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仕立て屋魔女と11匹の猫  作者: 八猫宰相


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6.5 魔女と猫達の夜

「出会ったばかりなのにスイレンの友達だなんて!図々しいわよあの男」

 スイレンが寝静まるなりぷりぷりと怒りを露わにしたのはヒスイ。

 その矛先はルリの方へ向いている。

「ルリが余計なことするから!」

 人間にスイレンを取られるなんて許さん!とヒスイは怒りが静まらない様子。


「おや、そんなことを言って」

(スイレンに必要なことだと思ったからこそヒスイも宝石の中でおとなしくしていたのだろうに)

 と思ったが口に出すと火に油を注ぐことになるので、ルリはククッと含み笑いで返すだけに留めた。

「嫌な笑い方して~!ちょっと年上だからって生意気よ、このこの!」

 ヒスイはルリの体にぺしぺしと猫パンチを繰り出すが、ルリは動じる様子もない。


「僕はスイレンに友達ができて嬉しいけどねえ~」

 仰向けに寝転がったコハクが呑気な顔で言う。

「コハクまでそんなこと言って!あいつが友達じゃなく彼氏なんかに立候補してきたらどうするつもりだったのよ!」


「大丈夫だ、ヒスイ。あいつはいいやつだった」

 くわあ~と大きな欠伸をして眠そうに目をこすりながらザクロが言う。

「アンタが言うと否定しにくいのよね…」

 ザクロの人間嫌いはスイレン以上だ。

 スイレンは女子供にはガードが緩いが、ザクロは基本的に人間全般が好きではない。

 ザクロは自分が直感でいい人間だと判断した人間にしか近寄らないし、その直感が外れたことはない。

 ザクロに言われてしまっては認めざるを得ないような気がして、ヒスイは複雑な気分になった。


「まあいいじゃんヒスイ~、クソ野郎だって分かったならその時八つ裂きにしちゃえばいいんだからさぁ」

 そんな物騒なことを言う声はスイレンの布団の中から聞こえてくる。

「それはそうだけど…って!サンゴ!アンタなに一足先に寝ようとしてるのよ」

「うるさいのお~、猫はもう寝る時間ぞヒスイ~」

「メノウまで!」

 スイレンの布団には綺麗に二つの盛り上がりがあり、二匹の猫が中で暖を取っている。


「僕も寝るー!」

 ボスンと勢いよくベッドに飛び乗って、ゲッチョーさんがもにもにと布団を踏む。

 よく見るとスイレンの足元にちゃっかりスペースを確保しているコンゴウと、コンゴウの腹の毛にもふもふと埋もれるように爆睡しているシスイの姿もある。

 シスイは怪我の治療中コンゴウにお世話をされることが多かったので、コンゴウの隣が定位置になったようだ。


「もういいわ!私も寝るわよ!!」


 そこから猫達の寝床争奪戦が始まったわけだが、その騒ぎでうっすら目を覚ましたスイレンはうちの子達は可愛いわねえと幸せを噛みしめていたのだった。

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