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10.奴隷市場潜入の下準備

「えっと、ノノ様はルサレクスのもう一つの呼び名を知っておりますか?」

「もう一つの? いや、知らないが」

「奴隷市場」

「奴隷……市場?」

「はい、ルサレクスは大陸の中心にあることから、旅の勇者がよく立ち寄る町なのです。なのでその勇者を顧客にしようと大陸中から奴隷商人が集まります」

「なるほどな……奴隷を勇者が愛玩用に買うってことか……つくづく人間てのは最低な種族だな」


 つい最近まで自分がその人間だったということは気にしない方向でいこう。


「まぁ奴隷にも様々な種類がありますので一概に愛玩用とは言えませんが。魔族の奴隷だったら試し切り用や戦闘用に、人間ならまぁそれこそ愛玩用ということが多いみたいですが」

「魔族も奴隷にされてんのか……」


 なんて胸糞悪い話だ。

 自分と同じ種族が奴隷にされているのという事実に思わず怒りがこみ上げてくる。


「そうです……中でも獣人族の子供は高値で取引されているようです……」

「よく分かったよ、それでその奴隷と変装はどう関係してくるんだ?」

「はい、奴隷商人は全員このハンカチのように何かしらのマークが書かれたマスクを口元に巻いているんです」

「マスクを?」

「どうやら奴隷と一緒の空気を吸いたくないという理由から始まったようです。奴隷の中には重い病を患っている者もおりますので……ただ今ではマスクに書かれたマークが奴隷商人それぞれのシンボルのような役割を果たしているようですが」

「なるほどな……それで俺達も奴隷商人に変装してルサレクスに潜り込むってわけか」


 確かに俺達吸血鬼は牙さえ隠せば外見はほとんど人間と変わらない。

 外見で違うとこといえば死体のような青白い肌とこの牙くらいなのだ。


「そんじゃその案で決まりだな。マークはまぁ適当に──」

「だめです!!!」

「──!」


 突然大声を出したラミアに驚いてしまう。


「あ、も、申し訳ございません。じ、実は怪しまれないために私なりに色々考えているんですよ……」

「そ、そうなのか、な、ならラミアに任せるよ」


 正直マークなんてなんでもいいんだが、何かラミアには考えがあるみたいだな。

 言動はすっごい挙動不審だけど……


 日が暮れるまでまだ数時間ある。

 ラミアは変装用のマスクや服を用意するということだったので、俺は城の地下に保管してある人間の血液のストックを用意することにした。


 俺は大広間から降りれる地下室に行き、大きな樽がいくつも並ぶワインセラーのような部屋に着くと、そこに置いてある血液保管用の小瓶をいくつか手に取った。

 ここは血液保管庫と言う名前で、ラミアが今まで人間から集めた血を保管している場所だ。

 通常血液というのは人間の体内から出て暫くすれば固まってしまうのだが、どういうわけかここに保管されている血は固まることのなく液体のままである。

 ラミア曰くこの樽が人間から作られたものだからと言っていったが難しいことはよく分からない。

 体内にある血が固まらない原理と一緒なのだろうか?


「どれくらい持ってくかな……できれば夜の内に噂の真相を確かめたいんだが」


 夜のうちに目的を果たしたいのには理由があった。

 それは吸血鬼が持つ弱点。

 日光、十字架、そして血を摂取しなけらば力が弱まっていくというものである。

 元々俺のいた世界でも吸血鬼は弱点が多いとされていたが、ラミアや本によるとこの世界も同じようである。


 最初に俺が日光や十字架の影響を受けなかったのはラミア曰く血を摂取せずに弱っていた事が原因との事だった。

 血を摂取すれするほど強くなる反面、強くなればなるほど日光や十字架に弱くなっていく。

 なんとも不便な種族である。


 今のところ2日に1回血液を食している俺だが、遠くの日の光を見ただけでも気分が悪くなるし、十字架は想像するだけで吐き気に襲われる。

 きっとラミアは俺を助ける時、相当無理をしていたのだろう。


「さてと、こんなもんかな」


 小瓶に血を入れ終え、俺はその足で掃除用具を取るとそのまま館の清掃を始めた。

 かれこれこの城に来てから2週間近く経っているが一向に屋敷は綺麗になる気配を見せない。

 やはり2人でこの城を掃除するというのは無理がある……


 そんな風に暫く掃除をしていると、ラミアがトットットッと足音を立てながら満面の笑みで俺の元に走ってきた。


「出来ましたノノ様!」


 そう言ってラミアは俺に2枚の黒い布で作られたマスクを見せてきた。


「変装用のマスクか、どれどれ」


 ラミアが考えがあると言って作ったマスク。

 そのマスクに描かれているマークは、赤い糸で外側を縁取った歪な半円の形をしていた。

 そしてその中を塗りつぶすようにピンク色の糸が縫い込まれている。

 よく見ればそのマークは2枚のマスクに左右対称に描かれている。


「えっと、これはどういうマークなんだ?」

「これはですね、こうするんです!」


 そう言ってラミアは2つのマークをくっつけた。

 そしてそこに浮かび上がったのは──


「まさか……ハートかそれ……」

「はい! ノノ様と私の絆の証です!」


 どうしよう!

 やっぱりなんかおかしいよこの子!!!

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