01. 母に異世界転移させられた
「じゃあね、真奈美!」
「はーい! またねリーナ!」
私は泉リーナ。現在高校2年生、17歳で彼氏なし。
今日は帰ったらお母さんから話があると言われている。
お母さんは外国人でお父さんと恋に落ちて結婚したらしい。
外国人といってもこの世界ではなく異世界から来たと言っている。
お母さんは金髪にダイヤモンドのような不思議な瞳をしていて、とんでもない美人だ。私はお母さんから髪色も瞳も受け継いでいて、顔もお母さんに似て美人?だとよく言われる。
ちなみに4歳年下の弟はお母さん譲りの金髪にお父さん譲りのライトブラウンの瞳で天使のように可愛い。
私も弟もお母さんの遺伝子を強く受け継いでいる。
昔はよくこの容姿のせいでいじめられたものだ。
「ただいまー」
「おかえりなさい。すぐで申し訳ないけど、話があるからすぐに来てちょうだい」
「わかった」
2階の自室に荷物を置いてからすぐに戻るとお母さんがやけにいい笑顔でニコニコとこちらを見つめていた。
「な、なに?」
「いきなりだけど、これから20歳までの3年間、お母さんの故郷に行って暮らしてきなさい」
「・・・・・・・・・・は?」
たっぷり10秒。私の空耳かな?
「意味が分からないって顔ね。大丈夫よ、私のいた世界は魔法が使えるし今も何故か使えるから、ゲートで繋げば次元も跨げるわよ。リーナは私から遺伝して膨大な魔力量を持ってるから向こうでは魔術師になれば稼げると思うわ。ま、頑張ってね。それと3年後、こちらに帰ってくるのか、向こうにそのまま住むのかはあなたに任せるから自由にしていいわよ。ゲートが使えるようになったらこちらにも時々帰ってこれるからそうしたければ魔術頑張りなさいな」
情報が多すぎて頭が追いつかない。
「ちょっと待って。お母さんって一体何者なの?」
そういうとお母さんはパチリとウインクした。
「向こうに行ったらわかるわよ。それまでのお楽しみね。それからお母さんが今こうしていることは彼らは知らないわ。聞かれたら答えてもいいけど」
もうこうなったら行くしかないのだろう。
お母さんはこうと決めたら曲げないタイプだしね。
「わかった」
「じゃあ、早速向こうに送るわ。王都に着くように設定しましょう」
そういうのと同時に足元が光って文字のようなものが浮かび上がる。
「これが、魔術・・・?」
「そうよ。ではいってらっしゃい」
お母さんが手を振る。
周りが白い光に包まれて何も見えなくなる。
「そうだ! あっちでいい人見つけたら結婚してもいいわよ!」
そんな声を聞いたのを最後に光が最高潮に達し、そしてだんだんと周りが見えてくる。
光が完全に収まって見えたのは近世ヨーロッパのような街並み。違うのはこの世界の人は髪色や瞳がカラフルだということ。黒髪や茶髪、金髪の人もいればオレンジや赤髪、青髪、緑髪の人もいる。
あとは魔法が使えるということだ。
それよりも!
「お金稼がないと・・・でもどうすれば・・・」
そこである広告が目に入った。
「! 魔術師・・・なりたい人は王宮で試験を受けよう・・・・」
その広告には魔術師の宣伝が書いてあった。
魔術師になるための試験を今やっているらしい。私は物心つく頃からお母さんの故郷であるここシュダリア王国に関する知識ーー貴族と王族の名前や関係図、魔術についても叩き込まれていた。もうかなり前から私をこの国に行かせるつもりだったのだろう。
「まず、王宮に行ってみよう」
時々人に聞きながら5分ほどで王宮の前に着いた。
王宮は本当に城で、海外にある宮殿と同じくらいか、それ以上の大きさだった。
「すみません。魔術師の試験を受けたいんですが、どこですかね?」
分からないので門の衛兵に聞いてみる、私の姿を見て大きく目を見開いた。
「エ・・・エリザ様!? す、少しお待ちください!! また戻ってきます!!」
♢
10分待たされて戻ってきたと思ったら何やら誰かと一緒にいる。
「エリザ様「私はエリザではなくリーナです!! エリザは私の母です!」・・・え?」
我慢ならなくてつい大声で言ってしまった。だってずっとお母さんと勘違いされているんだもの。
「え、え? リーナ、様? エリザ様の娘・・・? 陛下、どういうことでございますか?」
すごい困惑しているがどういうことだろう? しかも陛下、と今言ってなかった?
「いや、わたしも今大変困惑している。少し整理するが、君はエリザの娘なのか? 今までどこにいたんだ? わたしは存在すらも知らなかったのだが」
それは当然だ。私は異世界で生まれて異世界からきたのだから。
「はい。エリザは母の名前で、母はここが故郷だと言っていました。母は昔、こことは違う異世界、日本という国に迷い込んでそこで出会った父と恋に落ちて結婚して私が生まれました。弟もいます。今日は何故か3年間こちらで暮らせといきなり言われて、母がゲートという魔術で私をその日本から次元を超えてこちらに送り込みました」
私が一気にそう言うと、陛下と呼ばれた黒髪に青紫の瞳の男性がさらに驚愕したように目を見開いた。
「そ、そうか・・・・確かにエリザがやりそうなことだな。それよりも。改めまして、このシュダリア王国の国王にしてエリザの兄であるカークスだ。貴女の叔父にあたるな。リーナと呼んでも?」
「あ、はい。もちろん構いません。カークス叔父様。というかお母さんは王女様だったんですか!?」
驚愕的な事実が判明した・・・!
お母さんはこっちに来たら分かると言っていたが、その通りだった。
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