終 未完
恥ずかしながら、私は筆を折ることにしました。
最終話まで考えていたので、本文にあらすじ(ネタバレ)を書いて終わろうと思います。最後どうなる予定だったのか興味のあるかたは読んでみてください。
30話まで読んでくださったみなさま、ありがとうございました。これからの人生で「読んでくれた人がいる」と言うことを心の糧にしていこうと思います。
ーー最終話までのあらすじーー
30話の最後からの続き
皇帝に4人での旅を懇願しますが、皇帝から「テオドールだけではなくユーリも国外に出ることは許さない」と言われてしまう。
そこでアリスは自分の素性を皇帝に伝え、何としてでも自分がニナを含め3人をお守りすると誓いを立てる。
皇帝はそれを証明しろと言い、皇帝直属の騎士団とアリスを試合させ、第一師団、第二師団と次々に戦わせる。
ニナも加護で加勢するが、アリスは徐々に劣勢になっていく。それまで「手出し無用」と言われていたテオドールとユーリが飛び出していき3人で戦う。
テオドールは皇帝に自分の意見をぶつけて舌戦を繰り広げ、皇帝を論破したテオドールは許しを得て、4人で各国を旅することになる。
その際に皇帝との約束として、定期連絡用の美しい渡鳥を授かる。旅の間、ミシェルは時々この渡鳥の身体を借りて現れる。4人と1天使の旅が始まる。
何か国も巡り、一角獣に出会ったり、悪人を成敗したり、旅の途中で運送業の「村人のリオ」に再会したり、色んな出来事を経験しながら、各国の神殿へ立ち寄り、ドラゴンの謎を解き明かしていく。
一方、ロザリアとジェラールは、皇帝から「ロザリアの祖国のムーラン王国は、隣国から圧力がさらに強まってきている。お前が皇帝ならどういう手段を取るか?」という問題を出された。2人で解決策を導き出し、提案する。良い着眼点の提案を聞いた皇帝は、ジェラールの成長を喜んだ。後継候補としてジェラールが一歩リードの状況。
その頃、ブラン王国のリュシアンは、ガルフィオン辺境伯の後を継いで国境近くを守っていたが、隣国が戦を仕掛けようと近づいていたことはまだ知る由もなかった。
それに気づいたのは、天に召された祖母のルイーズだった。ルイーズは生まれ変わる手続きで、神の審査を受けるため、長い列に並び順番待ちをしていた。並びながら地上の様子を見ていた。聖女であったため、普通の人間よりも良く見える。隣国の動きがおかしい気がして、いつも気にして見ていたところ、ついに兵士が大軍でブラン王国へ出立するところを見てしまった。
通常、天に召された人間は地上の出来事に干渉することや、天使に便宜を図ってもらうことなどできないのだが、偶然通りがかった天使に「ミシェルと私は特別な仲なので、話をさせて欲しい」と懇願する。その天使に「順番待ちの列から外れると、また最後尾から並んでもらう。生まれ変わりが何十年と遅くなるかもしれない」と言われるが、それでも構わないと頼む。
何とかミシェルに会うことができたルイーズは、危険が近づいていることをリュシアンに伝えて欲しいと頼むが、天使であるミシェルは、人間の未来が変わるような助言は、自分から直接できないと言う。それならば、とルイーズは「何とかニナと話をさせて欲しい」とミシェルに頼む。
そこで、旅の途中のニナが神殿にいるタイミングでミシェルがニナにコンタクトを取り、羽ペンをルイーズに渡す。そして金の文字を浮かべ、文字でニナに伝える。
ルイーズからリュシアンが危険だと教えてもらったニナは、「こんなに遠くの国から助けに行くなんて、どうしよう」と頭をかかえる。考え抜いた上で、ミシェルに相談する。
「ドラゴンの謎は解けて、居場所がわかったわ。お願い、ミシェル。ドラゴンの身体を借りて、私たちをお兄様のいる辺境伯領まで連れて行って」と頼む。
居場所が分かれば身体を借りることができる。ドラゴンの能力なら一瞬で移動可能だ。ミシェルは笑顔で快諾する。
ブラン王国の国境へあっという間に到着すると、近くにまで隣国の兵士たちが迫ってきていた。その先頭にニナたちが舞い降りると、兵士を先導をしていたのは、隣国の聖女「レベッカ」だった。
隣国の兵士たちはドラゴンを見て驚き、足を止めた。そこでニナは加護で兵士の邪気を払い、戦う意欲を下げ、話し合いをしようと敵国の聖女に持ちかける。
