魔法
「うーん」
ビックバンに向けて着々と動き出している世界を見ながら、僕は頭を悩ませていた。
やはり、オタクとして異世界=ファンタジーは外せない。
加えてファンタジー=魔法という事から、世界に『魔法』を導入しようとしていた。
導入方法は簡単。
『世界を作ろうキット』同様に、魔法にもテンプレートが存在する。
それを世界に埋め込むだけで、その世界にいる人間は魔法を使えるようになる。
「問題は、数が多いんだよなぁ」
さて、オタクの諸君、魔法と言われてどんなものが浮かんだのかい?
中二心くすぐる詠唱タイプ? 由緒正しき魔法陣タイプ? ゲームのような、ステータスを使用した魔法?
これだけでもそれなりの種類が存在するのに、それぞれにも些細な違いを持った亜種がある。
選ぶだけで良いとはいえ、選択肢が多いと悩んでしまう。
「儀式系の魔法もいいかな。手間がかかる分効果は絶大! ……的な」
悩ましい。どれか一つに絞るなんて出来ない。
「……一つに絞らない」
そうだ! 何も魔法は一つしか存在してはいけない事なんて無いじゃないか。
「全部導入するか」
自分の世界だから好きにして良い、と割り切った為か、案外抵抗は無かった。
一つぐらい色々な魔法がある世界があっても良いじゃない、とも思ったのかもしれない。
「詠唱や魔法陣、儀式やステータスの魔法が入り乱れ……ステータスを導入していなかった」
説明し忘れていたが、世界作成はパソコンもどきを使ってしている。
なんとかキットとやらも、このパソコンで見つけて、世界に導入する時はドラッグアンドドロップだ。
パソコン先輩曰く、
『元は人間だから、人間のできる動作だけで世界を作れた方がいいでしょ』
とのこと。
と言う訳で、僕は検索窓に『ステータス』と打ち込んだ。