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第二章モルドレン編⑤ メルリチーム

YouTubeにて音声動画上げてます


OP「今はまだヒミツ♡」


https://youtube.com/shorts/ztOAm6DjzNI

◾️『ドキッ♡ カナっちとメルリちゃんが急接近?! なんなら【フォビドゥン】の人口が増えちゃっても構わなくてよ?』作戦実行部隊 メルリチームの模様


 モルドレンは夕刻を迎えた。

 西に沈む太陽、東から順に次々と輝き始める星たち。

 もうじき夏至が迫りいつまでも明るいままの西の空を、夜の闇がゆっくりと黒く染めていく。

 その景色を、5階建ビルの屋上から、ただぼーっと眺めている少女が一人。

 メルリだ。

 その様子を、ずーっと何時間も見張り続ける小さな影。

 メルリ監視役のフルルは愚直にもその任務を遂行中。フルルとて友達のことが本気で心配で、そうしているのだが。

「フルルちゃーん」

 背後から小声で呼ばれる。

「ヒミコ! リリア!」

 フルルも合わせて小声で応えた。

「どう? 様子は?」

「ずーっとあのままなのでして…」

「どれどれ? …あー、重症だねぇ…」

「ふたりはなぜここに?」

「有識者会議が終わってこれから作戦行動に移るっす」

「ゆうしきしゃ…? …それでさくせんとは?」

「まぁいいから見てなって!」

 そう言うと、ヒミコとリリアはメルリへ近づいて行った。

「…なんだかヒミコがミキミキみたいなのでして…」


「メルリちゃーん! こんなとこにいたんだ」

「ヒミコさん…リリアさん…どうしてここに?」

「姿が見えないんで探したっすよ」

「あ…ごめんなさい…」

「いいっていいって。なんか元気ないね?」

「ええ…ちょっと…」

「それは困ったなー。メルリちゃんが元気じゃないとわたしたちも元気なくなっちゃうー」

「あの…ごめん…なさい…」

「ああん、もう。なんで謝るかなぁ。まぁでもね、メルリちゃんに元気になるお話、持って来たんだ」

「メルリが…元気に?」

「カナートくんってさ、普段着持ってないよね?」

「えーと、そう、ですね」

「逆にメルリちゃんはいーっぱいお洋服、持ってるよね?」

「ええ。サージエンスの皆様の好意に甘えさせてもらって」

「釣り合い、取れてないよね?」

「えっ?!」

「メルリちゃんが可愛いお洋服、いっぱい着れるのに、カナートくんはいつもあの騎士服。なんかこう、バランス悪くない? メルリちゃんも、カナートくんにカッコいい服、着て欲しくない?」

「それは…ええ、そうです! その通りです!」

「ね? だ・か・ら! メルリちゃんがカナートくんの普段着、選んであげるのって、どうかな?」

「…」

「あれっ?」

「ヒミコさんっ!」

「はいぃっ!?」

「おっしゃる通りです! 名案です! そしてメルリは! とても非常にこの上なく、ご主人様のお召し物を選んで差し上げたいですっ!」

「ね? ね? ね? でしょでしょ?」

「はい! …でも…」

「…何なに?」

「明日の朝にはこの街を出発するんですよね…お買い物…行けません…」

「のーぷろぶれーむ! っす」

「え? 今、何と…」

「問題ナッシングっすよ、メルリちゃん。ちと団の方でウチと先輩、お手伝いしなくてはならなくなりまして、もう1日、この街に滞在しなくてはならなくなったっす!」

「そうなんですか?!」

「逆にウチらは仕事があるっすけど、みなさん暇になっちゃうじゃないっすか。だからモルドレンの観光にでも出るといいっす。で、メルリちゃんはこの機を利用してカナートくんの洋服を一緒に買いに行けばいいっす」

「うわー、そんな、うわー、どうしようどうし…あ…」

「あれあれ? 今度は何?」

「メルリ…お金を持ってないです…」

「何だーそんなことかぁ。カード使えばいいじゃん」

「でもカードはご主人様が持っているので…」

「それならウチらも団からカードもらってるんで、それ使えばいいっす。ウチらはどのみち仕事で使わないっすから」

「それでは費用は白騎士団様の方に」

「出どころは同じサージエンスですから同じっすよ?」

「え、それじゃ」

「気兼ねなく、思う存分お買い物を楽しんできて、ってこと!」

「うわー! あ、フルルちゃんも一緒に」

「いやいやいや。そこはお二人で行かないと」

「でも仲間はずれに…」

「そうはならないのでして!」

「フルルちゃん?!」

「リリアたちのおしごとというのがあさのあのそうどうのかんけいなのでして。そうするとボクもかおをだすひつようがあるのでして。これもニンフとしてのおしごとなのでして」

「そうなんだ…えっと、それじゃフルルちゃんはお仕事がんばってください! メルリたちは遊びに行くって、申し訳ないけど…」

「いいのでして。おもうぞんぶんはねをのばしてくるのでして。ボクはもう、ほら、ハネがのびているのでして」

「え? あ! あははは!」

「やっぱりメルリはえがおがいちばんなのでして」

「そうね。ありがとう。それじゃ明日は楽しんでくる。あ、でも…なんか今ご主人様と顔合わせるの…なんか気まずい…かな…」

「それは大丈夫っす。というより先にやっておけって話っすが、やはり男女同室で雑魚寝っていうのはいかんと思うので、空き部屋使って男女分けるっす。そこんとこはちょっとここの支部にカチこんでおくっす」

「そうですか…メルリはご主人様と一緒でもいいのですけど…今日は…ちょっと…」

「分かってるっす! 大丈夫っす! 任せてくださいっす! そのための民生部っす!」

 ドンとリリアが胸を叩いた頃には、周りは夕闇に包まれていた。


ED「この穏やかなぬくもりに」


https://youtube.com/shorts/TfUN7HlPlsI

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