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エピローグ 今日も元気に生きてます

 僕が山で迷子になり、トラちゃんに助けてもらってから数日が経っていた。体はまだ痛い箇所があるが最初の自己診断通り、骨には異常がないようだし、打ち身についても回復に向かっていた。

 助けられた日から丸一日寝ていたようで、目が覚めた時には兄弟たち全員が僕の顔を覗き込んでいた。

 トラちゃんからはいかにあの茂みから僕を運び出すのが大変だったか、延々と聞かされた。結局、駆け付けた他の兄弟達の力も借りてやっとのことで茂みの外に運び出してくれたそうだ。

 さっき寝る前にトラちゃんが来て「もう体は大丈夫やろ? 明日はそろそろ狩りにいくで」と言っていた。だいぶ回復してきたとはいえ、まだあちこち痛いので、もうちょっと休ませてはもらえないだろうかと思う。

 それはそうと今回、迷子になって久しぶりにお母さんとの最後のやり取りを思い出して以来、当時のことをよく思い出すようになった。あの日、お母さんに先立たれてからもトラちゃんは毎日のように狩りに僕を連れだした。

 その時はそれどころではないくらい悲しい気持ちでいたのですごく嫌だったけど、おかげで悲しみを少し紛らわすことが出来ていたのかもしれない。お母さんは天国へ旅立ってしまったけど、僕にはトラちゃんや他の兄弟たちがいる。僕が迷子になった時、みんな一生懸命僕のことを探してくれていたんだ。血なんかつながってなくても。僕らは家族なのだと思う。

 そういえばお母さんと最後に喋った時、僕はお母さんの言葉を受け止めきれずに茫然としていたけど、一緒にいたトラちゃんがなんか教えてくれてた気がするな。

 なぜか急にその時の記憶が鮮明になってくる。そうだ、僕がお母さんの言葉に対してなにも言葉を返せずうつむいていると、急にトラちゃんが、遠い目をしてちょっと得意げにこう言ったんだ。

「なあクロ、お前知っとるか?猫のひげの長さの世界記録は19センチや、それを超えたらギネスブックっちゅう本に載るんやで」

                                           終

挿絵(By みてみん)


短い連載でしたが最後まで読んでくださった皆様ありがとうございました。また新しい連載も近々に始めますので、もしよかったらまた読んで頂けると幸いです。

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