舞台を準備する
自分が作った自分好みの世界。
普通の人なら誰よりも先に楽しみたいと思うだろうし、僕もそう思う。
なら何故、何処の誰かもわからないような人間に、最初の転移者として遊ばせてしまうのか、疑問に思うだろう。
だが、この話は前提としてこの世界が『自分好みの世界』になっていなければならない。
SFやホラーをも世界に導入して『カオス』を目指している僕にとって、現状は全く持って『自分好みの世界』ではないと言える。
ではどうして異世界転移を起こすのかと言うと、それが『自分好みの世界』にするためのスパイスになると思ったのに加え、異世界転生をしても問題ないくらいには、文明が成長しているからだ。
ほんの少し、おとぎ話程度に異世界の存在が囁かれる世界。
そんな世界にもしてみたいと考えている。
「となると転生させる人間が必要になるけど……」
神なった今、人造人間に地球の知識とでっち上げた記憶を埋め込んで、世界に放り出す事も可能だ。
だが僕だってオタクの一人。世界のどこかにいる、異世界転生を望んでいる誰かの夢を叶えてあげたいとも思っている。
それに、異世界転生させても僕には不利益が無いどころか、利益しかないのだから、お互いに利益しかない状況でやらない手はない。
「転生に立ち会う女神も必要かな。男子高校生ならそういう欲求も……」
これまた都合の良すぎる『女神メーカー』をいじりながらつぶやく。
「ヒロインみたいな存在も必要だ」
こちらは流石に、都合よくどこかの神がテンプレとして作ってくれてはいない。
「ヒロインを作ったら、後は成り行きに任せて問題ないな」
ヒロインを作る、という人生で経験し得ない事を体験しながら、どうしようか頭を悩ませた。