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【なろうラジオ千文字短編】森の入道雲

作者: 麦酒

「大地を覆う雲の花びら 旅人達の足跡残す 朝日を浴びて染まる光は 白銀となって空を舞う 」入りきらなかった歌

 空に浮かぶのは巨大な森

木々で出来た入道雲が風に吹かれて、地面に夜のような影を落としながら流されて行く……それに揺られ、僕は何時ものように作業していた


 ここは森の入道雲、僕が管理する世界だ

この広大な森には全てが詰まっている、様々な種類の草木が(しげ)り、数多(あまた)の動物が生息し、広大な湖には多様な海生生物が存在している


 この星に命を与える為に、僕は旅をする

西から東へ風に乗り、山を海を飛び越えて、星を回る果てなき旅路


 とある草木は色鮮やかな花を咲かせ、その花びらで空も大地も(いろど)

とある草木は濃い緑の葉が生い茂り、照り付ける太陽を反射してサファイアの輝きを放つ

紅葉(こうよう)した葉を落とす樹木や、実や種を付けた草木は、空から地上へと恵みの雨だ


 いつしか吹き付ける風が弱くなり、くすんだ空と海が青く染まっても、僕の仕事は終わらない

森の入道雲を管理しながら、この星に命をばら蒔く


 そんな時間を何十年も過ごしながら、僕は風に吹かれて世界を回った

次第に荒野には草木が生い茂り、海には魚が群を成して泳ぎ始めた


「そろそろいいかな?まだ無理かな?」


 零れた呟きに応える者はいない、でも代わりにセンサーが大気成分を教えてくれる

若干不安が残るけど基準値は余裕で満たしているみたいだ……どうやら海の成分を調整する海藻類を作るのに夢中になりすぎて、見過ごしていたようだ


 ──という事はだ、後は動物を量産して放せば


「やっとチュートリアルが終わりだ!百年って長すぎるだろ、このゲームどれだけ凝り性なんだよ!」


 人類が不死を得て数万年、理想の惑星を作る事が出来るゲームが発売された

それを買ったはいいけど、まさか実在する惑星をテラフォーミングさせられるとは思ってもみなかった


「でもやっと終わった、後はどんな世界にするかだけど……やっぱり魔法は外せないよな」


 言いながらナノマシンを散布する、一定以上の知性体には制御コアが形成されるようにすれば、ナノマシンによって魔法やスキルぽい事が出来るようになるだろう


「そうだ、レベルアップ方式も導入しよう」


 生物を倒したらコアがバージョンアップされるように設定すれば、それに(ともな)い、身体が強化されてより強い魔法やスキルが使えるようになるだろう


「よーし、目指すはゲームのような世界だ!」


ゲームのような世界はよくあるけど、その世界を、創造主もゲーム感覚で作ったと考えたら……

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