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キャスリン、誤解されて誤解する

学力テストの結果が出て、


仲良くワン・ツーでの好成績を見せたマルティナとルーターの熱愛説は学内でさらにヒートアップを見せた。


マルティナの側には他の男子生徒もいるのだが、見目麗しく存在感が段違いのルーターにどうしても皆の注目が集まる。


正確には王女と二人きりになった事などないのに、いつも二人でいるように見られるのは、周囲の希望的観測も入っているのだろう。


とかく民衆は“道ならぬ恋”という奴に憧れを抱く。


とくに若い娘は恋愛小説の影響で、王子や王女の身分差に苦しみながらも燃え上がる恋、とやらが好きらしくルーターとマルティナをそれに(なぞら)えて鑑賞しているのだ。


そしてそういう物語には必ず王女の恋を邪魔するライバル令嬢という存在が不可欠らしい。


そしてその役を担うのにお(あつら)え向きの人物、

悪役令嬢(平民なのに)顔のキャスリンだ。


王女の恋を愛でる者たちは脳内で勝手にそのシチュエーションを作り出して鑑賞しているだけなのだが、とうとう一方的にキャスリンへのヘイトを募らせて直接当て擦りにくる生徒が現れた。


それはランチタイムの事だった。


中庭のベンチでエレナと一緒に寮母さんが作ってくれたお弁当を食べている時の事だった。



「ねぇキャスリン=メイトさん……あなた、ルーター=ヒギンズさんとは幼馴染なんですってね?」


「……へ?ええ……まぁそうだけど……?」


「あなた、幼馴染なのをいい事にヒギンズさんを拘束しずぎなんじゃない?」


「え?こ、拘束?」


いやどちらかというと彼から逃げ回っているのだが。


だがそれを、面識のない見ず知らずの女子生徒に堂々と言えるのであれば、メンタルプリン者は苦労しない。


「一時期、あなたが王女殿下に嫌がらせをしているという噂が出回っていたけど、あれって本当なんでしょ?」


「な、なぜ私が王女殿下に嫌がらせをしなくちゃいけないの?」


「決まってるわよ!あなたが横恋慕しているヒギンズさんと王女殿下の仲を妬んででしょう!」


「え、そうなのっ?」


し、知らなかった。

キャスリンもルーターはマルティナに恋をしたのではないかとは思っている。

だけどそれが受け入れ難くて逃げ回っているのだが、どうやら自分は知らず知らずのうちに王女に嫌がらせをしていたようだ。


「はっ!やっぱり私はこの怖い顔で無意識に王女殿下を恐怖のずんどこにっ!?」


「いやキャスリン違うから」


ヘイトをぶつけてきた女子生徒の言葉を素直に真に受けるキャスリンをエレナが制した。


そしてその女子生徒に確たる証拠もないのに因縁を付けるなと文句を言ってくれている。


それを聞きながらもキャスリンは、もしかしたらルーターもそう思っていて本当は怒っているのではないかと考えはじめていた。


───お、王女殿下を虐めるつもりもなければ嫌がらせをするつもりもないのにっ……!


これ以上ルーターに嫌われるような事になればキャスリンのプリンは最早(もはや)グチャグチャに潰れて液状と化してしまう。


何とかルーターの誤解を解きたいと考えるキャスリンであった。


が、これまた不思議な事にキャスリンにヘイトをぶつけてきた女子生徒がいつの間にか退学していたのだ。

なんでもお家の事情で学校に通えなくなったとか。


その女子生徒にも誤解を解きたかったな……と思うキャスリンは一大決心をする。


今度ルーターに会ったら、ちゃんと話をして王女を虐めているという誤解を解く!


キャスリンはそう決めたのであった。







───────────────────────



短めでごめんなさい。



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