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砂の下の魔王様




ある民家街の道路で、二人は再開した。

一人はスーツを着た老人。

もう一人はドレスを着た貴婦人だ。


老人「おや、あなたですか」

貴婦人「あら、久しぶりじゃない。

…魔王様」


魔王様、と呼ばれた老人は優しい表情を浮かべる。


老人「ふふ、懐かしい言葉ですねぇ」

貴婦人「私と話す時ぐらい、元に戻ったら?」

老人「そうですね…。

では、戻らせてもらおう」


その言葉と共に老人の体に変化が訪れる。

皺だらけの顔から皺が失われていき、体つきが少しずつ若者のようにがっちりとした体つきになっていく。

そして白髪は赤く染まり、遂に老人は赤髪の若者に変貌した。

彼の名は『魔王』ディアス。

魔力を内に秘めた悪魔である。


老人改めディアス「では改めて…久しぶりだな、タカラ」

貴婦人改めタカラ「ふふふ。

老いた姿もカッコいいけど、若者でも素敵ね、ディアス」

ディアス「ふん。

貴様に魔力をひっぺがされ、今や僅かな魔力しかない俺には、この姿は恥知らずなだけだ」


ディアスはばつが悪そうな顔でタカラを睨み付けた。

タカラはまるで少女のように無邪気に笑い、


タカラ「さらったお姫様に魔力をとられて、魔王でいられなくなってしまったもんね。

あの頃が懐かしいわ~」

ディアス「まさかお姫様が魔術使えるなんて思うか!

あんなのズルいだろ!」

タカラ「使えるものは使えるんだもの、しょうがないでしょ?

あ、それと今あなたの国を収めてるのは私の夫だからね!

くれぐれも反旗翻そうなんて思わないでよ!」

ディアス「ぐぬぬ…魔力さえあれば貴様なんてこてんぱんにしてやれるものを…」

タカラ「残念でしたー。

ねえどんな気持ち?さらったお姫様に魔力吸われて全部失った時ってどんな気持ち?」


タカラはよせばいいのにニヤニヤと笑いながらディアスに詰めよってくる。

だがディアスは不機嫌な顔をするだけで怒りも悔しさも感じてはいなかった。


ディアス「ふん…まあいい。

今は子ども達を連れ帰らなければな」

タカラ「あら?

そう言えばキャメロンちゃん、最近自分の事オレって言うようになったわね」

ディアス「ふん、あいつに『俺』の姿を見せた事はないんだがな…」

タカラ「やはり血は争えないわねー」

ディアス「そう言うお前こそ、なんでトミーに女の子の姿させてるんだ?

女装趣味か?」

タカラ「違うわよ。

トミーが『女の子の姿しないとキャメロンと遊べない』って泣いちゃって…それであの子と遊ばせる時だけ女の子の姿させてるの」

ディアス「良く分からん理由だな…到着した」


二人はいつの間にか公園に辿り着いていた。


タカラ「着いたわね」

老人「そのようですな」


タカラがチラッとディアスを見るとディアスはもう老人に姿を変えていた。


子ども1「ドヤァー!」

子ども2「ド・ヤァー!」



老人は砂場でどや顔しあっている子ども達の近くまで歩くと、

ほんの数秒互いのどや顔を見比べていたが、静かな口調で二人に声をかける。


老人「ふむ。

この勝負トミーの勝ち…」

貴婦人「なに勝手に審判してんのよ!」


貴婦人の勢いよく振り回したハリセンが老人の頭に当たり、スパーンという音が響いていく。


老人「あたっ!

老人になんて事を…」

貴婦人「あなたチェーンソーが当たってもぴんぴんしてる癖に何言ってるのよ!」

老人「さーてなんの事やら~」

貴婦人「全く…。

トミー、帰るわよ!」

トミー「あ…はい、お母様…。

じゃね、キャメロン」

キャメロン「うん、またね…」


そして二人は別れ、別々の暮らしへと戻っていった。


その帰り道。


老人は並んで歩くキャメロンに話しかけてきた。


老人「キャメロンや…」

キャメロン「どうしたの、おじいちゃん?」

老人「なぜ自分の事をオレ、と呼ぶんじゃ?

普通にアタシでいいじゃろ?」

キャメロン「うん…そうなんだけどさ…それだと…」

老人「?」

キャメロン「それだとトミーがみんなに馬鹿にされちゃうもん。

『男の子と遊ぶのがおかしい』って!

それならアタシが男になれば、トミー馬鹿にされないでしょ?」

老人「……」


老人はしばらく何も言わなかったが、やがてキャメロンの手を優しく握った。

キャメロンは老人の顔を見るが、何故か顔は見えない。


「周りなど気にしなくて良いよ。

キャメロンはキャメロンのままでいいんだよ…。

自分が誰であろうと、どんな種族だろうとトミーはきっと仲良くできるんだから」

キャメロン「?」


キャメロンは首をかしげる。

そこから見えた顔は、とても優しい老人の顔だった。


老人「ふぉっふぉっ。

ま、二人とも仲良くしとけって事じゃ」

キャメロン「うん!」


そして子どもと老人は手を繋いだまま、家に帰っていった。



おしまい



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