〜俺が風呂に入るまで〜
途中で主人公の趣味が読み取れる描写がありますが、著者との関係性は一切ありません。
「俺は中学1年生。だからといって甘く見られても困る。なぜなら俺はこの年にして世のすべての摂理を理解しているからだ。」
と、軽く頭の中で痛い妄想をしてベッドから起き上がる。
ここは俺の自室。あるものといえばラブライブの同人誌500冊とフィギュアそしてエロゲ大量という冴えない部屋だ。ちなみにお気に入りは蒼の彼方のフォーリズムという作品だ。
腕で体を支えながら足に力を入れて直立する。いわゆる「起立」だ。
「今日も問題は..なし..と」
覚束ない足取りでふらふらとドアノブへと手をかける。
ーが。
刹那。彼の思考が危険を予知しあと寸前のところで手を止める。
「もし、静電気が流れたらどうしよう。」
それから彼はしばらく熟考し、「まぁ、どうってことないか!」という結論にいたり、ドアノブに手をかけた。
ビリッ
「イテッ!」
それは見事な不意打ちだった。と、また1人で厨二病思考を張り巡らせながら自室からでる。
次に待ち構えるのは階段。侮ってはいけない。家庭内不慮の事故死の数の中では3位なのだ。階段等の転落死はおよそ2000人。この中にいずれ自分もカウントされるのではないか。
しかし、いくら考えていても埒が明かないというものだ。
「命を賭けるしかないな...。」
覚悟を決め1段1段慎重に足を運んでいく。
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無事降り終えると、深呼吸をして自分の調子を整える。
「次は...廊下だ..。」
そう。それは廊下。されど廊下。転倒で人が死ぬ確率およ(以下略)。つまり廊下も階段と同様侮ってはいけない。え?そんな簡単に何もないところで転ばないって?甘いな...。例をあげよう。廊下を歩いているときふと何かに足を掴まれた。これは無論幽霊の仕業だかそんなことは関係ない。つまり足を掴まれた。それはすなわちバランスを崩し、頭部から思い切り床に衝突するわけだ。どうだ?このように人はいとも簡単に死ぬのだ。多分....。
「ふぅ....ついた。」
残念。君が文を読んでいる間に彼は風呂場についてしまったようだ。
「はぁ〜今日は疲れたなぁ」
そう言いながら彼は手際よく服を脱ぎ、続けてズボンも下ろす。それは毎日風呂に入るものでなければとてもできるような速さではない。
ガラガラガラガラ
風呂場の仕切りを開け、1歩ずつ踏み込む。少し水がつくが風呂場なので仕方がない。浴槽を覗く。汚れがない。1番風呂だ。
「うぇ〜い!」
すると彼はいままでの慎重っぷりが嘘のように飛び込む。
「あっ」
気づいた。いや、入ったときの感覚でそれを感じた。
「パンツ..脱いでなかった....。」
ここまで読んでくれた読者の皆様、誠にありがとうございます。
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