カフェ・アベルトゥラ
扉をくぐり抜けた時、エステルは再び銀髪銀瞳の美少女の姿でアベルトゥラの店内に立っていた。
肉の身体の重さと感覚を実感する。
「おかえり。賢斗さんと優香さんが来てるよ」
ルナに言われて顔を上げれば、カウンター席には賢斗と優香の姿があり、二人は何もない空間から突然現れたエステルを驚きの表情で見つめていた。
「あら、いらっしゃいませ。ちょっと驚かせてしまいましたわね。優香さん、再びお目にかかれて嬉しいですわ」
「えへへ。なんか、死に損ねちゃったみたい」
照れたように笑う優香。
そんな優香のことを慈愛のこもった優しい眼差しで見つめる賢斗。
エステルの口元に自然と笑みが浮かぶ。
これから、この愛すべき二人に伝える神の祝福に、彼らがどんな反応をするかと考えると胸が高鳴った。
「でも、ちょうどいいタイミングでしたわ。実は、お二人に素敵なお知らせがありますの」
そして、この変わり者の天使は今日も人と歓びを分かち合う。
Fin.
『天使の報告』
This is “Mobius no tobira” Very good ending.
メビウスの扉のベリーグッドエンディングです。タイムリープした主人公は恋人だけでなく列車事故で死ぬはずだったたくさんの人の命を救い、その自己犠牲的な行動が神様に是認されて祝福されるというストーリーです。
ここまでお付き合いくださった読者の皆様に改めて感謝いたします。引き続き他の作品も楽しんでいただければ幸いです。