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『えー、夏休みの学習計画表、出してない人は提出できるまで居残り―・・・』
今日は終業式。長かった一学期も終わりを迎え、待ちに待った夏休みだ。
しかし…
「長―い…おい翼、暑い怠い眠い。」
「んなこと分かってるよ…余計暑くなるんだからいうんじゃねーよ…」
終業式が長い。とにかく長い。もう寝ようかな…そう思った時、隣でぼやいてた友人が、
「翼、来たぞ。この灼熱地獄の中に、たった一人の天使が…!」
「まじか…やっとか!!!」
俺たちが毎回長い長い集会や怠い怠いイベントで、唯一楽しみにしている憩いの時間。
入学してから今日まで、何回これに救われただろうか。
それは…
『生徒会長の話…桜舞会会長、立花さん、お願いします。』
アナウンスが流れると、名前を呼ばれた彼女はステージの中心にあるマイクの上に立った。
…立花凛桜。桜舞学園の生徒会、すなわち"桜舞会"の会長である。
桜舞会の役員になるには、倍率15倍という夥しい数の立候補者の中から、桜舞学園全生徒(小・中・高)と全教員から、多くの票数を得なければいけない。
さらに会長ともなると、倍率は25倍以上にも膨れ上がるそうだ。それが本当なら…
凜桜先輩はすごい人だと思う…あ、話が始まった。
「みなさんこんにちは!今日から、待ちに待った夏休みですね。それにしても暑い…。私の話は短くした方がよさそうかな…」
"桜舞学園の天使"それが凜桜先輩のもう一つの通り名だ。顔だちも整っていて、肩につくかつかないかのところまで伸ばされた、前下がりのまっすぐな黒髪。性格だって優しくて、素直で、淑やかで・・・。そんな先輩のために生まれたような言葉があると俺は思う。
"大和撫子"だ。さて…ここくらいで俺の回想は終わりにしよう。きりがない。
「今日は、今年度の桜舞会役員と、担当の先生方を紹介したいと思います。15分程度で終わるので、皆…その間だけでも顔をあげてくれると、嬉しいです。」
そういって微笑んだ凜桜先輩の姿は、本当に天使のようだった。