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何も知らない間柄

作者: 秋暁秋季
掲載日:2023/10/19

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

時折香る、職場先の匂いが好きです。

職場らしからぬ、焼香の匂い。


家が隣同士だから、彼奴の事はよく知っている。昔から全くと言っていいほど表情の変化がない奴だった。人に興味が無いのか、相手のことを聞くこともなかった。というより無口だった。日々を事務的に過ごす生き方は、まるで機械のようだった。

幼少期、蛇やらザリガニやらを目の前でぶら下げた事がある。けれどもやっぱり表情筋一つ変えず、『そんなに手荒く扱わないの』とだけ言って、生き物を奪われた。ベランダからベランダへと飛び移った時も、『怪我したら全て失うのだから、玄関から入るように』とだけ言って俺を家に帰らせた。昔からそんな奴だった。


「あの子の好きな物とか知っている? この間助けて貰ったから、お礼がしたくて」

「はぁ? 菓子とか好きなんじゃねーの?」

何時も彼奴は何を食べていたか。いや、一緒に居るときは何も食べてないな。出された菓子に手を付ける事はしなかったし。

何かしら情報があるはずだ。髪を掻き回して考えるも、何も浮かばない。一緒にいるといは何時もぼんやりしていて、何かをしていた訳じゃない。本当に何もしていない。

「何も知らないの? 何時も構ってちゃん発動して、ちょっかいかけてるのに」

「うっせーよ。そんなに知りたきゃ本人に聞けよ」

べろっと舌を出して、その場を去る。いたたまれなかったなんて、認めたくない。何も知らないなんて認めたくない。


ノックもせずに女の部屋に入ると、彼奴は何時ものようにぼんやりと空を見詰めていた。だらりと伸ばされた手足は人形のようだ。俺の姿に気が付くと、視線だけを寄越して立ち上がり、何も言わずに部屋を出る。戻ってくる時には、菓子袋がいくつかあった。

「はい」

自分が手を付ける事はせず、俺に押し付けると、その様子をじっと観察する。袋を破って、ちみちみ食べながら、問い掛ける。

「なぁ、俺達は所謂『幼馴染』って奴だけど、お前の好きな物ってなんなんだよ」

「え……ゲームとか、絵描きとか、散歩とかだけど」

それは知ってる。特にゲームと散歩。絵描きは初めて知った。

女は何を突発的にと言うような気配を漂わせて、少し後ずさった。顔も体も引いている。

「好きな食べ物は?」

「食にはあんまり。口に物を入れると、周期的に戻しそうになる事があるから、人前では控えてる。だから匂いのが好きかな。今日散歩していたら、好みの匂いに当たった。寝そうになった」

今更になってその事を知った。知っていたら、菓子の差し入れは控えたのに。……俺は放課後、部屋を訪れて、何をするまでもなく過ごしただけだった。本当に何も知らなかった。

「……俺の匂いは?」

「好き。一緒に居るとしがみついて寝たくなる」

そう言って、静かに笑った。今まで見たこともない程に、綺麗な笑顔だった。

今日は職場先でずっといい匂いがしたので、幸せです。

ずっとこうである事を祈ります。

ただ寝そうになるので、そこは忍耐ですね。


優しいから無口なんだと思います。

人知れず傷付ける言葉なんて幾らでもありますから。

『言う必要がないなら喋るな』をベースとして無口です。

心では相手の思考を奪う程に饒舌ですよ。

口では分からない彼女の優しさを所々に散らして起きました。

ある日突然、口に入れた物を戻しそうになるので、人前で物は食べたくないタイプ。

味が悪いという訳ではないんです。

ただその時の気付かぬうちの体調。

そんな事ありませんかね? ないですか。


次は添い寝ネタが書きたいです。



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