レベッカは自分の加護の力が強くないことで、雨も少なく土地が痩せて、地下水も濁り、水の供給が減少する一方だと悩んでいた。資金力のないレベッカの国では、豊かなブラン王国の土地を奪うしかないと考え、国王から兵士を先導して勝利と得よと命じられたのが聖女レベッカだった。
「では、綺麗な水が手に入れば、まずは大丈夫なのね」
そう言うと、ニナは自分の指に付けていた「聖女にしか扱えない、虹色の宝石の指輪」をレベッカに渡す。
「これは聖女に必要な情報も入っているけれど、浄化や厄除けの効力があるわ。これでまずは井戸や泉を浄化してきれいな水に変えたらいい。レベッカは聖女の力をもっと勉強して、恵みが増えるように頑張って。争いで得たものでは幸せになれないと思う」と告げる。
テオドールはレベッカの国の利益が上がるにはどうすれば良いか、国自体が豊かになる方法を考えて国王に進言することを約束すると同時に、援助や同盟の方向で皇帝に話してみる、だから兵士を撤退させてほしいと提案する。ニナもブラン王国のシャルロットへ協力をお願いしてみると言い、最後は笑顔で握手し、兵士たちと国へ戻っていく。
ミシェルはドラゴンに身体を借りたことで、寿命が尽きようとしていた。
ミシェルと最期の別れをする4人。
天に戻り、神の目の前で消えようとしているミシェル。
「これで良かったのか?」と神が問う。
「はい、満足です」とミシェルが微笑む。
「私の後継者として、次の神にはお前になって欲しかったのだがな」そう言うと、神はミシェルの記憶を消し、生まれ変わりの手続きをする。
ドラゴンが自我を取り戻して、ニナとテオドール、二人の祖先などについて話をする。
そしてドラゴンはまた眠れる場所を用意してくれと言う。同じ場所には戻らないことになっている。新たな場所に連れていくには、ユーリが「セイルミア国の王子」としての覚醒しなくてはならない。ドラゴンがユーリの瞳の奥を覗き込んだ。しばらくするとユーリの髪が金色に変化して、祖先のことや受け継いだことを思い出し、理解する。
ドラゴンを誰にも見つからないところへ連れて行って、隠した後にベルレアン帝国に帰ると言い、金髪のユーリはドラゴンの背中に乗って飛び立っていった。しばらくはドラゴンを見たという噂で持ちきりになったが、時間と共にまたおとぎ話となっていった。
辺境伯となったリュシアンに初めてあったテオドールは、ニナとの仲を嫉妬されたり、「くれぐれもよろしく頼む」と懇願されたりと、泣いたり笑ったりの忙しい歓迎を受ける。
その後、ベルレアン帝国に戻って再会した4人は久しぶりに宮殿の庭園へ行き、銀髪に戻ったユーリはアリスに剣で挑んだり、テオドールはニナと親密に話したりしている。ブラン王国からベルレアン帝国までの2人旅をしたおかげで、もうニナとテオドールは恋人同士になっている。
数年後、結婚したニナとテオドールに赤ちゃんが生まれる。ロザリアとジェラールも駆けつけて祝ってくれた。皇帝もお触れを出し、国中が祝った。今まで登場したすべての人々が笑顔で祝っている。
テオドールは「名前はどうしようか」と言う。ニナは「もう決まっているわ。ね、ミシェル」と、赤ちゃんをミシェルと呼ぶ。その赤ちゃんの髪は一房が金色に光っていた。
ーーハッピーエンドーー
ベルレアン帝国の後継がテオドールとジェラールのどちらに決まったのか、ニナとテオドールの赤ちゃんに継承者の証があったのか、性別などは、あえて決めずに終わろうと決めていました。続編も書こうと思えば書けるかな……と。
ただ、2本のファンタジー小説を書いてみて、私は才能無いなと思ってしまったので、これで終わりにしようと思います。継続は力なり、ですね。私はそれが出来ませんでした。
何本も書き続けるバイタリティや高いモチベーションを維持しながら小説を書き続けている方々を尊敬します。
ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。
2作目にして最期の作品「妖精は片翼で飛ぶ」も近いうちに掲載します。ピッコマノベルズ大賞の応募作品審査レポートには「題名から想像して、ほんわかした作品かと思って読み始めたら、復讐の話でしんどかった」という声が多かったです。今回の「天使の推しは悪役令嬢」とはまったく違う雰囲気の話なので、ドロドロした話も嫌いではない人は読んでみてください。




