番外編 クラス転移で異世界に来たぼっち転生勇者の場合
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フォルス・ランゲリク
Lv:23
種族:人間
職業:勇者
【ステータス】
体力:1011
魔力:21
物理攻撃:536
物理防御:284
魔法攻撃:10
魔法防御:266
素早さ:489
特殊スキル:剣神神器
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「はぁ……」
俺はある町の勇者総合案内所で自分のステータスを確認しながら溜息を漏らした。
「あの吸血鬼め……俺を雑魚キャラみたいに殺しやがって……」
ルサレクスに突如として現れた魔王の一人と名乗る吸血鬼ヴァンパイアロード。
俺はその吸血鬼に殺された。
思い出すだけでもむかついてくる。
俺は人に馬鹿にされるのが一番嫌いなのだ。
「多分あの子も殺されちゃったんだろうな……もったいねぇ……」
とある町の魔族剥製館で出会ったレイナと言う可愛らしい女の子。
きっともうこの世にはいないだろう。
「どうなってんだよ……チート能力もらって無双できるんじゃないのか? クラスの奴らを見返せるんじゃなかったのかよ!!!」
この世界に来た時、俺は一人ではなかった。
俺と一緒にここに来た人間の数は男子15人、女子13人の合計28人。
全員俺の中学校のクラスメイトだった奴らだ。
俺はクラスメイトが大嫌いだった。
低能で、いつも下品に笑いながら真面目に勉強もしないあいつらが。
だから俺は一人を好んだ。
クソ教師はそんな俺にいつも友達を作れとか抜かしていたが、そんなの余計なお世話だ。
俺は群れなきゃ何もできないあの馬鹿共とは違う。
結局俺以外のクラスの奴らは冒険者ギルドとかいうのを皆で立ち上げたらしい。
俺もクラスで一番の人気者だった奴に誘われたが、断ってやった。
誰がお前らとなんか仲良くするかってんだ馬鹿共め。
俺は強くなる。
そんでクラスの馬鹿共に俺の凄さを分からせてやるんだ。
あのヴァンパイアロードよりも強くなるにはどうすればいいのか。
そんな事を考えている時だった。
興味深い噂が俺の耳に入ってきた。
「なぁお前知ってるか? あのディルハンブレット様が今、この町で弟子を集めてるんだとよ」
「ほんとかよ!?」
「本当だって! 最近あの魔王共が一斉に動き出しただろ? だからその対策のために強い勇者を育てるんだと」
「へー、それじゃあ俺も弟子にしてもらうかな?」
「バーカ、転生勇者やエルフでもないお前なんかじゃ相手にしてもらえるかってんだよ」
ディルハンブレット、その名前はこの世界に来てから何度も聞いていた。
人類の最終兵器と呼ばれ、あの魔王共とも互角に渡り合うとされる4人の勇者、通称4大英雄。
その4大英雄の1人であるディルハンブレットがこの町にいる。
「弟子か……」
正直誰かの弟子になってまで強くなろうとは思わない。
それじゃあ1人で何もできないあの馬鹿共と同じになってしまう。
だがしかし、俺は勇者総合案内所を飛び出してディルハンブレットを探すことにした。
もちろん弟子にしてもらうためではない。
「人類の最終兵器ねぇ……いいぜ、この俺が利用してやるよ」




