#9
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桜舞会役員の紹介が終わると、拍手が起きた。そして会長は一言。
「さて、約束した時間を過ぎてしまうかな…。また何か私たちに質問があればいつでも聞いてくださいね。できる限りお答えします。本日は暑い中、私たちの話を聞いてくれて、ありがとうございました!」
凜桜先輩のお辞儀は見る者全てを魅了するような、とても綺麗なものだった。
まるで一瞬だけこの蒸し暑さを忘れられたような…。
「えー、これで終業式を終了します。教室まではしゃべらずに帰るようにー…」
そんなアナウンスが流れている中、俺は都と教室まで戻っていた。
「会長…綺麗だった。」
「そうだな。都も見習えよ…。…都?」
「…ん?あ、ごめん、ぼーっとしてた。」
「まぁ、別にいいけど…」
今日、百合ちゃんは学校を休んだ。昨日の熱は下がったものの、孝文さんが心配性で、念のため休ませたそうだ。都まで体調を崩したりなんかしたら…幼馴染の俺だってさすがに淋しくなる。
…
都と分かれて教室に戻ると、先ほど暑い怠いとぼやいていた友人の翔太がふと。
「おい…あそこにいるの、凜桜会長じゃね?どうしたんだろう…あ、後ろに菅井先生も?」
担任がまだ来ていない教室のざわめきは、凜桜先輩と菅井先生の登場でピタッと止んだ。
あれ…なんかこっち見てる?ていうか、こっちきてる?!ええ!?しかも俺の前で止まるの!?
「貴方が…宮内翼くんで合っていますか?」
「はっはははははははいっそうでありますっ!」
慌てすぎて噛み噛みだ…恥ずかしい…。思いっきり笑われてるし…。
「ふふっ、そんな緊張しなくて大丈夫。少し来てほしいところがあるのだけれど…今は大丈夫かい?」
急に真面目な顔になる。…なんだ?
「えっでも俺たちこれから配布物とか終礼とかありませんか?」
「担任には私から連絡をしておこう。とりあえず付いて来なさい。」
「わ、わかりました…」
席を立って連れて行かれた先は…
一般生徒、および一般職員立ち入り禁止で有名な、"桜舞会室"だった…