の…ため…だ!」
キィン
◆
パタタタ…パタタタ…
ミキのエアガンが3点バーストでシャルロットを狙う。
「動き回ってちゃ詠唱もできないし、結界も張れないぃ!」
パタタタ…パタタタ…
「シャル! 観念して投降しなさいッ!」
パタタタ…
「誰がアンタなんかにぃ!」
「その様子だとずいぶんと可愛がってもらえてるようね! ハルキに!」
パタタタ…
「当然よ! アンタなんかと一緒だった頃よりも何十倍も充実しているわ! 心も! 身体も!」
「それはよーござんしたねッ!」
パタタタ…
◆
「そこの魔術師! 市街地における危険魔法使用の疑いでキミを確保する! 大人しく投降しなさい!」
ビルから出てきたオスカレッテが叫ぶ。
「マズいッ!」
その声で振り返ったカヱデ
「ハァッ!」
「アッ!」
ヒミコの刀を弾き飛ばすと
「タァァァァァァァァッ!」
オスカレッテへと突進していった。
「ハァッ!」
ガキィン
カヱデより振り下ろされた剣をオスカレッテが受ける。
「ム!?」
(この太刀筋…白騎士団の者か? しかし)
「ハッ!」
シャッ
オスカレッテは突きに出たが躱された。
(身で躱すか。いい腕をしているが、大剣を使いこなせていない。身の丈はあっても筋力が追いつかない、といったところか。剣も戦術も変えればもっと巧く立ち回れる…いや、冷静に評価している場合ではないな。あの魔術師を捕らえないと!)
「ハッ!」
キィッン…
(赤服なのになぜ団長章を…強い…この女性…このままじゃ…)
「ゴリ男君っ! こっち手伝ってっ!」
「うガ? うゴァァァァァァッ!」
ドッスゥッ ドザザザザザ…
「うわァァァァッ! クッ…なんてパワーだ…」
付きまとうユーリをガードの上から殴り剥がし、ゴリ男はカヱデの援護に向かう。
「そうか! 今のうちに!」
◆
「委員長?! ハルキしゃま?! 新手か! くぬぅぅ!」
「さぁ! 観念なさい!」
パタタタ…
「捕縛ッ!」
ヴォン…
「チィ! はじゅしたぁっ! 動くなぁ変態スク水女!」
「ブッブー! ざーんねん! ご覧の通り今日は清楚なお姉さんファッションなのよッ!」
パタタタ…
「しょんなんでオタサークルの姫にでもなったちゅもりっ? 捕縛!」
「おっとー! そんなトロ臭いナメクジ魔法に捕まるミキミキ様では無いわッ!」
パタタタ…
「にゃぁにおぉぉぉー!」
◆
「カナート!」
「ユーリ! なんかえらいことになっとるんだが、足元取られて身動きできねぇ!」
「それはシャルの捕縛魔法です」
「どうにかなんねーのぉ?」
「あの子の左手にある、あの光球、あれを破壊すれば」
「早くやってくれよ!」
「ミキ先輩がやってますが、相手も手の内知ってますからね。あ、いや、世間話して場合じゃない。これを」
「エックスカリなー…持ってきてたのか?」
「なんでも入りますからね、ここ。今、タンス4本追加で入ってます」
「マジか…」
「ではミキ先輩の援護に回ります。カナートはメルリさんを!」
「分かってる!」
◆
「ミキ先輩っ!」
ブンッ
「うおっと、二人がかりでなんて卑怯じゃないのしゃー!」
「ビルの屋上から闇討ちした奴らに言われたかないねぇーっ!」
パタタタ
パァン
「はっ?! しまったぁ!」
ミキの弾が捕縛魔法の光球を砕くと
「お?」
カナートとメルリの身体に自由が戻った。
カナートはメルリの前へ。
「ご主人様…」
「大丈夫。オレの影に隠れてろ。オレはキノコに攻撃をかける。合図をしたら、メルリはそこの建物の影に逃げろ…転ぶなよ?」
「は、はい! がんばります!」
◆
「ん?」
ユーリはハルキに目をやり、気付く。
「ミキ先輩! 来ますっ! 避けてっ!」
「そっか! りょ!」
ダッ ダッ
ユーリとミキは左右にそれぞれ散開する。
ハルキが翳した掌、魔法の射線上にはまだシャルロットがいた。
「モヤシ! そこをどけェッ!」
「でもシャルロットさんが」
「うるさい!」
「ああっ」
ハルキはモヤシを押し除けた。
「手に入らないなら全部いらないッ! オマエもエルフモドキも消えてなくなれェッ! 【凍結烈焼】!」
バフォゥゥゥ
振り返ったシャルロットに赤く青い光が真っ直ぐ押し寄せる
「ハルキしゃアアアアアアアアアアアアアアア…」
「シャル!?」
「そんな…味方ごとなど…」
その光はシャルロットを飲み込み、さらに真っ直ぐカナートを目指す。
「ぶちカマせぇっ! エックスカリなーァァァァッ!」
ジャキィ…
シュバァッ
実体の刃を持ったエックスカリなーに赤く青い光は真っ二つに切り分けられ、消滅した。
「クソォ! クソォ! クソォ! なんで剣で魔法が斬れるんだ?! クソォォォ…モヤシィッ!」
「は、はいっ!」
「【召喚】を使えェッ!」
「そ、そんな…こんな場所で…」
「いいからやるんだよォッ! オレサマの命令が聞けないのかァッ?」
「は、はいッ!」
「いいか、強いヤツを呼ぶんだ。そしてあの生意気なヤツを踏み潰させろォッ!」
「はい! やってみます!」
そういうとモヤシは前に出て両腕を広げる。両腕の間に生じた円形の模様、すなわち魔法陣が地に降り立つ。
「この近くにいる猛き獣。我が乞いに応えよ」
ゴ ゴゴ ゴゴゴゴゴ…
地鳴りと共に大地が震える。震源とも言うべきはその魔法陣だ。
ゴオオオオオ
豪鳴と共にが大地が割れ魔法陣から巨大な何かが出現した。
キシャァァァァァ…
パキィ
「ああ! 魔法陣が!」
モヤシが声を上げた通り、割れた大地と共に魔法陣も壊れて消えた。
「なんじゃこりゃァッ!?」
「でっけぇ…」
「これが…」
「キメラ…」
ソイツは…頭がカメレオン、胴はカメ。そこから昆虫っぽい脚が伸び、トカゲのような長い尻尾がある。
今しがたまでオレたちを取り巻いていた野次馬の輪が一斉に崩れ、周りは逃げ惑う人々でパニックだ。
「やだ…大きい…」
「なんてモノを呼び出しちゃってくれてんのよ、こりゃ…」
皆が立ち尽くす中、冷静だったのはユーリだった。
「早くっ! この場を離れましょうっ!」
「走れ! メルリ!」
「はい! キャァッ!」
このタイミングぅ!? メルリが転ぶ。
オレはメルリの元へ急ぐ。が。
「メルリ! 危な
ヒュッ
バケモノから何かがオレの顔めがけて飛んできた…
…ところまでは憶えている。
ドシャッ!
「ご主人様ァァァァァァァッ!」
◆
ED「この穏やかなぬくもりに」
https://youtube.com/shorts/TfUN7HlPlsI




